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33話

俺ともう一人の魔術士で冒険者を捕獲しようとするツルを妨害し、他の面子が根っ子と胴体部にダメージを与えような戦闘が暫く続いたが、結果は良くない。

俺の参戦で多少は此方の攻撃が届くようになったが、結局は向こうの再生速度を越えてはいないから。

もう一人魔術士が居るか、巻き添え覚悟の大出力で俺がやるかな変化が要りそう。

……ルキシス女史とか途中参戦してくれねーかな?

魔術士ギルドに討伐の話が行けばな可能性は……有るかもだが、希望的観測か。

其処は下手打ったなぁ。勢いに流されて来ないで自分で寄ってくりゃ良かった。

まぁ、後悔先に立たないって例だが。


こうなると、やっぱり魔術以外の対応も投入かなー。

ちょっと思いついたネタも有るには有るし。


ただ、流石に周囲に人が居過ぎなのが何とも。

純粋に目撃者って問題と、これはこれで巻き添え被害が出そうな懸念も有るし。

……万が一が有っても怖いので、ちょっと小細工はしよう。


魔力切れで一旦退避の格好を装って前線から遠退く。

もう一人の魔術士も何度かそうやってMPポーションっぽい物を補給してたから大丈夫だろう。

回りに人が少なくなったのを確認したら[収納]からポーションを想像させれる小瓶を用意。同時に中身を生活系魔術の水で満たす。

で、[万色の調味能]で味付け。軽く咽を潤すスポーツ飲料風味に。

……さて、問題は……?

ふむ、大丈夫の様子。

魔物避けの機能はしっかりと働いているらしい。


[万色の調味能]を使ってで周辺の魔物が凶暴化する心配が無いなら、充分に実地検証もやれそうだし。


と言う訳で、収納から取り出したるは、オーク肉。

表面の保護膜を剥がした途端、濃厚な脂の香りが強く漂う。

ふむふむ、ルツボンのツルの何本かがこっちに反応したか?

凶暴化というよりは、単に肉に関心を示したって感じか?

