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41話

ある程度の魔力量を持つ者だと、俺の垂れ流す魔力の残滓の異質さには直ぐ気付くらしい。そこから「凄い魔力待ち」で済むか「もしかして人外?」と判断できるかが貴族の質な感じで。

少なくとも、この国で[人柱]をやれるなら完全に後者のようで。

そう。師匠も随分と昔に経験してたらしい。


さて、ミラテルの依頼には即受けるか断るかの判断は保留となった。

いくら俺が魔王種だからだとして、直ぐに依頼の通り彼女の魔術効果を消せる保証が無かったからだ。

だってなぁ、物や現象を創造してたとは言え、俺の感覚では何かに[味付け]をしていただけ。

余りにも依頼内容とは違う手法が要るのだし。

……何より、師匠からも「待った」が入ったし。


ともあれ、彼女の依頼は様々な用意が整ってから。

彼女の側としては、今はシーディスとしか繋がれない意思伝達の魔道具を俺用のを調達する時間。また前回ので全損したらしい冒険者活動用の装備群の調達。

俺の方は、彼女の要望に沿った能力の調整が可能かどうか。

また、その手段が取れなかった場合は従来の解除方法への新たなサポート要員な感じで。

単純に俺のチート性能は護衛役として最適なのだそうで。

情報源は師匠。身内に売られたと言う事実。

まぁ、でないと「無理矢理にでも魔王種能力の強化」な方向を取られて、高い確率で面倒なトラブルを生むそうだしな判断。


……逃げるって手段は下手打ちらしい。

彼女はもう俺の魔力のパターンを記憶してて、それを頼りに追跡していた。

他の国に行っても追跡が終わらん理屈。

確実に終わらせるなら……。

まぁ……少なくとも一生エーデルワイス公爵から賞金首扱いだろうなあ。


けどまあ、今回に限っては自分が受ける気持ちなので問題無い。

どうせ特にノルマを決めた生活でも無し。

成功させれれば社会的信用が増える……と言うか、女一人が確実に今よりましな人生を送れる。それが成せれば、少しは俺の気分も良い。

この手の記憶は、五年後くらいに無性に嫌な後悔になったりするのだし。

将来、どう巡ろうとも自分のための行動だ。



「現実的なのは魔道具であろうの」と師匠。

俺の魔王種特性で周囲に影響少なくな答えは、其の一択。

仮に彼女の呪いのような効果を強引に消せたとしたら、其れらの魔術効果に属する現在の理から伝播し一発で世界の敵認定だろうと。

それはちょっと……勘弁願いたい。


加えて魔道具化するにしても方法の取りようが。


例えば、「魔術の解析と解除」。そう言った言葉から俺が直ぐ連想したPC。パソコンに類する感じの物。

(異世界の)発想に感心されたものの、今回の場合は有効か怪しいとの言葉。

今までの調査で、彼女への効果は儀式的な魔術が疑われている。つまり一度効果を消せば終わりでは無く、魔術の発生源の消滅が必要。

其れらの機能の他にも探知機に当る機能もが必須な訳だ。

最低でも小型化し、携帯性も必要だろうと。

中々に開発のハードルが高いようで。


ううむ、最悪、持ち運びは[収納]で頑張るか。

とりあえず、俺の中ではサイズは優先度低めでいい。

探知に関しては、現在でもミラテルの単身行動の理由になっている訳で、方法は確立している。それをデータに俺用の魔道具化が可能かは後で確認。

最終的に最も重要なのは、直接でも間接でも魔術の解除手段が可能かって部分か。


……なにか装置的なもんなら壊せそうな気もするんだけどなぁ。


其処はもう、完全に情報不足だわ。


ああ、後そもそも論の話も。


……俺、まだ自分で魔道具作成した事も無いって事実。


その日の晩から、師匠の超のつくスパルタが始まった。



夕飯後の自由時間が一切合切消滅。

私塾地下に有る錬金工房の、更に地下に作られた隠し工房にての研鑽となる。

塾生が間違っても入らない用な感じの仕様だそうで。

触れるだけで危険な素材が色々と。

また、そんな物が溢れているので外界との接触を無くす結界的なものも頑丈。

例外的に、魔王の力を存分に奮えとの許可付き。


……じゃあ、とりあえず適当な酒を素材に清酒でも……。


殴られて没収食らった。

何たる理不尽。


最近は日本のオカズ風も多くなってて、晩酌への欲求も膨らんでたり。

流石に手に塩盛って冷酒をな肝臓駄目にするのがデフォ呑みでも無いが、醤油ベースの食事にはついつい……ねぇ。


けどまあ、真面目な話。

ここ最近は本当に現物のアレンジ系でしか[万色の調味能]を使っていない。今回、このチートが万物創造の系統のチートと自覚できた以上、全力だとどんなもんが出来るのかくらいは知っておきたいのも本心。

