第24話 如月建築組と新しい素材世界
諸問題は残っているものの、とりあえず建築についてはどうにかなりそうだ。
如月建築は建築関連を請け負う工務店のような組織だ。
腕はかなり良く、妖精郷という妖種や精霊たち、少数の人間たちが暮らす領域ではかなりの知名度を誇る。
当主は【如月不動】という名前で、まるで不動明王のような厳めしい形相をしている。
まぁかなり気さくな鬼ではあるのだが。
「おう! 野郎共出てきな!」
桔梗がそう声を上げると、近くの空間がゆらりと揺らぎ次々と厳つい鬼や華奢な鬼たちが姿を現す。
桔梗お得意の手下召喚だ。
「お嬢、お呼びですかい?」
「お、詠春の兄さんじゃない」
「なんだって!? お嬢の想い人じゃないですか」
「やめなよ、お嬢が怒るよ?」
「てめえらうるせえぞ!!」
「ほーら言わんこっちゃない」
「でもよ、お嬢強気な事いうけど初心もいいところだぜ?」
「だよなー。さくらの姉御と戦って勝てた試しがねえからな」
「「ちげーねぇ」」
「てめーら、言わせておけば!!」
呼び出された鬼たちは男性も女性も変わらず賑やかだった。
彼ら鬼の姿は実に多種多様で、厳めしい鬼もいれば美男美女の鬼もいる。
小さな鬼もいればすらりとした鬼もいてみていて楽しい。
「詠春お兄ちゃん。お姉ちゃんがわがまま言ってごめんなさい」
「やぁ、椿ちゃん。大丈夫だよ。今日はお手伝いよろしくね」
「うん! お姉ちゃんはヘタレだから安心してね! 椿が守ってあげる!」
桔梗の妹である【如月椿】ちゃんもこっちにきていた。
姉と同じく白い髪に白い肌、赤い瞳が可愛らしいちびっ子だ。
「椿、お姉ちゃんになんてこと言うんだよ」
「べーっだ」
相変わらず賑やかな一団である。
「おらお前ら! さっさと仕事に取り掛かるぞ! 木を切る、乾燥用に置いておく、石材切り出す、基礎を準備する、色々とやることがあるんだからよ!」
「「「おうよ!」」」
桔梗の一声で鬼たちはあちこちに散っていった。
さて私も採集専用の別領域を用意しますか。
確かに島内だけではいずれすべてが枯渇してしまうからよろしくないしね。
「じゃあとりあえず島内の自然はある程度確保するとして、別に採集できる領域を用意するよ。洞窟は1つあるから森林系がいいか」
「相変わらず便利だな。どこからそんな素材用意してくるんだよ」
「それは秘密だけど、まぁまぁまっとうな方法だよ」
「ふぅん」
実際新しい世界を構築する素材は世界の狭間にたくさん転がっている。
例えば私たちが『アレ』と呼んでいる謎の生命体などは古く死んだ宇宙を食い尽くし、粒子に変化させて世界の狭間に放出するという生態を持っている。
時折悪さをする個体があるので攻撃し、殲滅してはいるが。
「【アクセス デュオ クリエイト ニューワールド】」
そう口にすると同時に洞窟に採集専用の場所を用意したときと同じく、白いポータルのような空間が出現した。
「小さいけど惑星みたいなものを用意したよ」
「ほーん。じゃまぁ行ってみますか」
「いくー!」
「こっちだ」
案内のために前に出る。
すると小さな手がぎゅっと私の手を握ってきた。
「えへへ~。手、繋いでいこ」
「しゃーねーなー」
「そうだね」
椿ちゃんを真ん中に、左右に私と桔梗が繋がる形となった。
「おおおおおおー!! 森じゃん! 空じゃん! 平原もあるじゃん!!」
転移した先は普通の世界と何も変わらない場所だった。
違いがあるとすれば人がいないくらいだろうか。
動物関係や植物関係は地球にある物をある程度コピーした形なので探せば見たことのあるものにも出会えるだろう。
「やっぱりすごいねー」
「今は機能していない街も別にあるから今度見せるよ。今は素材採集が先かな」
「そうだなー。気になることは色々あるけどまずはやることやりますか」
桔梗も気合十分といった様子だ。
よし、まずは開拓をがんばらないと。
医療施設も用意しなきゃだけど……。




