↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/85

37話

修行の合間に水爆師匠よりの雑談。

内容は主に魔導国の貴族の在り方。

俺の異世界産の仮想貴族設定だと、特定地域の土着支配者として君臨し、自分を世界の覇者だと勘違いして踏ん反り返った態度で周囲一体に理不尽な不幸をバラ撒くクズ生命。

「そう言った類も皆無では無いが……」な残念な同意を得つつも、魔導国内に限って言えば、そう言った強者の立場を保証されるだけの義務を持つ称号と言われる。


魔導国がこんな特異な形状の都市をしているには意味が有る。

俺が初見で「魔法陣」といった感想を得たのは正しく、魔導国は一つの巨大魔道具として機能しているのだとか。

そして魔道具である以上、起動し続けるには魔力を必要とする。

貴族は全員、その燃料供給者として此処に暮しているのだと。


そして現状。

貴族の資格の最優先は魔力の高さで、近年はその人口が減少気味。

それを補うために最近は平民の中からも魔力の高い者を貴族待遇にしているとか。

一般の学習機関の学生も半数はそんな感じに。特に保有魔力の高い子などは、出自関係無しに此処の私塾で特急エリート養成をしたり。

どおりで、此処の塾生の食いっぷり野生味がある訳だと納得。

実は市井に生きる貴族の血を引く私生児ってのは珍しくもない訳で。

……ただし、この国に限れば由来未確認の魔力の高さが良い証拠と。

まぁ、地球の各所にも自称を含めれば青く尊き血の末裔はごまんと居ましたし。


「育成資金は国から充分に出るが、肝心の教育者が不足でなぁ……」と、実質的に本当に孤児院長気味の師匠の本音。

魔術士の教育者としてはベテランでも純粋に子供への教育と養育は不得手だったそうで。

まぁ、ファンタジー知識での感想だと、そう言うのって侍従とかな部下が担当する分野だろうし?

お貴族様本人には管轄外だわなぁ。

ある意味、俺が非常に便利な存在だったと。

まぁいいけど。

赴任先で難民やスラムのガキ共に気まぐれでの青空教室とか思いだすし。

「自分の役に立つオッサン見つけたから勉強に利用して成り上がる」とかな質素過ぎな素直な欲望には、つい、偽善の精神もでるし。

浅知恵付けて「殺しててでも~」な追加な欲望が湧いたら、その時点で反撃もするがな。暴動癖の文化がある地域は、或る日突然、親しいと感じた隣人が発狂するから油断がならない。

慣らしても野犬は野犬。狂犬病の牙付きな存在なのは忘れずにの精神で。


自分の現在位置の不安定さを師匠に御教授された訳だが、それは俺の側からも言わんとな話だったり。

先日の謎の追跡者。

絶賛、放置中だしなー。


昨日は無事に市場の中で撒きはしたが、それが此処まで追ってきては居ない保証は……――。

一応MAP確認。

うん、不審な反応は特に無し。

――保証は仮くらいな危険度で。


とりあえずその懸念が師匠にも言っておく。

「魔王種の潜在危険度の想定内」と、随分と漢らしい反応で終わられて。

何だろう、貴族というより軍人の反応なんだが。


色々と世間の情報は得られたが、どれも上っ面な内容だったと言うのが本音。

この都市が巨大魔道具としても、何の魔道具といったもんは露骨に発現避けてたし。

都市内の貴族が魔力の電池扱いは良いとして、では魔力を持つ俺のような外様はどういった扱いなのかな謎も残る。

住んでるだけでチュルチュル魔力を吸われている……な感覚は特に無いのだけれど。

……自覚無しに吸われてたって状況だとしたら、それはそれで怖いのだが?


そんな懸念を頭の隅に置きつつの、給食オバサン率高めな生活が三日程経ち、再びあの監視の反応がやって来た。



今回は市場への買い出しの帰り際。

昨日は珍しい雨の日で、翌日の今日は買い物から葉物野菜は除外していた。瑞々しい野菜は美味しいが、瑞々し過ぎるのは返って腐りやすいので。

当日に使いきるなら良いんだがねぇ。市場では日々大量買いで周知済みの俺が、世間への[収納]問題付きだと、こういう日は手を出さないが一般的なので。

手荷物少なめの偽装をしやすい今日は、絶好の追跡者対応日和とも言う。


見慣れた人波の流れの中に例によって姿は無し。

ただ、反応の仕方が先日とは少々違った。


ほほう、人数が増えているか。


おそらくは、前回のに加えて二人程、それっぽい動きのが追加されてたり。

俺と直に追う者一人と、其れらをやや離れて俯瞰し監視しているのが二人。

今度は俺が逃げ切れない布陣の選択のようで。

……すいませんねぇ、半径キロメートル単位の探査MAP持ちなんで。

久々に自分のチートさへの便利さより理不尽さを感じたり。

この卑怯さの役立ちっぷりは絶対に手放したくないんだけどな。


今回の対応はどうしよう。

前回同様に一人は撒いて、その後について来るのを確保の方が情報は取れそうでもある。

ただし、この布陣だとそれを見越した配置って線も捨てられない。

俺のチート性能を予想しての布陣とか、仮想敵の難度の設定が怖くなる。


となると……。

俺の性能を前回と同じに誤認させて済ます方が、相手の実力行使を軟化させれるかもな感じか?

