↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/85

68話

うむ。案の定、地下への隠し扉がバリケードで埋もれてた。

此処だけバリケードを崩すのは……正直に言えば隠し扉の隠し要素を無くすのに等しい。

後で他の箇所も幾つか壊しておくか?

でもその予定が、かなり未定成分多めってのが微妙。

もし増援が来たら無理な話だし。


……最悪、問題の魔術設備の確認だけできたら遺跡自体を破壊って案も入れとこうか。

こうも騒動の起きた現場をこのまま放置ってのが一番危険な気がするし。


魔術の効果がミラテル嬢と関係なければ、な「たられば」以外にも、魔術の効果が「不老不死」ってのが非常に拙い。

具体的にどうとは言えないが、不穏しか醸さない危険なワードだし。


そこら辺を依頼主にも伝え、最悪の状況も有りな覚悟はお願いしておく。

もっとも、向こうは向こうで「魔術の防衛機能に直接晒されるのは貴方たちでしょう」と、逆に俺たちが心配される始末なのがねえ。


不幸中の幸いだったのが、此処のファンガスの苗床に先に遭遇した事か。

今回は元気なコピー体が大量に湧いたので無視もできず、苗床ごと掃討するしかなかった。

犠牲者の身元の確認をー……と頑張るとコピーの処理でキリも無さそうで、結局は魔術での丸焼きで焼却。

まぁ、細部は違うが荼毘の送り火で昇天できたと思ってたおく。

……俺みたいに変な転生とかせんで、普通に輪廻の輪に戻れますよーに、の精神で。


因みに、処理したコピー体は[収納]に。

外見が残ってれば知人友人に見分けられる可能性も有るだろうな意味で。

フィンカが甲斐甲斐しく回収してきてくれたので数は膨大。

区別には数体有ればいいんだけどね。

と言うか、フィンカ。

お前、これ確実に食材認定してるだろう。「シャキシャキ歯ごたえ」とかな意識が漏れて来てるから。と言うか既に経験があるのだね。炙り焼きで風味が増すとか、要らん記憶も漏れてるし。あー、地味にこっちの松茸に似た風味の記憶に混ざるのが罪深い。


……まぁ、試しに食すのは大事か。

命を大事に。経緯や形態はどうあれ、誰かに食され血肉になるのも自然の摂理であるのだし。

勿体ない勿体ない。



開放した隠し扉からは地下への階段がと思いきや、今回は一階分を下りた時点で通路へと変化。そのまま、遺跡から離れる方向へと伸びていく。

慌ててMAPでも確認する。特に魔物の巣窟へと誘われる心配はなし。ただ、どうも人間の集う箇所には向かっている気もしたり。


……ふむ。

だがとりあえず。

地上の必要性は減った感じか?