ああ、これも一応は死肉な扱いか。栄養が欲しいって反応な訳ね。

……なら好都合か。


全力で味付け開始。

しかし見た目の変化はほぼ無しの其れを、これまた全力で投擲してやる。

これくらいの距離なら関係無い。

と言うか、さっきのツルの反応が都合良く働いて空中の肉を巻き取り、自身で投擲目標である壺口へと運んでくれた。

後は効果促進のダメ押しのつもりで、合計10個ばかりの味付けオーク肉を食らわしてやる。


効果は……、程無く現れた。


最初の変化は胴体から続く根っこの根元。

透明度のある白の体色に徐々に赤茶い斑点が生まれて行く。表面も萎む感じに縮み始めて普通な体色との境から裂けて体液を撒き散らし始めた。

その変化は全身にも現れ始めた。

流石は魔物の新陳代謝か、効果が出るのが速い速い。

あと、流石は植物。除草剤効果がてき面に出たようで。


今回のネタは天然成分での除草剤から。

内容は舌が痺れるほど辛いと感じるレベルの塩漬けで。

極端に濃い塩分濃度は、それだけで強い除草効果を出すからな。

普通の土地でやりゃ確実に塩害だろうが、相手が動きまわる災害サイズの魔物なら容認してねの精神で。


痛覚が有るのか知らないが、体が異常な状態なのは自覚してんだろう。魔導国に向けて移動する事も止め、その場でグルグルと意味不明に動き始める。

機敏に動く部位への塩害効果は速いのか、根っこの次はツルの大部分が萎れて力も抜けて垂れて行く。

全身もあっと言う間に縮んできた。最初の七割なサイズか。胴体の茶色く枯れた箇所からは体液とも違う大量の液体が漏れ出てきた。

おそらくアレは体内の貯めていた溶解液だろう。

これで中のミラテルへの被害も減るかもか。


ああ、漏れた体液で塩分濃度が薄まると困るんで塩肉追加。

今度は食おうとしないので、フリースローで投下してやった。


……なんか、植物らしからぬ「ビクンッ」な反応に、俺含む冒険者全員も「ビクン」。


それから「ビクン」の応酬が何度か続き、その度にルツボンが傾いてって。

とうとう横倒しになって、まだこれだけ溜めてたかな大量の液体を振り撒いた。


討伐成功。

歓声も沸いた。

……ちょっと、引いた気分で言ってます? な雰囲気を醸していたが。


「毒攻撃かー」とか「中の嬢ちゃん生きてるか?」な心配の声もチラホラ有るが……、平気ですよ。毒じゃねーから。ただの塩っ気だから。

いやまぁ、目に入ったら激痛で済まない濃度だろうけど。


その後は、まだ体力の有る連中でルツボンの胴体を裂き開きの、救出活動。

異変が起きたのはその最中。

突然、ルツボンの全身が黒く染まって塵と化して行く。

もう俺には見慣れた感もあるそれ。

えー、今回もそのパターンかな気分が。

と言うか、何かのキャンペーンなフラグでも立っている流れかな疑問が。

……もしかして、神様関係者が暗躍してるとか?


と言うか。

ドロップ品が湧くなら回収せんとか。

素材は山分けとしても、例のDVDだけでも回収したいし。


そんな意識でいたら如何にも作為的な感じで、DVDだけが足下に落ちてたり。

冒険者の皆さん、周囲に散り舞う光景を仰ぎ見ててこっちに無関心。

そっと……しゃがんで静かに回収。

おし、ミッションコンプ!


と言うか。

消えたルツボンはもう良いとして、肝心の要救助者の安否確認。

あと周辺に居る魔物の対応とか、まだまだ状況は終わってないよ。

死角から登場好きのヤンデール参戦。鋭い頭突きに臀部被害多数。

それで皆正気に返ったのか掃討戦を開始した。

回復担当の神官さんは……居たか。じゃあ俺は待機で。

深刻なダメージでも無さげなので。

と言うか、野郎の尻とか回復したくないのが本心だし。

本人達も神官待ちしてるし。

……美人の神官さんだし?


……一気に長閑な空気だな、おい。


まぁ、周囲を見るとヘイト無しで行動制限の無い俺が一番救出に楽そうで。


ルツボンの消えた辺りに戦闘を避けての接近。

巨大な山菜のようなドロップ品が大量に転がる中、目当ての人物を捜索。

結構踏み荒らされて地面はデコボコ。一目で発見できる程見通せる光景でも無し。

しかし俺の場合はMAPが有るので大体の位置は確認できるし。

あー、やっぱり窪みに埋まる感じで対象発見。両脚逆さにちょっとハシタナイ印象。

本人も不可抗力だろうが。

と言うか魔物が消えても捕食状態は継続のようで。

……うん、結構ドロドロだわ。

でもローブを着ていたせいか外見的な被害は……いや、駄目なようで。


――エロテロ注意報発令、エロテロ注意報発令!――


どうも生体活動を止めた天然素材への溶解作用は働くようで、彼女の姿勢を起こそうとした負荷だけでもボロボロと崩れ始めた感じに。

肌色率急増に慌てて状況無視での[収納]からテントを出してグル巻きへ。

……ちょっと前に全裸美女達の残念なエピソードと対面したからな。

絶対、似たような状況は有ると確信して用意しといた「こんな事も有ろうかと」の精神にて。


ローブ代わりでも全身が隠された姿。

流石に今回は顔の詳細も見ておけた。

やっぱり失神中なんで瞳の色と声までは知りえないが……、とりあえず、顔と名前の一致はいできた、と。

……あ、瞳孔の拡縮確認のつもりで目ん玉剥けば情報追加?

……いや、止めとこか。あまり紳士の行為とは言えんし。


他の追加情報としては……、鳩尾やや左に黒子発見。

何となくレア情報な予想也。


さて、とりあえずは最初の依頼は完遂しようか。

俺は救助対象を冒険者ギルドに届ける大事な大事なお役目で。

その他の事は全部ひっくるめて先輩方にお譲りの謙虚な精神で。


……またちょっと魔物のオカワリが入った感じだが、平気だろ。多分。




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