↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/85

46話

休めなかったような休めたような……。

そんな一晩を過ごしての朝日は、実に目に渋い。

チートな身体になって地味に嬉しいのは二日酔いと無縁になった事。

不摂生に伴うバッドステータスは後になって「それも良い経験」と思う事も有る。しかし二日酔いだけは別だ。単純に中毒症状の解毒期間でしかないからな。毎日自由な時間を無駄に過ごせる環境ならともかく、日勤就労と言う自身を奴隷化する立場に甘んじる環境では休息って選択だけは無いから。

そもそも、自ら毒を煽った挙句に休みます……じゃ、雇用主に弁解の余地無しな自業自得な訳だし。

図らずも、今の俺はその雇われ状況でもある訳で、健常を維持しやすいのは実に助かるとしか言えないので。



村を発って向かう場所は、地図と魔力のラインを見比べ、一番近いところ。

今度は枯れてない、現在絶賛稼動中の場所の予定。

幸い、初回から魔術効果の想定が得られたので、他のとこも同様に動いてるのかを確認したい精神で。


問題は、今回は地図に到着地が記せてない部分。

MAPに反応してる魔力のライン頼りだからなー。地図情報による予想はできても、行ってみるまで現場の情報が一切無い。

ついでに言えば、このラインも点と点を結ぶ直線だからな、道中の行程すら其の場凌ぎになる。


……実際、向かう方向に判りやすい谷とか在るし、早速迂回路を見つけんと。


村に滞在中に一応附近の地理情報は得た。……が、谷向こうは完全に範囲外。しかしたまに行商の旅商人は来るそうなので移動手段が無い訳でもないと。

豆情報としては、一番近めの次の村は[シュマニー]と言うらしい。

……この村との直の接点は欠片も無いが。


正式な街道では無い道を進む。この村の住人や行商が行く事で踏み固めた道で、土が剥き出しのもの。街道のように魔物避けの仕掛けは無いが、長年の経験則で魔物と遭遇し難いルートにはなっているそう。

そのせいか、無意味にと思う程に曲がりくねった道だったり。

有益な部分としては道端にも関わらず野草類の採集が捗った事か。ハーブ類は大量。薬草類は微妙。手付かずらしき地球産の知識に反応した一部のヤバい草とかは……一応役立ちそうなのでゲット。

……後で加工して、世間では害悪認定の人種に試してラリらせてみよう。

どうせこの世界じゃ合法だ違法だな区別も無いようだし。



獣道に似た道を行くこと一時間。結局は谷の間近まで着いてしまった。

しかもこの道、どうやら谷底へと下るルートであるらしい。

……まさか、力技な降りて渡ってまた登り……な感じだろうか。

ならいっそ、チート任せでジャンプで横断……は流石に無理か。谷の幅、軽く500mは有りそうだし。

現在位置も魔力のラインも真下を行く形なのが悩ましい。

左右どちらかに迂回しても遠回りは選択になる。しかも迂回したとこで何処まで谷が続いてるかが謎だし。

此処に下りルートが存在する以上、近くに橋とか無さそうだしなー……。


……進むか。


谷底へようこそいらっしゃいませ、な行程は完全な徒歩ルートのようで。

自然の地形からな斜面を活用した道では在るが、巨人の階段って感じに派手な段差の部分も在る。確実に馬車では無理なのが判った。

標高差は凡そで100m。道が途中で横穴洞窟トンネルも活用してるから総移動距離は判らない。とにかく、グネグネと曲がってる。MAPが無かったら数分で方向感覚を狂わされたろう。

小さめの魔物も登場。

外見は噛みつき亀で首の機能はスッポンの如しなやつ。

ゴツゴツした体表で周囲の風景に擬態し、近寄る者へ攻撃兼捕食してくる。

攻撃の寸前で害意からMAPに反応。隠密性能もあると。

一体目の攻撃をギリで回避し始末した後は普通にMAPに潜伏する反応が出た。それを[収納]に収め鑑定する事で、名が[トラップトータス]と判明。


今回は普通に死骸が残るタイプと。

同時に倒してもドロップ品は出ない。

ただ、鑑定した時に判ったが解体すれば体内から魔石が回収できるらしい。

潜伏型の魔物は生体維持に生理機能より魔力を利用する傾向を持つ。その方が複雑な構造を持つコスト無しでの合理的な進化って話なのかね?

とにかく、種や個体の強弱関係無しで魔石持ちが多いと。


そんな鑑定結果から察するに、通常の魔物は強い程に魔石を内包してて、弱ければ魔石無しな感じか?