予定変更。

フィンカをその場に待機させ、全力疾走モードで地上部分を確認した。魔力による反応も無いので今回も普通に廃墟のようで。

非政府系人間観察で鍛えた、金庫探しの要領で……幾つか怪しいのを掘り出した。

詳細は後で確認しよう。今は回収優先で。

30分と掛からず作業を終えた後は隠し扉の傍にて、実に久しぶりな全力の、[万色の調味能]の発動。今回は収納内の調味料の補充で。

醤油と味噌が一応優先。出汁ではないが、時には出汁の代わりとしても使えるので。


……別に、キノコ焼きに生醤油でジュッと醸したくなったから、ではない。


今回の主目的は、このチートを使う事で起きる魔物の狂乱化だ。

大型の魔物が暴れたせいで周辺に暮らす何か達の気が、怯えたり興奮したりと高ぶっているのは確かだろう。それを利用する。

案の定、途端に周囲の魔物の反応が活性化した。此方に向けて集合してもいるので地下に潜り扉を閉める。

そして、壁越しに高威力の魔術で最低一階部分に大きいダメージを放つ爆裂を何度か使った。


……これで少なくとも、この遺跡の原形は怪しくなったろう。

しかも魔物つきだ。

瓦礫と化した遺跡ならば俺たちの痕跡も消せるし、バレたとしても多少は時間が稼げるな算段で。

地下への被害を考えないでいいなら、このぐらいはやっとかないと。


地下通路にしゃがみ、地震のような揺れにやや不安な表情で待つフィンカも俺が戻った事で復活。

おおよそは俺の意識から情報を得てる筈なんだが……、やっぱり傍に居ると居ないじゃ違うもんなのかな。


まぁ、しかし。

これで現場を此処の貴族に渡さずに済むのならな判断で。

投入した戦力から魔物との遭遇は情報として得てるだろう。だが上の状況からどういう結果に落ち着いたかな推測は難しいだろう。

と言うか、あの惨状から正解を導き出せたら、それはそれで感心ものだし。


そして此方としては、追われる気分が少なくなって多少は余裕の気持ちができた。


そんな感じで再始動と行こうか。


地下通路を進む。

基本直進の一本道。途中に小部屋は幾つか有ったが、どれも倉庫のようで風化し原形の判別もし難い残骸が転がっているだけだった。

だがその部分にやや変化も。

軽く数キロは進んだ頃に発見した小屋の中。

其の中の物は少々異彩と原形を保つもので。

いや、異彩じゃなくて異臭だな。


ここで繋がるかー……。


あの祭壇が在る。

正確には崇めるべき偶像の細部に違いがあるが、多頭に多腕に多脚の異形。

色々な生物を縫い合わせて作られた、産神リフィスを象徴するリフィスの子の姿の其れだ。


生きていた物の継ぎ接ぎと言う事で造形も違うのは当然としても、今回の像はまるで菩薩像と呼べそうな雰囲気がある。

予めリフィス神の経緯を知ってなければ同系統のものと即座に察する事は難しいか。

ただ、前世の記憶の其れへとは連想できたが、同じ物とは認めたくはない。

流石にね、生々し過ぎるのはね。

欠片でも事前の知識無く見れば確実に恐怖の像だから。

……いや、知識有っても恐怖は恐怖か。子供なら見ただけで無くのが確実で。


それが多少でも緩むのは、これが作られたのがかなり昔だったからだろう。

防腐処理付きなのか腐敗はほぼ無しの、完全にミイラ化してるお陰で彫像の雰囲気が強いのが救い。

むしろ完全に防腐を頑張ってくれたら普通に彫像として見れたのに。


腐敗を防ぐにはなるだけ脂肪分が少ない方が良いと言うが、あまりに無さ過ぎると今度は風化を招きやすくなる。

特に水分が多い割には脂肪も筋肉も少ない顔面なんかがそれに当たる。

ミイラ化に伴い急激に乾燥した結果、頭蓋の表面に硬質化した皮膚が組織を維持できずに剥がれ落ちてしまうというやつ。

流石に顔面に派手派手しい骨の表面が出てたら目立つ。そういったデザインだと勘違いできたら……それはそれで幸せなんだろうが。……残念な事にそういう実例を山程見た経験があると自分に嘘もつけない。


そうなると不自然に繋がってる部分にも観察の視線が行く訳で、皺のよった肌の中に縫合後とかも見つけてしまうのであるよ。


さてと……。よくよく観察すると両性共有をイメージしてるのか、背中合わせに男女の前面同士が縫い合わされた頭部と胴体を中心に可能な限り手足が付け加えられているものだった。つまり、基本は双面像と言う事で。

人相は先程の感想どおり、骨が露出してるので判別不能。髪の長さと胸部の形状で片方が女と判る程度。手足の本数から犠牲者が二名以上なのは確かだが、此処も萎れきっていて年齢などの細かい部分は判らない。


……依頼主からは収納からの鑑定依頼が脳内に来てたりだが……、其処は勘弁願いたい。

何と言うか、もうただの物体なのは確かなんだが、普通の死骸とはちょっと扱いを変えたいので。

個人的な感傷なんだけどね。

いや、感傷というか、警戒心か。

地球時代の霊能はオカルトの範疇なんだろうが、前にそういった祖霊の守り神的な処置を受けた物が商品化した時に、回収後の変な現象が色々とトラウマとなっているので。

……むしろこっちだと、それが絶対オカルトで終わらないよね? な確信がね……。

いや、ホント、すんませんすんません。


むしろ魔術的な儀式の素材になってて魔力が満ちてる対象の方が安心できるとか……。

本当に、オカルトって理不尽な現実味が不思議だよねえ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。