しかし、第二追跡者を連れたまま帰還するのは危険過ぎ。

既に居場所を特定されてる可能性き捨てないが、自分からバラす行為はアホ過ぎる。


……となると。

最初の追跡者を撃退。

残り二人が増援として来たなら追加で排除。

傍観して追跡を再開してきたら、改めて反応した振りをして排除……な感じが平穏か。

一度目の対応で寄り警戒してたら気付いた~的なポーズも取れる。


一応は冒険者だし、魔物相手の他に野盗退治なんかでの人間破壊術とは無縁で無いし。暗殺っぽく動いても問題は無かろう。

既に一度は撒いてるし。

むしろ魔術は温存で。個人技能の個性が特殊過ぎる魔術だと余計な警戒心を与えやすいかもな想定で。


さて、状況開始。

大人しく市場を離れて多少人の少ない通りへ。

別の店が多い通りへと続く路地なので、誘い込みを警戒はさせてないと思う。……うむ、特に移動反応の具合にも変化無し。

細かく折れ曲がる狭い道なので、第二追跡者達からも直視も避けれている様子。

実に好都合。

後、そいつ等も地上を移動と判断できた。

もしビルの屋上越しに来られてたら、な懸念も消えた。シティ内、マンハントでは普通な要素。どの世界でも上からの監視は対応が面倒で。


MAP内の反応に直の追跡者以外の外野、まぁ半径50m内の人の反応が無くなったのが機会。素早く無力化。手頃な無人のビルに確保して情報を得る。

深く探る必要無し。人種と外見、襲撃への対応、それだけで充分だ。

金で雇われただけの雑魚ブラフなら、単に無力化して放置するだけで始末要員という新たな情報源も得られるので。

したらそれを逆尾行すれば、最終的に本陣に到着する。

何度その工程を繰り返すかは……相手の慎重さ次第で。

現代車両や通信機器付きで途中で途切られやすい地球時代より楽だろ、多分。

気分は20世紀のスパイ活動。

デジタルスタンプが外し難くなった21世紀では、逆に使われやすくなった感も有る古典技能だが。


そんな想定で動いた。

路地の曲がり角を折れた時点で反転。

ラリアット気味の大振りで出会い頭にの脳震盪を狙う。駄目ならその流れで、腕が触れた点に集中して首を折る。

……の、つもりだったのだが。


透明人間の頭が有るであろう位置への攻撃は、空ぶり。

次いで、いきなり腹への軽い衝撃。


ヤバいっ、鉄砲玉ダイブを食らったか?


暗器で突きの格好のまま身体毎の体当たりって、意外と避けらんないんだよ。

ヤクザの鉄砲玉にやらせる実に原始的なカミカゼアタック。

素人でもやれる簡単なお仕事。

南米や中東での主役は10代未満の子供だった。

そもそも背が低いから、俺みたいなのには死角の塊だったし。

人の視界って、自分の鼻から下って案外見えてないんだなぁ。


……って、子供だよ。


何が透明化の魔道具か。

単に背が低くて人ゴミ状況じゃ確認できんかっただけだろ。

何が油断しない慎重さなんだか。

自分がアホ過ぎる。


チートな身体でも死なないまでも刺さるは刺さる。痛みは感じる。単に致命傷にはならないだけ。

感じる痛みを予想し、瞬間的なパニックだけは避けようとして……。

……あれ、来ない?


腹への衝撃の後の放置感。

視線を下に向けてみれば……、路地に大の字になって倒れてる……子供?


……あれ?


状況確認。

推定追跡者は子供。外見年齢は4~5歳程度。

現状を推測。

追跡はほぼ確実だが、大人の歩行速度に追いて来れずに小走りに。

そのまま反転対応の俺と衝突。体格の差で子供が一方的にふっ飛ばされ、軽く失神状態に。


……あれぇ?


いや、待て。

童子虐待とかこの世界じゃ関係無し。

現物見て今更狼狽えるな、俺。

今まで何度刺されてるのかとか、思い出せ。

財布の中の50ドルと等価な襲撃だったとか理不尽だったろうが。


ちょっと……如何にも無垢な印象で小奇麗な美の付く童女も関係無し。

艶やかキラッキラの銀髪が地面で無残に砂まみれとかに罪悪感感じる謂れも無い。多分。

いや、正直感じちゃってるが。

因みに、武装の様子も欠片も無し。

紅葉のようなちっちゃい御手々にも荒事を連想できる要素無し。


いやっ、待て待て。

状況は済んでいない。

この童女の後ろにはまだ他の追跡者も居る。


とにかく確保。

予定通り、近くのビルに誘拐……違う、拉致……っは正解だけど、何か使いたくない単語だな、おいっ。


ええいっ、とにかく確保の精神でぇっ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。