第36話 新しい身体とソフィー2
さて、現状のソフィーは空間結晶で出来た結晶体の中に魂という情報が入っている状態だ。
この空間結晶はそのままだと情報を簡単に表に出すことはしない。
じゃあどうやって中の情報を抜き出すのかというと、外側から内部に接続して情報を導いてあげる必要がある。
つまり、これ自体がストレージのようなものなのだ。
「とはいえ、外部から情報を抜き出すための接続を作るのが本来一番大変なんだけどね……」
「?」
「あ、いや、こっちの話だよ。ソフィーは医療ポッドの中にそのまま入っていてね」
「はい」
こちらの指示通り、ソフィーは医療ポッドに入って内部のベッドで仰向けになる。
そのまま雛菊がポッドを操作して蓋を閉じる。
「雛菊、ポッド内のソフィーをスキャンしてみてくれるか?」
「はい。スキャンします」
緑色の光がソフィーの入ったポッド内を照らす。
しばらく照らした後、雛菊側のポッドの端末にスキャン結果が表示され出す。
「ソフィーさんの結晶体のデータのスキャンが完了しました。無属性の結晶なだけあって余計な情報が入っていませんね」
雛菊は抽出されたデータを確認しながらそう報告してきてくれる。
それなら結晶体内部の情報と医療ポッドの中の身体にリンクを作成してしまえばいいだろう。
「じゃあ結晶体と身体の間にリンクを作るよ。情報の抽出は私の方でやるね」
「はい。それではこちらは受け待ちの状態で待機します」
「うん。じゃあこっちから直接繋げるよ」
この特殊医務室の医療ポッドはさくらたち神霊の身体のメンテナンスにも使用している。
簡単に言うと、肉体から魂を抜き出し一時的に保存することができる。
このやり方で結晶体からソフィーの情報を抜き出そうというわけだ。
「結晶体の情報が多くて目的の情報を探すのが面倒だね……」
基本的に空間結晶には色々な情報が詰め込まれて構成されているので、情報を抜き出す際にはその情報の海を潜っていかなければいけない。
魂の情報はその情報を閉じ込める情報で囲まれているはずなので、それを探せばいいだけではあるのだが……。
「う~ん、この結晶の生成素材はこちらの世界の素材のようですね。おそらく結晶に覆われた大陸のものです」
「あーじゃあやっぱりこの世界の物由来なのか」
この情報が何の情報なのかというと、この世界と強く結びついた結晶であるということ。
つまるところ、この結晶の力を使えば、この世界に大きな影響をもたらすことができるようになるということだ。
「ということは、結晶化した土地の正常化にも役立つのか」
「そうなりますね。これはかなり大きな発見ですよ」
「結晶除去を手作業でやらないといけないのかと思っていたよ。いやぁよかった」
ソフィーは身体さえ何とかできればこちらの世界の結晶に覆われた大陸の結晶を私より簡単にどうにかできるということがわかった。
であれば、そちらの専任担当という形で採用してもいいのかもしれない。
ほかの時は結晶回路の製作の手伝いをしてもらうとしよう。
「よし、必要な情報も見つけたし移動を開始するよ」
「はい」
目的の情報はこの世界由来の結晶情報の真下に存在していた。
さっそく魂の情報を新しい身体へと移す経路を用意する。
接続が完了次第移動を開始する。
「魂の情報と肉体のリンクが正常に作成されました。移動が可能です」
「うん、じゃあ始めるよ」
そのままソフィーの魂の情報を新しい身体へと移動させる。
これには結構時間がかかるので、様子を見ながら休憩だ。
「残った身体はどうしますか?」
「ソフィーの意見を聞いてソフィー用の素材にしてしまおうか。結晶の身体では外を歩くことは出来ないしね」
「はい」
雛菊はそう返事をすると稼働中の装置を見つめる。
「そういえばさくらは何してるんだろう」
ふとさくらのことが気になったので確認してみると、何やら室内で縫物を始めていた。
「起きてすぐに服がなかったらかわいそうですので軽く着られるものを作っています」
「さすがさくらさんだわ」
さすがさくらさんでした。




