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035 針と糸
――針と糸――
次の日。
母が毛糸を籠に戻している横で、その様子を見ていた。
毛糸。
編み針。
マフラー。
帽子。
手袋。
作れるもの。
まだ、ほかにもある?
「…………」
母の籠の隣には、布と糸。
そして、小さな針。
前にも見たことがある。
服が破れたとき、母が使っていた。
「…………」
あれも、何かを作れる?
母のところへ行く。
「おかあさん」
「今度はどうしたの?」
「さいほうも、おしえて」
母の手が止まった。
「裁縫も?」
「うん!」
「どうして急に?」
「…………」
毛糸を見る。
それから、布を見る。
「もっと、つくれるようになりたい」
「…………」
「けいとじゃないのも」
母がこちらを見る。
少し考える。
「なるほどね」
「おしえてくれる?」
「いいけど」
「!」
「一人では駄目」
「…………?」
母が針を一本取り出す。
細い。
小さい。
先が尖っている。
「針は危ないからね」
指先を針の近くへ持っていく。
「刺さったら痛いし、深く刺したら血も出るよ」
「…………」
針を見る。
編み針とは全然違う。
細くて、尖っている。
「最初はお母さんと一緒にやること」
「うん」
「勝手に持ち出さない」
「うん」
「一人で使わない」




