第6話 エルフ、蛮族と化す
「きた、アイツらだ……バーベキューエルフ達だぁぁぁぁ!」
オーク達は逃げ惑い、慄き、嘆いた。
戦火という炭火が森を丸焼きにする。街をローストにする。都市を蒸し焼きにする。
火中では常にエルフ達が肉を頬張っていた。
「追い付かれるな! 骨も残らねぇぞ!」
「骨髄の美味さにも気付きやがったかッ! もう食べ残しも――ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ポークソォォォォォォォォォォォンッ!!」
なんということでしょう。また二頭焼かれてしまいました。
遠距離は火矢で、中距離は火炎放射器で、近距離は松明で焼かれる始末。
オークが焦げる炭の香りで荒野は満たされる。
エルフにとってはもう虐殺ですらない。
ピクニック気分で荒れ地を蹂躙している。
「この世は鉄板地獄かよォォォォォォォォォォォ!!!!」
多くの悲鳴が火とエルフの口に飲み込まれていった。
その号哭はやがて焦土に歌が響かせる――――
ロース、カルビ、ホルモン、ハラミ。
オークのお肉は馳走らしい。
バラ、ヒレ、モモ、肩。
恨め、美食な遺伝子を。
お父さん。そこに炎の魔王がいる。怖いよ。
坊や。それはバーベキューエルフだ。終わりだ。
逃げなさい。貴方は肉としてしか認識されないから。
離れなさい。いきなりサイコロステーキにしてくるから。
諦めなさい。せめて踊り食いされないように自害しなさい。
余裕で完食。あとは養殖。
燻製は明日の保存食。
B・B・Q! 丸焼き串焼き。
B・B・Q! 網焼き炭焼き。
舌出し慈悲無し、葉っぱ巻き。
B・B・Q! 石焼き藁焼き。
B・B・Q! 直焼きよく焼き。
タレ足し飯炊き、待ったなし。
オー・シャトーブリアン。
オー・シャトーブリアン。
肉の味に憑りつかれた、バーベキューのケダモノだ。
森を焼いて、肉炙る。バーベキューエルフ。
――――その歌はやがて各地まで轟いた。
肉の焼ける音と共に。




