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19話

紳士(変態の隠語無しでな!)の気持ちと行動で、見た感じ回収できた彼女等の衣類や寝具と一纏めにして、無事な小屋に退避させる。

その際に簡単にでも裸体は隠した。彼女等のらしきマントでぐるぐる巻きにした程度でだが。一応夜風避けにね。

同時にその小屋の暖炉にも火は突っ込んどいた。とりあえずは適当に暖まれば良いだろう。


その後は壊れた小屋の奥の厩を確認。位置的に設備が無事なので大した被害は無いとは思うが、確か馬は非常に臆病で、周囲が危険な状況だと簡単に狂乱化してポックリ逝く事があるとか気付いたから。

前に会った商会の馬車の馬とか随分と地球準拠に見えたし、生態も似てそうだし。


……と、考えてたのだが。

現物は駝鳥でござんした。


正確には走竜というやつか。イメージは始祖鳥とかラプトルとか、そんな感じ。

これは後から知った情報だが、二脚で馬に負けない牽引力を持つ走竜は、小回りが効いて山岳部では定番の存在らしい。

地上で見かけないのは単純に価格と、活動時間の制限。平均的な馬の価格の五倍はして完全昼行性。鳥目を通り越して日没と同時に寝るという生態のため。

……つまり。

この騒動の中でも完全熟睡。

飼い主達も良い感じに寝入ってたようだし、主従似通ってて良かったねぇな感じ。


まぁ、発見時は随分とふてぶてしい存在だな程度の認識で終わったが。


とりあえず、内壁は薄いが扉を閉じときゃ一晩くらい平気だろな感じで、退かした丸太を積み直し簡単にバリケードとしておいた。

後はまぁ、寝なおすか。

日の出まで大体五時間程。もう一寝入りには充分な時間だろう。

……と。

そう言えば魔物はどうなった?


慌ただしく動いてるうちに、すっかり忘れてた。

と言うか視界から消えてる。

あれ、回復して逃げたか?


と思ったら、単純に死んだらしい。魔物だから瀕死状態にしたらその状態のままかと思ってたが、普通に衰弱死には至るっぽい。

と言うか……、この魔物も消滅型か。

現場は見てないが多分、塵と化したんだろうねぇ。

で、問題はドロップ品だった。


犬の肉……、なんか食いたくねー……。


他にも有るが、それは置いといて。

今回も有ったよ、謎のDVD(仮称)。


見た目はトロールから入手したのと変わらない。

データ端末っぽいから中身は違うと思うのだが、今は確認のしようが無い以上無理だし。

……魔導国ではミンサー探しより再生機器を先に探せという天の声なんだろうか?


まぁ、いいや。

寝よ寝よ。



空は白み始めてはいたがまだ日の出とはいかない頃。

次の目覚めは雄鶏の朝鳴きが如くな黄色い絶叫の二重奏だった。


……うーあー……

どうやら無事に目覚めたようで。


その後も「ぎゃー」とか女性的にちょっと危険な悲鳴が止まらないので、こりゃもう起きるしかないと諦めた。

また熾火になってた暖炉に薪突っ込んで火力を上げて。昨夜に飲み頃で収納しといたお茶入りポットを傍に置いておく。

お茶とは言ってるが、多分、俺の感覚での茶葉ではない。ハーブ茶、香りつきの白湯、そんな感じのだ。流石に朝からアルコール入れるものだし。

雰囲気はジャスミン系。飲み過ぎても腹下す気配が無い分、こっちの方が本物より好みだったり。


ちょっと窓から外を観察……って、慌てて視線を下げた。

……おかしいな、彼女等の服とか見つかった分は知近くに置いといたんだが。

なぜ着ていない?

もしかして、マジに裸族な関係者か?

……あ、いや、単にまだ混乱してるだけか。マジな人ならそもそも服が散らばってた理由が無いし。


もうちょっと時間を置いた方が良いかと判断して朝食の準備に。

と言ってもメニューは昨日と同じ。追加分として小玉リンゴに似た果実を一つ。防腐剤でコートもされて無いので丸齧り。酸味が強いがそれが好い。


食い終わりかけで外の騒音が止んでるのに気づいた。

ついでに、またカレー臭を放った事で昨夜のような魔物がと気になったが、流石にそれも無かろうと思い直す。

そろそろまた外の様子を見てみようか。

静かになったんなら普通に話もできるだろうし、簡単にでも昨日の顛末を伝えといた方が良いだろうし……う゛?