俺の中の魔物代表と言えばホーンラビットなのだが、既に自前で解体したのでも百数体、一つの魔石も得た事が無い。

初めての魔石ゲットは……ゴブリンか。価値無しクズ石認定しかされてないやつ。

ちゃんとしたやつだと例のDVDディスクを残したトロール。しかしあれはもう、露骨に何処かの誰かが人造っぽく作りましたな存在だったので普通の魔物からは除外したい精神。すると人型は総じて除外な訳で……。

ふむ、何気に天然物は初ゲットと言う訳か。

これは後で解体しよう。是非に。


……因みに、正確な意味ではその推測が正しくなかったのは、後に収納内の魔物のチェックを全てしてから。

なんかもう、食肉確保での捕獲数が膨大で解体は収納内で自覚無しにしてたのを忘れてた。

そして収納内のチェック項目には結構な数の魔石がゴロゴロと。

回収時のタイムスタンプが押されて……な便利機能は流石に無いので、どれが最初に得た魔石かは[○○の魔石]から判断する人力に。

やってられるかの気持ちが正直なとこなので初魔石云々の経緯は無かった事にして記憶から消した。

まぁ、しかしこれで素材的に何時でも魔道具は作れる訳で、実際、劣化鑑定機能付きのPCモドキは創造済みな訳でもあるし……。

ああ、その時には既に十分に魔石も持ってた訳か。いや気持ち的にはトロール産を使ったような?

……うむ、よく覚えてない。

と言うか、ながらスマホっぽく歩くのは危険だし、今は止めとこう。


うっかり、MAPの反応見逃してトラップタートルに噛まれたからこそ得た教訓。

しかもその箇所が尻。見事な威力の噛みつきでスボンはパンツごと綺麗に咬み千切られた。

生身の方にも見事に咬み痕がついたが痛み以外は即再生。今はツルツルの地肌を外気に晒す半ケツオッサンと情けない姿に変貌した。

……着替え、山程調達しといて良かったわ。


魔道具で清潔で壊れないインナーとか、真面目に創造するかなー。

ファンタジー世界だから不思議素材の利用で高価でも何時か入手可能な……とか願望あって、何だかんだと安物の消耗品で済ましてたからなぁ。

しかもいざ実際に魔道具の面倒の製造方法を知ったら、生産チート無しの職人工芸的な部分で先送り。

更にいきなり、魔王な扱いで万物創造(誇大表現)に創れますとは言われつつも、色々世間(神様案件)との兼ね合いで制限付きとか。


……何処から手をつけたら安全かが非常に判り辛くて、正直困る。

失敗したら世界が敵になるとか、ハードルめっちゃ高いし。

そうなるとまぁ、結局は気を逸らすなに落ち付くのか。

何でも出来そうな自分を早く知りたいって感情は消せんけど、こっちの世界なら前世よりも「先は長いし」を実感できる分まだましでもあるし。

……前世の出向三昧、酷い時は数時間おきに「もう死ぬ」って覚悟連発してたもんなぁ。結局、最終的にはそうなった感もあるし。

……本当、前世の自分の死因とか何だったのやら。

神様に記憶封印食らう程なんだから、絶対ヤバいやつなんだろうが。



結局雑念混じりのままの移動となった。

そして谷底に降りてのルート選択に迷う俺。

恐らくは季節による鉄砲水の繰り返しで作られただろう、谷底。今はその時期じゃないようで、足首ほどの浅い小川が流れる程度の底は簡単に渡れる。

で、これから反対側にて登り行程かと思ったら底から地続きの洞窟ルートを発見したり。

しかも魔力のラインは確実にその洞窟ルートの方向に走ってたり。


……もう作為すら感じるレベルの移動フラグと言うか。


それは言い換えれば「罠」とも言う訳で。

とても気軽に向かう気は起きない、其れだった。

とは言え、一応は隠された通路という雰囲気も有るのがなぁ。


俺の場合は方向指示のサイン付きなので気付いた訳だが、素で此処を移動してるとすると、往路と復路、どちらからも視線が通らない位置に入り口は在る。

この場所でキャンプでも張るなら、近場の散策で確実に見つけるだろうが、俺でもこの場所は危険地帯って判る地形なんだし、地元勢が長居をしたいとは思わんだろう。

……むしろ、災害発生の確立が高い現場に留まる馬鹿はとっくに遭遇して死んでるだろうし。


……そんな場所に思わせがちなルート選択。

嫌な予感しかないが、そっちが当りなんだろうなぁー……。


とりあえず、MAPから危険そうな要素は一通りチェックしてみて、直近で鉄砲水の気配は無いらしいと判断してからと気持ちを決めて……その気持ちが成立してしまったが故に、俺は洞窟の方へと足を向ける事となる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。