第26話 建築計画を立てていこう
狐塚くるみは狐塚家の物理遠距離担当である。
弓や銃はもちろんのこと、各種設置系射出兵器なんかも自由自在に扱う。
なお物理ではないがレーザー系やビーム系の光学兵器類の扱いもくるみの得意とするところだ。
ちなみに狩りも得意である。
「ごめんなさい」
ぷりぷりと怒るくるみに謝りつつ、どうにか落ち着いてもらおうと考える。
ただ余計なことをすれば後々手痛いしっぺ返しを食らうので注意が必要だが。
「ちょっと、余計ないこと考えてるでしょ? さくら姉にも怒られたんじゃない? まぁいいわ、私は物わかりのいい女だからね。今回は許してあげる。でもそこの鬼は許さないからね」
くるみはそう口にすると桔梗の方を指さした。
「ちょっ、なんであたしは許さないんだよ!」
突然そう言われて非難の声を上げる桔梗。
だがくるみはジト目で桔梗を見つめると。
「だってあんた、泥棒猫じゃない。なにうちの詠春勝手に持っていこうとしてるのよ」
「別に盗んでねえよ。合意の上でってだけで……」
「あのへたれ詠春が行動するわけないじゃない。どうせ無理矢理迫ってるんでしょ」
ひどい言われようである。
へたれって……まぁ言い訳はできないか……。
「くるみちゃんもお姉ちゃんもいい加減にしないと私が貰っていっちゃうからね」
「いや、それはだめだろ」
「年齢考えなさいよ。ロリはだめよ」
「なんで君たちはそんな冷静でいられるんだ……」
椿ちゃんの子供らしい発言を聞いて2人は突然落ち着いて冷静にツッコミを入れ始める。
まぁ小さい子って仲の良い年上の人に懐くところあるからね。
「ほら、次の場所決めいくよ。くるみには遠距離武器関係考えてほしいしね」
「あいよ」
「うん、わかったわ」
というわけで放っておけば喧嘩を始める2人と椿ちゃんを率いて必要な施設の場所決めをしていく。
工房関係は近くに集め、敷地が必要な物は他より離し、診療関係は薬草との兼ね合いからほかの場所よりも離れた位置に設定する。
工業化については材料が足りないので今すぐにはどうにもできないけど、いずれ鉱石類が貯まってきたらグラジオラスに頼んで制作してもらう予定だ。
「さて、次はっと……」
「お、詠春の兄さん! 丸太ができたんで建築用に加工頼みます!」
「了解」
次の予定を考えていると木の伐採組がそんな報告をしてきたのでさっそく創造スキルで建築に適した木材へと変化させてしまう。
今後は自然乾燥用の場所も準備しないといけないかな。
あとで場所決めしておこう。
「よし、完了っと。さっそく使っていってね」
「ありがとうございます!!」
鬼たちの気持ちの良い挨拶を聞きながら必要な物を加工し、必要な施設を考えていく。
ちなみに、鬼社会は比較的女性の方が強い傾向にある。
まぁ単純にタフというのもあるのだろうが、突破力はあると思っている。
妖種社会は別な意味で女性の方が実力的にも立場的にも強かったりするので、妖種としてそういう部分があるのかもしれない。
「んと、あとは……。どうせだしくるみたちも組合登録しておくか」
「ん? 組合ってなんのだ?」
「探索者組合。何かするのにあって便利だからね」
というわけで早速3人を連れてグレーメルの街近郊の森に出る。
それから門をくぐり改めて合法的に登録に向かおうというわけだ。
だが……。
「これはこれは詠春殿。詠春殿とお連れの方は領主様より顔パスで通すようにとの連絡がありました。領主関係者専用門を今後お使いください」
「あ、ありがとうございます?」
「こちらです」
門番の方にそう言われ、いつも入る門より小さめの誰も並んでいない門に案内されてしまう。
そうしてそのまま軽い確認だけをし、街に入ることができてしまったのだ。
顔パス恐るべし。
「詠春殿は領主様やご家族様をお救いくださいましたので。気になさらないでください」
「えぇ。ありがとうございます」
どうやら人助けの効果が早速発揮されてしまったようだ。