その辺り、駄々捏ねて困らす孫の気分で懇切丁寧にプレゼン。

ようやく諦めさせ……では無く、納得させれて頑張った。


そうして完成。[チ・ヨ・コ・レートォ]。

マジに頑張って水から創った。

本来、地球的技法では恐ろしく手間と時間が必要な菓子原料。

それは元々、菓子ではなく薬、しかも麻薬に近い原住民生薬の作成法をルーツとするため。その地域文化での儀式に必要な薬として無駄に複雑化、及び伝統化した影響な訳で。

まぁ、新婚さんはこれ飲んで立派な子宝に励めな効能……とだけ言えば判るだろう。

其れ故に原液の味は物凄い。素人さんには毒一歩手前くらい。

初見で美味いとか感じる奴は確実にニコチン中毒な同類って感じで。


まぁ、そんな感じで強制剤とか幻覚材とかな作用は置いとくとして、後々に注目された抗酸化作用と、当時としてはな栄養補助作用から徐々に食生活へと浸透。

更に大きく端折って現在の仕様に至る、な感じで。


一応は、此処のガキ共の栄養改善も考えてのチョイス。

こういった隔離空間ででも作れるなら、有った方が良いし。


其の他、現代料理に必須気味の調味料はこの際ドンと創造してみた。


そして判った、俺のチートの法則。

かなり応用性はある創造だが、『全くの無からは創れない』。

何でもいいが、『創る物と同量近い素材か原料を必要』とする。な制限付きで。


事象や現象のテストな感じで、工房内の一定エリアを激辛空間に……とかも試してみた。

成功はしたのだが、空間を変質化での創造と言うよりは空気を素材に創り変えたに近いようだし。

どうやら神の御業には遠く及ばないようで。


魔道具に関しては、一応は成功した感じか?

とりあえず、手元にA5サイズのタブレット的な端末と外付けDVDを用意してみた。

前は構成部品の作成からかと悩んでたが、俺の「こう使おう」の意識を反映させた感じで創造してみたら形になった。

肝心の使用デストはこれからだが。

テストに使う用は、前に何枚もゲットした魔物のデータDVD。

ようやっと確認できると安堵。

本当に確認できるかは試してみんとだが、そこは成功する前提でのボジな精神で。


魔道具だからな、普通に魔力で駆動。

でも何故か電源ボタンと言ってしまう部分を押して起動。

俺のイメージからなのか、PCのOSタイトルが浮かんでから普通の待機画面が立ち上がる。

ふむふむ、此処まで順調。

外付けDVDの端子を接続しての認識もイメージ準拠に。

[収納]から出したディスクの一枚をセットして読み取るかの確認を。


……そこで、ふと気付いてしまった。


開きっぱなしにしてる[収納]の出し入れ口。

それはやや長方形をした宙に浮く半透明のタブレット画面のようなもの。

こうして物を出し入れする境界にもなるが、収納内の一覧を表示したり極々たまに機能する[鑑定]の結果を表示する……まんま画面的な使い方もしてたりで……。


あれ?


PC魔道具がディスクを読み取る結果を待つ少しの「間」の間に、何とは無しに収納一覧から別のディスクを選択。取り出すのでは無く、「内容表示」と意識してみて……。


「「ピッ」」という電子音が二つ重なった。


何やらステータス数値がズラズラ並んだ表示が二つの画面にほぼ同時に展開されて。


……。

……。

……。


膝から力が抜けた。

本気の脱力。

何時ぶりだろう。

ここ数年は無かった感じ?


「俺のアホーーーーーーーーーーーーッ!」


そう叫ばずにはいられんかったわー……。

流石に師匠も驚いてたわぁ。


でもまぁ、こうして。

俺の創造チートは自分の能力の劣化コピーっぽい魔道具を創るのが可能とは……証明できたのである。

うん、プラス思考の精神……でぇ。


……ぐほぅ(吐血)




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