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21話

山岳道中の二日目。

うん。特に夜のイベントとかも無かった。

また魔物の夜襲とかあればラッキースケベのイベントが有ったかもだが、あくまでifの話なので。

と言うか、いくら周囲が大自然とはいえ連日の中ボス戦闘とか要らん。


朝飯も普通に過ごし、昨日の分かれ道に降り早々に二つ目の山へと移動。

驚く事に山と山を繋ぐよう結構立派な橋が掛かっていた。

現在位置は中腹の辺りで、自分の感覚にはなるが標高で言っても100m以上は有ると思う。この世界の建築における技術水準での其れはちょっと信じられない高度なもんに感じる。

作りはレンガっぽい物のアーチ橋。幅は大体四車線、長さの割には橋脚の数が多い、地球では古代の水道橋を連想するような感じのやつ。手すりの部分が膝丈と言うなんともスリルのあるデザイン。

ちょっと下を見下ろしてみると橋脚の数本は山と山の間の谷底まで伸びていたり。

……なんだろう、技術と機能性に統一感の無い、なんとなくチグハグな印象の建造物だよ。


ガイド役のマリアンが橋の由来を一講釈。

それによると、この橋も魔導国関係者が作った魔道具的なもんらしい。建築では無く錬成に近い感じで作ったのだとか。

なる程、納得。

技術ではなく感性寄りのもんな訳か。

作った理由は二山越えるのに谷底へ降りるのが面倒だから。

共感できる部分は有るがコスパの面では微妙な不条理の精神。


ただ他にも現実的な理由もあった。魔物避け。魔道具である橋の付近には完全ではないが安全地帯の魔法的機能が有るそうな。

キャンプのように長々と居座れば寄って来るが、通り抜け程度の時間なら平気なのだと。

反面、野盗の待ち伏せの格好の舞台でもあるそうだが、その魔物避けが矢避けとしても機能するので不意打ちの心配は少ないそうだ。

……うん。MAPに敵性反応は無いな。少なくとも野盗らしき群れは居ない。


橋の上から山を見てふと気付く。

どうやらこの位置が生態変化の境界線にもなっているらしい。

くっきりとは言わないが橋の高さから下は広葉樹、上は針葉樹の割合が増えている。

そのあたりを質問すると、魔物でも果樹など食糧の多い場所の方が多い。指針でしか無いが、橋より上に居れば安全度が違うという意味も含んでるのだと。


今度の行程は下りで、しかも魔物との遭遇も増える。昨日のようにレクチャーしながらでは日中に麓までの到着も怪しくなるので簡単に。

それでも魔物の回収数は昨日の七割くらいに。

むしろ俺の指導の手間が無い分、手際の良さに無駄が無い。

面倒な相手はマリアンが根こそぎだったので消去法で俺は大物相手に。

罠で弱体化してないロックボアとの遭遇にて激辛攻撃の悶絶を披露し、彼女等の驚く表情を出せた事で少しは男の威厳を回復。

……回復、したよな?

なんか二人の視線に親密度の減少を感じないでもないが。


まだ下り行程の途中で魔導国の遠景が見えた。

正円の外壁に囲まれた城塞都市で、円周状に等間隔で壁の高さの倍くらいある六本の塔が建っている。地上の家々の判別のし難さからして随分な巨大建築。

と言うか。

連想できるイメージが見事に六芒星の魔法陣。流石は魔導国。

……いや、すげー安直。

なんか住人の髭老人率が多そうな想像が。

できれば俺の視界の安寧のために、レオタード魔法少女率多めを希望。魅せて見せる用だから誰に見せても平気なランジェリーでもいい。

要求が増加してるを気にしてはいけない。

と言うか、平均年齢若めでないなら逆に大惨事なんで三十代未満限定で。

それ以上の年代は流石にマイノリティと言うか、同好の諸氏で人目に触れないとこで楽しめの精神だし。


……はて、俺はどうしてこんな想像に着地したんだろうか?


