↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/85

57話

守護者を失った塔内。「おーっ」と隣ではフィンカの素直で子供らしい歓声。

昨日の戦闘(?)の様子はちゃんと見てたようで、帰った時は顔に尊敬と書いてあるくらいな笑顔で。

ただし、尻尾は股の間に挟み込まれてもあったので、中々の恐怖は与えたもんでもあったらしい。


……当時を振り返って見て……

うん。ちょっとこう、死に難くてしぶといのに対して麻痺で無抵抗なとこも合わさり、ちょっとテンション高めに相手もしたかな?

ちょっと普段じゃ出さないような怒声も出したり。

最後の方は、ちょっと変な高笑いもしてた気がする。


……。

……。

……今後は少し、年長者の落ち着いた感じを意識していくか。

子供を怯えさせるのは別の方面でな精神で。



室内の様相は一言で言えば……荒廃。

流石にヒドラが這い回ってた影響が出ている。

辛うじて原型を残す内装から、この塔が元々は図書館のような施設らしいとは判るが、本としてまともに残っているのは、ほぼ無し。

紙片と化した物を確認してみたが……読めるようにするにはどれ程の労力が必要なのやら。


どうも、あんなに苦労した魔物退治も余り意味が有る感じじゃなかったようで。


比較的状態の良い部屋は窓が無いもの。

それでも内側から扉が壊されてな物は同様に荒れ果てていて期待薄。

だが五階の一室にて、初めて被害皆無の部屋の発見に至る。

隠し部屋仕様で普通の扉じゃなかったのが幸いか。

隠し部屋の中身と言う事で成果も大きい。

なんと、魔道具。

しかも今まで俺が見てきた物とは違う、占いの水晶玉な外見をした謎の機能な感じの魔道具。正確な機能とかは[収納]してから鑑定任せで知るつもりだが、取説的な仕様書が普通に読めたので、とりあえずの機能は知れた。

なんと、映像記録用の端末。

ビデオカメラのようなもん。しかも自撮り専用で。

魔力を入れた当人の記録をするような仕様なので。


……再生用の機器は別に必要っぽいので、其方も探すか、最悪はこの魔道具を解析して自分で創るしかないだろう。


まぁ、見つけた端末自体は複数有った。

推測では此処の施設にある記録のバックアップな気もするので、中身は後々の確認の方向で。


見つけた雰囲気から貴重とは感じるものの、俺本来の目的を思うと期待外れなんだろう。

肝心のミラテル関係の魔術とは無縁っぽいし。

手元に確実な資料で見れてないのが理由だが、どうも魔力のラインとは真逆の方向へ塔施設の情報が偏ってるので。

崩落している最上階に着いてみてはっきり判った。

此処は魔導国の系統に属する学術機関の施設だ。

図書館の印象? 訂正しよう。

図書館と言うには付属する設備が俺の知る私塾の細部と似過ぎてている。

屋根も壁も消えてはいても、此処は何処か師匠の部屋の雰囲気を残している。


タイミング良く、脳内にミラテルからの補間情報が追加。

俺が見てきた紙片の内容は、どれも今の時代じゃ余り使わない古語に類するものと言う事で。

彼女の博識っぷりは、其れこそ師匠に迫るもんなんで大変助かる。

しかも自分が及ばない系統のものでも、貴族特有の人脈で情報を集めてもくれるし。

今回のように情報提供でのタイムラグが出るものも其れだが、


フィンカも意外なところで役立つのを証明した。

最初は状況が判らず、ただ俺に着いて静かに移動してるだけだったのだが、その分、しっかりと俺を観察しててその仕草の意味を理解したようで。


最上階まで行って俺の落胆の気持ちを読んだ上に魔物の気配も無いと知ったからか、途端に子供の遊び心を湧かせた。

其処のところは正直困った反応だったが、ではと俺が望む物の情報を汎用獣人語の片言と身振りで提示。

すると、どうやら魔力のラインを嗅覚に似た感覚で探せるのを披露した。

これは助かる。

俺の場合は俯瞰視覚で、しかも最短距離を直線や曲線で示す感じにしか判らない。実際の現場ではそれで移動通路が設定されてる訳でも無し。遺跡を造ったやつの感性を推理し、移動経路の探索自体は地道にする必要もあったので。


