24話
新ステージは一筋縄では行かない。
背後から突貫一刺し偶蹄目な魔物以外にも、それを迎撃と街道から反れた途端に足下地下から「隙有り!」とばかりに伸びてくる先端硬質なタケノコっぽいやつ。遥か高空から脳天ピンポイント焼夷ウ○コ爆撃をしつこくしつこくしつこく続けて来る謎の鳥などなど。
兎に角鬱陶しい遭遇の連続だった。
しかもそれは、街道で誰か別の連中が視界内に居る時は止まる。
半径役4km、俺が独りの時に限った時だけってのが腹が立つ。
特に鳥。どんな対応を取ろうとしても、結局は最終的に波○砲的にしか使えん魔術で無差別殲滅しか手段が無いのが辛い。
中継地点の村に到着しての初村人との世間話が、「旅人さん、なんかドラゴンのブレスのようなもん吐く魔物が出てるようだが、よく無事だったね」な気遣いから始まるのの相槌とかで、非常に辛かった。
……すんません、話題の元凶、俺っす。
因みに、遭遇した魔物の名称は偶蹄目が[ヤンデール]、タケノコが[ジンバー]、謎の鳥が[ウザー]との事。一応はこの地方の冒険者ギルドによる正式名称らしい。
他に俺が遭遇しなかった[メッサースライム]なる魔物も出るそうだが、色んな意味で遭遇したくない名称なんで遭遇しない精神で。
追加情報其の二としては、この附近の魔物には広域リンクの特性があるそうで。
一度何かの魔物と戦闘をすると魔物全体に対して持続するヘイトのようなもんが生じて、以降頻繁に魔物が寄って来るとか何とか。
話してくれた村人自身がいまいちよく理解してない感じの説明だったが、これも冒険者ギルドから通達されてる情報とか何とか。
このリンクを消すには兎に角戦闘を避ける事。最低でも半日は魔物避けの状態で大人しくしてれば良いらしい。
……まぁ、ローカル常識満載の地域と言う事で。
魔物避けと聞いて思い出すのはカンテラの魔道具。微妙な量の魔力充填で一応は使える。作動させれば魔物避けも機能する筈で、この後点けてればとりあえずは平和でいられそうな感じか?
ついでに、ちょっと試してみるか。
魔力充填ができるなら誰でもって言ってたし、村の中での一休みの間に自分でも試してみようの気分。
引き馬を休ませれるための広場の一角に座り、ジナに習った時の事を思い出しつつ、カンテラを持つ。
流石はチートの身体と言うか、たった一度の体験でも自覚すれば「再現はこう」、な感じで始めれた。
体内を動く魔力の塊。右腕を伝い心臓を介して左腕へ。左掌から抜けた魔力の感触、両手で支え持つカンテラを中継した再び右掌から戻って来る。
……ふむ、魔力が戻る時に少し圧が減ったような。
その分が充填に使われたな解釈だろうか。
もう一循環。
今度は気持ち多めに一気に。
動かしてみて、これは何かしら魔術を使おうとした時に体内に感じた感触だとも自覚できた。
ああ、自分で理解してないまま使ってた自覚は有ったのかとも納得する。
今度はちゃんと充填できたか怪しい感じに戻って来た。
……ふむ、魔力を意図的に動かせるのなら、充填部分に意識を集中すれば体内に戻す分を減らせるかも?
魔力がカンテラに移動した時点で、右手側から魔力の受け入れを少し抑えてみる。意図的にパイプの太さを狭める感じに。
体感で成功。其れまでは数%の感じが一桁上がった感じになった。
……充填するついでに、魔力の体感練習もしてみるか。
この強弱調整で魔術の威力が加減できたら、もう少し実戦に魔術の活用も出来そうだし。
……そんな事を意識したものの、直後に挫折。
次の循環をしようとしたらカンテラに魔力が拒絶された。
そう感じた理由は、多分満タンになったからだろう。魔石のメーターが煌々と輝いてるし。
と言うか、微妙に振動してて何となく過剰充填した雰囲気すらある。
直感で「爆発ヤバい」と感じたので即座に作動させといた。
……流石チートなボディかな。
どうやら総魔力量も人外の域らしい。
こりゃ、どっかで自分の性能を客観的に知っとかないと危ないか?
少なくともトロールがじゃれて来るワンコ程度の頑丈さなんだから、それが世間ではどういったレベルなのかは知っとこう。
……こっちの魔物で試すのは、別の意味で躊躇するし。
……ウ○コ爆撃、地味に地面がクレーターになってたしなぁ……
ああ、魔物避け機能は連続使用で三日程らしい。
一日使った後の残量推定での感触。
効果は抜群だ。あれほど鬱陶しかった魔物の魔の字も無くなったし。
運用コスパに関しては放置で。やっぱり考える基準を知らんと何とも言えない。
行程の安心度が増した事で周囲への魔物以外の関心も生まれてくる。
周囲一帯はサバンナ風の感じで、木は数本が点在して生える感じ。全体的に植生の背が低く、見晴らしが良過ぎて日陰が皆無。
キャンプ等では馬車用なのか、態々ガレージな感じの日除けもある。また街道の途中にも田舎のバス停待合室風に屋根付き小屋が点在。
こりゃ、気温は置いといても、地味に日射病か熱射病を気にしといた方が良い感じか。
……なんせ、日陰は生体系全体に望まれてるのか、魔物すら一休みしてる時もあるし。
誰も居ないと思って小屋に入ったら、屋根のとこに梁に鳥が居たり。MAPの反応や気配も無しに、アルバトロスな形とサイズの鳥と遭遇した驚き。
あの微妙な知性を感じさせる視線は絶対に野生とかじゃない。
あと、近くで直視してないから確証が有るとは言えないが、絶対にウ○コ爆撃の犯人。
何故か確信できる部分。
……余りに我関せずの態度なんで、逆に攻撃する気も起きなかったと言うか……
湧水ポッドからの直飲みで水分補給してたら視線を感じ……いや、鳥(推定・ウザー)に凝視されてたり。
「ワシにも水寄越せ」な異種族コミュニケーションは一瞬で成立した。
視線はポットにロックオン。俺の飲み方を見て学習済みなのか、「飲むか?」の仕草で長い嘴をパカリと開く。そのままトクトクと水を流し込んでやっての、特に礼も無いままに短い邂逅は終わった。
その後、移動を再開してみれば。
何気にMAPの前方の魔物の反応が微妙な減りを見せてみたり。
誰かが戦闘でもしてるのかと思えば、そのあたりに有るのは謎の爆撃跡……。
……ふむ。
こういった感じの異世界感も、ちょっと面白い感じだろうか。
流石に前世では、野生の灰色熊とか豹と友情は築けんかったし。