窓の方へ視線をやってちょっと吃驚。

流石に女二人のガン見の視線だもんよ。


しばしの沈黙の後に「お早う」と言ったら普通に「おはようございます」と、今までの痴態を抜きにしたら清楚風に感じる応えを頂いた。

ふむ、第一印象って大事だよね。


小屋に入れる前に少しばかり気構えを。

もしもさっきまでの格好でも平静に。あくまで初対面では相手の文化を受け入れる姿勢で。否定はいくない、歩み寄り歩み寄り。

いやむしろ、眼福をありがとうの精神で。

……流石に、ちゃんと着衣状態だったけどな。

ガッカリなどしていない。絶対。


昨夜確認した彼女等の装備から商人かと思ってたのだが、実は二人とも冒険者との事だった。朝日の下で彼女等の詳細もよく詳しく解る。赤毛の近い金髪の方がマリアン。黒に近い茶髪がジナ。肌の質感は白人だが容貌の印象は可愛い系ポリネシアでちょい不思議な感じ。似た印象なのは従姉妹だからだそう。ただ女子率の高いのはジナの方かな。具体的には体脂肪率。情報ソースは運んだ時の感触とか出っ張るとこの隆起具合とか。マリアンに魅力が無いとは言わないが、胸部に谷間は必要の精神なので。


彼女等の拠点はエイベン王国内の、この近くの狩猟村で、此処を定期的にキャンプにして魔物の素材を集めているのだそう。それを拠点で売るのかは気分次第。行動範囲の位置によっては魔導国の方が近い時もあるそうだから。

今回は地元で在庫を処分したばかりで、今日からまた狩猟活動を再開の予定だったらしい。


俺の方も自己紹介し、昨夜の簡単な経緯を言っておく。

消えた形の魔物で伝わるかは怪しかったが、あれだけ悲鳴を上げてた間にも一応は確認はしてたそうだ。瓦礫に埋もれたあたりで意識が途絶えたそうで、打ち身以外の被害は無いとの事。

まぁ、一安心。

ただ、俺が厩との連絡口を丸太でバリケードにしたのには困っていた。厩の出入口は小屋の反対側に有るのだが、内側からしか開閉できないのだと。そこは、俺が後でバリケードを退かすと伝えとく。彼女等が旅支度を済ます間にできるだろうし。

まぁ、食後のお茶をしたからだが。


いや、そうは考えてたが、もう一つの選択肢もちゃんと考えてるぞ。

彼女等を小屋に入れた時点で予想してたし。

もう、露骨に部屋の中のカレー臭に反応してるし。

ついでに言えば腹の虫も元気に反応しているし。


とりあえず、朝飯を出してやるから食器は自分で出してきなと一度自分達の小屋に向かわせて、何食わぬ風で暖炉の前に鉄鍋を置いておく。

多分、二人とも気付かない。

何か理性無くても感性だけで一生平気って雰囲気の娘さん達だし。

実際、気付かなかった。

初めての味だろうな部分には興奮してたが、それだけだ。


意外にも食事代をしっかり払ったのには感心した。これが狩猟活動の途中なら物々交換となり、其れなりの量で払う価値の飯とも評価を受けた。手持ちの現金が少なくての謝罪込みの話。

まぁ、美味いと喜ばれるのは気持ち好いので幾らでも構わんのだけど。


その後は言った通りに荷馬車の解放を手伝い、俺は旅の再開を伝える。此処の被害は特に連絡する必要も無いそうだ。ちゃんと公的機関が巡回し確認、修繕の手筈はするそうだし。

問題は、何故か彼女達が同行者になった事。

彼女等の言い分としては、「初見の山は危険がいっぱい。ここはベテランが魔導国までガイドしてあげよう」と言う物。

御代は特に要らないらしい。

ただ、「できればカレーが食いたいな」という、眼は口程に物を言う視線つき。


俺の感想としては、異世界女難のフラグが立ったかなぁなもんで。

若しくは、これがハーレムルートのスタートなのかねと何処か他人事に思いつつも、ちょっと、初めての異世界異性イベントを楽しみに感じていた。



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