彼女等からは此処と魔導国へと続く街道に更に二つの村が在る説明がされてたのだが、アホな連想で半分も聞いて無かったよ。


彼女等との同行は此方がらの麓まで、さっきの説明にあった村の一つ目にして、国境砦の役目もある場所だ。

彼女たちの獲物は其処で解体と売買を済ませるそうだ。冒険者ギルドの支部では無いが、魔物討伐の記録も一応はできて後で支部に届ければランク上げ用の功績になるそうな。

記録は俺との共同活動にするそうで、そこまでは一緒に。

ああ、越境手続きは俺だけで。


両方の手続きが済む頃にはもう夕方だ。

荷車を預けて本日は此処に逗留。

なんとなく夕食をしてから別れる話に。

とは言っても、泊まる宿も飯を食う宿屋な訳だが。


簡単な身の上話は昨夜もしたが、今日は俺の質問が多い感じ。

話題の主題はジナの関係。魔法な。

俺も馬鹿出力の魔術は経験済みなのだが、自由都市ルビアルテでは自分以外の魔術の使い手は殆んど見ていない。錬金術に神官、どっちも攻撃魔術って訳でも無かったし。

ジナの場合もその関係では無かったが、多少は身近な関係になった図々しさに乗って、この世界の魔法関連の知識を知りたいとも思って。

本当は魔導国に着いてから調べようと考えてだが、いい機会な感じだし。


そうして聞いたジナ曰く。

俺の言うゲームキャラ風の、攻撃魔法を放つ魔術士は非常に希少な存在という事。

手元で火や水を生む生活に便利な魔術の類は案外多く広まっているのだが、他者や魔物に致命傷な感じの威力となると難易度が高い。実用的な物は何らかの武器に魔術の効果を付与する感じでが一般的。俺が例えに話した内容は、子供の寝物語の大魔道士のそれ。つまり架空の英雄譚な感じで。


……まぁ、自分が使えると言わなかったのはグッジョブな判断で。


大体の魔術士は付与魔術を常態化させた魔道具による活動が普通。

ジナの冷凍庫な荷車もそういう扱い。

世間でジャンク品として売られている魔道具は、構造的な疲労で壊れて使えなくなった物を詐欺な感じで流してる市場。完全に、買う方の無知が悪いな感じの扱いらしい。

……って待てや。

俺、既に幾つか購入済みなんですが。


俺の顔面の動きを察したか、ジナが救済策を上げてくれた。


単に付与の切れた物ならば、その魔道具の製作者に近い魔力を待つ人なら共用して使えるかもと言う事。


……魔力の付与?

それ、そもそもどうやれば良いのでしょうか?


ああ、ジナの表情が完全に可哀想な子を慈しむものにっ。

尊い! いや違う、憐れまないでぇっ。

なんか俺の両手握って慰めような感じの聖母な感じのママンな感じの……っ、おおう!?


何かゾワっと来た?

ジナと触れた部分から未知の感覚が来た。

テーブル越しに向かい合い、俺の右手の平にジナの左掌が、左手の平には右掌が軽く重ねられてたのだが、その右手側から何かが俺の体内に圧力を持って押し込まれ、逆に左手の側から引き抜かれる感じに。両方の反応は紐のように繋がって、俺の両腕と心臓の間を帯状の何かで動いていった。


……どうやら、これが魔力の体感の動きらしい。

いわゆる気の循環のような、特殊な感覚で操作するものか。


ジナ曰く、この循環の途中に魔道具を置けば魔力の付与や充填ができる。

慣れない内は両手で持つ。その後は片手でも指と指を両方の端末にすれば可能という事。

今回はあくまで入門編な感じであって、本格的に魔術を学ぶなら魔導国でそれも可能と聞かされた。

勿論、有料の私塾でとなるが。


更に因みに。

ジナがそんな実践をしてくれたのは、俺の使う[万色の調味能]での攻撃がその付与魔術と勘違いされたため。

独学で魔術の効果を生む行為はよくある事で、俺も魔術を知らずにその効果を生んでいたと解釈されたらしい。

「付毒攻撃は他の人への印象が悪いぞ☆」と、ヤンワリと「ちゃんとした付与魔術を習って更生しなさい」な御叱りを貰ったようで。


……「それ、ちゃうんです」と訂正したいが、したらしたで面倒を生みそうで出来ないこの辛さ。


ともあれ、こうして俺の異世界ハーレム期(自称)はあっさりと終了した。

実態がド素人冒険者に母性を刺激されたものだった的な感じ……だったのは、言わぬが花と思ってくれる思い遣りが切に欲しい所存なり。



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