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無能と呼ばれた私、実は世界で唯一「魔法を消せる」魔女でした  作者: ななほし


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第三十三話 新しい魔法

それから。


三ヶ月が過ぎた。


王都は。


少しずつ元の姿を取り戻していた。


壊れた建物は修復され。


王宮の塔も。


新しく建て直されている。


けれど。


一つだけ。


以前と違うものがあった。


魔法だ。


「見て!」


広場で。


小さな女の子が手を伸ばす。


すると。


指先に小さな光が灯った。


「できた!」


母親が。


嬉しそうに笑う。


「すごいわ」


けれど。


その光は。


昔のように大きな魔力を必要としない。


誰でも。


少しずつ。


使える。


魔力の量によって。


人の価値が決まることもない。


魔法学院でも。


大きな変化が起きていた。


「魔力測定の授業は廃止します」


学院長代理となったセシリアが。


生徒たちへ告げた。


「これからは」


「魔法をどれだけ持っているかではなく」


「どう使うかを学んでもらいます」


生徒たちは。


顔を見合わせる。


そして。


誰かが拍手を始めた。


パチ。


パチパチ。


やがて。


大きな拍手になった。


私は。


教室の後ろから。


その様子を見ていた。


「なんだか変な感じ」


エレナが。


隣で笑う。


「何が?」


「だって、あの『魔力ゼロの無能令嬢』が」


「今じゃ学院の改革を見守ってるんだもん」


私は。


苦笑した。


「やめてよ」


「その呼び方、もう聞きたくない」


「じゃあ何て呼べばいい?」


私は。


少し考える。


「普通に」


「リリアでいいよ」


「ふふっ」


エレナが笑った。


そのとき。


教室の扉が開いた。


「リリア」


レオンだった。


「王宮から呼び出しだ」


「私?」


「姉さんたちも一緒だ」


「何かあったの?」


レオンは。


少しだけ真剣な顔をした。


「母さんのことだ」


私は。


立ち上がった。


王宮地下。


かつて魔法の核があった場所。


そこには。


今では何もない。


ただ。


床の中央に。


小さな銀色の結晶が一つ。


浮かんでいた。


セレナ。


エリス。


ノア。


そして私。


四人が。


結晶を囲む。


「これは何?」


ノアが尋ねる。


セシリアが。


古い記録を開いた。


「魔法の核が砕けた後」


「その一部だけが残ったようです」


私は。


結晶に触れる。


――キィィン。


頭の中に。


声が響いた。


『リリア』


「お母さん……?」


『あなたたちが作った新しい魔法は』


『まだ完成していない』


私は。


驚いた。


「どういうこと?」


『魔法は、人の願いから生まれる』


『だから――』


結晶の中に。


映像が浮かぶ。


遠い場所。


見たことのない街。


そこには。


魔法がほとんど存在していない。


けれど。


人々は。


何かを恐れている。


『世界にはまだ』


『魔法を失ったことで苦しんでいる人々がいる』


私は。


胸が痛くなった。


「……世界中に?」


『ええ』


『だから』


『あなたたちが決めるの』


「何を?」


『新しい魔法を』


その瞬間。


結晶が。


強く輝いた。


四人の姉妹の手元に。


それぞれ違う光が現れる。


セレナには。


守る光。


エリスには。


創る光。


ノアには。


終わらせる光。


そして。


私には――


「……選ぶ光?」


アリアの声が。


優しく響く。


『そう』


『あなたの力は』


『もう、魔法を消すためだけのものではない』


『未来を選ぶための力よ』


私は。


光を見つめた。


すると。


レオンが。


私の隣に立つ。


「俺の力も変わった」


彼の手から。


細い銀色の光が伸びる。


「繋ぐだけじゃない」


「人と人の願いを繋げられる」


私は。


笑った。


「じゃあ」


「私たちなら……」


そのとき。


地下の壁に。


新しい文字が浮かび上がった。


――世界の果てに、最後の魔法が眠る。


全員が。


息を呑む。


「最後の魔法……?」


セレナが呟く。


私は。


その文字を見つめる。


「行こう」


エリスが。


笑った。


「やっぱりそう言うと思った」


ノアも。


小さく笑う。


「私たちの旅は」


「まだ終わってないってことね」


レオンが。


頷いた。


そして。


私は。


もう一度だけ。


空を見上げた。


銀色の星が。


静かに輝いている。


「お母さん」


私は。


笑った。


「行ってきます」


新しい魔法を探す旅が。


始まった。

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