最低限、魔力ラインの方角で地上施設には何も無いのは確認済み。ならば答えは地下なのだが、ここでフィンカの鼻が正確な移動経路を探し出してくれた訳だ。


あっちこっちと塔内を歩いての、ようやっとの入り口の発見。

昔々のダンジョン探索RPGで体験したような意地の悪いデザインを連想された其れ。

スタート地点から壁一枚隔てた隣への移動に、その施設内の隅々まで移動しないと到着しないって感じの意地の悪さ。

……フィンカの活躍が無かったら、また完全に一日無駄にしてたと思う。


因みに、偽装した入り口の扉は積もりに積もった瓦礫と埃の下。

……本当に一日のラグで発見できたかは言わんとこう。



地下への移動は階段式。

やはり三階分ほども下がるが、今回は周囲に魔術の儀式めいた雰囲気は無し。

地上と同じに、塔を造る石組み製。ただし魔力の濃度は途端に肌に感じられるような濃さになる。


降りきると通路としては直線なのだが……通風口らしきものが天井付近にやたらと有るか。

入り口が埋まってても換気が効いてるのはこのおかげか?

それにしても多過ぎと感じるのは……の答えはその先で発見。


ふむ、此処の魔術様式は前回とは別物のようで。


フィンカが怯えてる。

まぁ、当然。

前回では魔石が安置されてたろうな箇所が、実に立派な[養卵器]だもんよ。

しかも中身が……異世界基準での何かなのか、とにかく孵化待ちの卵とだけは想像できるものでしかない。

見た目は完全に、葡萄の房なんだがな。

……ああ、いや。

見覚えは無いだけで正体は知ってるかも。

鈴生りの卵をつなげているのは茎じゃなくて胴体だ。蛇の。

要は、ヒドラの枝分かれした首の数の分、卵の形態になってるようで。

しかも生まれていない状態は魔物としても反応していないようで。

こんな状況は流石に想定外で、俺も驚いた。


孵化前のサイズが人間の倍サイズの小ささって事もあり、速攻で退治。

風系統のエアカッターを連発で十分に仕留めれてる様子。

視認範囲の卵を狙うのも面倒な数なので、とにかく連発。

胴体部がビクンと反応はするので、それが止むまで続けたよ。


埃の舞い上がりに混ざって、見慣れた黒い塵が見えたので倒したと判断。

魔物の反応は出て無くても一応は魔物扱いだったらしい。しかも、この世界産じゃなくて魔王系列で創造された類いのやつで。


一連のドロップ品は……出てこないか。DVDディスクが出たら出自の予想も取れたのに。


周辺の状況見えるようになって、養卵器が置かれてる台座の作りで確信。

これが此処の遺跡の、魔石の場所に該当する部分だったようで。

まだ理由は判らないが、ミラテルに直接魔力を送る前に特定の魔物を創造するための魔力集合点……もしくは特異点にしていたらしい。


(今回は自分が行かなくて助かりました)


そんなミラテルの意識も届く。

確かに。

もし孵化のタイミングでミラテルが転移して来たとかなら完璧に餌認定。

しかも、地上への通路が埋まってる状況で。

正に摘みの展開。

彼女が幸運だったのか、または何かのご都合が働いたのか?

まぁ、答えは出そうに無しで。


ヒドラが一定間隔で世代交代するための仕様と考えて良いだろうなぁ。

あの換気口も、まだ生まれたてで小さいヒドラだけは外に出れるようにな機能っぽいし。


とりあえず、次のヒドラは未然に潰したが……魔力の濃度は特に変わらず。

似たような儀式の方式なら、あの台座の地下がある展開か。

フィンカが周辺の臭いを嗅ぐようにして台座に注目もしてるので、其処の予想は当たりだろう。


……さて、また地下には死骸が置かれてんのかねぇ……


今回だけは、簡単にでも儀式の形態は調査し、機能自体を潰そうと覚悟しとく。

放置で即、ヒドラの製造とか洒落にならんし。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。