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83話

犯人はヤス代……では無く、クス代だった。

そう言えば、室内作業用の妖精を創れるとか、初対面時に言ってたよ。

俺の幻想知識に準じてるかは謎だが、確かフェアリーはともかく、エルフも妖精って感じな設定が有ったね。

ゲームや前世のフィクションじゃ、もうすっかり人間の一種的な扱いになってたようだけど。


クス代を創った魔王の感性だと、エルフはギリギリ古い設定によるもののようなので、余り人間成分の無い人形風な印象で創造されるようだった。

用途に関する区別としては、使用者の純粋なサポートとしてはエルフが。細かい精密作業ではフェアリーが担当するようで。

今回似たような作業なのに両方出て来た理由は、単純にクス代単体では各一体ずつしか出せない仕様のためらしい。


……それでも、作業的な能力がトウテツの壺の使用者にリンクして同等の物を使えるというのは、実はかなりチートなもので。


そんな設定が開示された途端、集まっていた魔術師たちの半数近くが減った。

どうもその連中は自分でもトウテツの壺を所有してるらしく、早速、自分でも試してみような感じになったようで。


それ以外の魔術士は魔物肉の事もすっかれ忘れた様子で、我関せずに作業を続ける妖精二体の観察を始めている。


ポンと人造生命を創った事には驚くが、これまでに獣人やら亜人は結構見た記憶もある俺としては……、何故に此処まで騒ぐな感想に。

その疑問を師匠に問おうとしたら……いないよ。

どうも、別のトウテツの壺の設定に行っちまったようで。


仕方が無いので近くの名も知らぬ魔術士を捕まえて聞いてみる。

すると、現状ではエルフ種の亜人はハーフか、それよりも血の薄い存在に限る形で人里に居るそうで。

人造物とはいえ、純血に近いエルフの登場はそれだけで驚愕の研究対象なのだとか。


だが、そんな答えに補足として語られたクス代の説明が更に大問題に。


「純血のエルフとは正に此の個体から始まります。この世界におけるエルフ種は、魔王による創作物が原種なのです」と、そんな爆弾発言が出たもんだから。


そういう由来の存在が何故、亜人な感じで自立してるのかと言う部分には深くは触れまい。

要は、この世界に受け入れられるくらいの過程が、永い歴史の中で有ったと言う事だ。


……まぁ、この名も無いエルフ人形、人の美観を全力で刺激する美少女なのが……、おっと深くは考えまい。


……しかしまぁ、エルフはともかく、精密作業用と言うフェアリーも人間程度の筋力を発揮するのがもの凄い。

そして、俺と同等の作業能力を出せると言うのも、本当に助かる。


純粋に二倍の効率アップとか夢のような出来事で。



周囲の人口密度が減った事もあり、予想外に直ぐ謎の労働も沈静化。

待機状態になった妖精二体は次の指示待ちで傍に立ったので、これ幸いと次の用事ができるまでは魔術士たちの自身の性能に関しての質問には答えるようにと命令しとく。

ただし、俺のチート能力に紐付く部分は禁則事項の扱いで。

下手に内容が伝わって、更に余計な用事が増えたら溜まったもんでは無いので。


体力は底無しなのだが精神面ではかなり疲れた。

俺自身への関心が薄れたのなら、少しでも休ませてもらおう。


それと、今回の事は流石に不意打ちだったのでトウテツの壺の性能を調べておこうとも思った。

先ずは最初の意外な点。実はこの壺、起動すると案外自由に動きまわるのな。

稼働中は空中をフワフワと浮いて着いてくるし。


改めて外見の様子から観察。

逆様にした中身空っぽの人間の生首。男を素材にした物はほぼハゲで脳天や側面に[壺]を印象付ける金具が付属している。何かのイベントとかで優勝して貰うカップなんかの印象に近い。

悪夢に出そうな悪趣味全開の代物ではあるのだが、見方を変えればそんな間抜けな感じのもの。

女性が素体の場合は少し仕様が違う。男同様にハゲ仕様も有るのだが、クス代の場合はロングの地毛が固められて壺の文様的な意匠へと変えられている。そのせいでか、多分普通に頭部として正の位置にひっくり返せば完全に晒し首に見えるだろう。

問題は、中を満たす液体が溢れる都合で、起動状態だとそれが無理な制限。


また、一度の燃料注入での作動制限も其処になる。

血でも血入りの水でも発揮する性能に違いは無いが、稼働させ続けるには一定値の濃度は必要のようで。その割合に関しては使用者個人が保有する魔力量が関連するようなので、俺は俺の限定値しか判らない。

魔力的な繋がりが結ばれるとなんとなく自覚できると言うか。

まぁ、血が自重で滴る程度の一滴で済むので。多分正確な濃度って意味でなら唾や汗の一滴でも大丈夫だと思う。

あくまで、俺基準で。


人並みの魔力量だと、おそらくは結構貧血に繋がる感じなんだとは思うが。

……そうなると、魔術士でも一般人枠はそう簡単稼働させ続けるのも難しいのかね。


使用魔力の事では、妖精の創造でも関係する。

エルフの魔力は人間よりも多いといった伝説はそのままで。

それは使用者の魔力が根源となる訳で。

伝説になる程の魔力量を提供しなきゃエルフが生まれんとなれば……まぁ、難易度の高い案件としか言えないよな。


なるほど、俺みたいなチートの補完が無きゃ遺失される内容も当然と納得。


見た目に違いで室内限定って部分も謎なので聞いてみるに、正確には空間内に一定値の魔素が満ちているのが条件なのだとか。

具体的な例を挙げると、ダンジョンなどの魔素が溜まり安い環境。人間などが無駄に魔素を消費し難い原生林、または辺境域。

要するに、妖精とは言いつつも原理は魔物が湧くのと同じな訳だ。


ついでに言うと、エルフの発祥が先の説明通りなので人跡未踏の森の奥にエルフの隠れ里が存在するなどの伝承は基本的にガセのようで。

仮に存在したとしても、中身は最高位でもハーフ。しかも由来を紐解くと、かつての魔王が用意したエルフハーレムの成れの果て……とか酷い現実を知る事となるようで。


……うん、その夢は永遠に封印されし謎がいい。

その方が、絶対に幸せな人が増えると思うし。


クス代経由でその手の質問もはぐらかすよう指示を入れておく。

これで少なくとも、俺の経由ではエルフは清い存在のままで。

他の誰かがトウテツの壺を起動させてまで知った事なら気にしない。

その人経由で将来エルフがエロフの訛りだったとかが伝わっても……それはそれで、歴史の厳しい現実の部分であろうし。


……そう言えば。


妖精と言えばまだ他にも有名なのがいたな。

俺の時代だと結構業の深い悩ましい変貌を遂げたやつ。


「技能特化の妖精であるドワーフも出せます。髭のある方でしょうか、ロリ形態を固定化した方でしょうか?」と、要らんバリエーションの提示ががががが……


やっぱり業が深い。

と言うか、何故にそんな多様性が。

もう一方は結構歴史の浅い概念だと記憶してたのに。

なんせ堂々とホで始まる小人系人種が一般的だったし。

確か、ドワーフのロリ化はファンタジー系のゲームリソースを減らす意図も有っての筈だったと開発側に予算を回す連中の愚痴で聞いたような?

単純に登場種族を減らし、尚且つ可愛い系を残すのなら仕方無しな判断だろうし。

いくら古典的な歴史があっても髭もじゃ樽腹の女キャラの需要など、普通に考えてマイノリティ。


……まぁ、その部分は、意外にもそっち系の歴史が結構古かったらしいの勘違いで終わったが。

ゲームはゲームでも色んなハード展開でそういった概念が広まってるそうで。

この手の情報は、何もデジタル系でのみ広まってると勘違いしちゃならんようだ。




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