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無能と呼ばれた私、実は世界で唯一「魔法を消せる」魔女でした  作者: ななほし


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第三十二話 最後に残された力

朝日が。


王都を照らしていた。


長い夜が。


ようやく終わった。


黒い魔法は消えている。


壊れた建物。


崩れた塔。


傷ついた道。


それでも。


人々は生きていた。


「……終わったのかな」


エレナが呟く。


私は。


空を見上げた。


「うん」


「たぶん……」


そのとき。


胸の奥が。


熱くなった。


「……え?」


私は。


胸元を押さえる。


銀色の光が。


小さく瞬いている。


セシリアが驚いた。


「リリア……その光は?」


分からない。


魔法は。


もう以前のようには存在しない。


なのに。


私の中には。


まだ何かが残っている。


「お母さん……?」


その瞬間。


声が聞こえた。


――リリア。


「……!」


懐かしい声。


――あなたに最後に残したものがあるの。


「何?」


――それは、魔法ではないわ。


私は。


息を止めた。


――あなた自身の力。


目の前に。


小さな銀色の光が現れる。


その光の中に。


一枚の花びらが浮かんでいた。


「これは……?」


――創造の力。


――でも、何かを自由に作る力ではない。


「じゃあ……?」


――失われたものを、もう一度選び直す力。


私は。


意味が分からなかった。


そのとき。


遠くから。


声がした。


「リリア!」


振り返る。


レオンだった。


その隣には。


セレナ。


エリス。


ノア。


そしてエレナとセシリア。


みんな。


こちらへ歩いてくる。


「どうした?」


レオンが尋ねる。


私は。


胸の光を見せた。


「お母さんが残したものみたい」


レオンが。


静かに笑う。


「母さんらしいな」


「え?」


「最後まで、何かを残していく」


私は。


少し笑った。


でも。


ノアは。


黙っていた。


「……ノア?」


彼女は。


自分の手を見る。


そこには。


黒い鎖の跡が残っていた。


「私にも……残ってる」


「え?」


「魔法じゃない」


ノアが。


胸に手を当てる。


「記憶」


「黒き魔導会にいた頃の記憶が」


「全部消えずに残ってる」


私は。


ノアの手を握った。


「それなら」


「それも大切にしよう」


ノアが。


驚いた顔をする。


「……憎くないの?」


「何が?」


「私が」


「あなたたちを傷つけたこと」


私は。


首を横に振った。


「ノアが自分で選んだことじゃないなら」


「私は責めない」


「……優しいのね」


ノアが。


初めて笑った。


そのとき。


王都の中央から。


鐘の音が鳴った。


――カーン。


人々が。


広場へ集まっている。


王が。


その前に立っていた。


「この国は」


「これより変わる」


王の声が。


王都中に響く。


「魔力の量によって、人の価値を決める制度を廃止する」


「魔法を使える者も」


「使えない者も」


「同じ民だ」


歓声が。


上がった。


私は。


胸が熱くなった。


私が。


ずっと欲しかった言葉。


「魔力ゼロ」


「無能」


そう呼ばれていた私が。


今は。


誰かの前で。


胸を張って立っている。


そのとき。


エドワードが。


人混みの中から現れた。


「……リリア」


私は。


少し驚いた。


「エドワード?」


彼は。


昔とは違う顔をしていた。


「遅くなったけど」


「もう一度、謝らせてほしい」


「僕は」


「魔力の数字だけで、君の価値を決めた」


「本当に……ごめん」


私は。


しばらく彼を見る。


そして。


笑った。


「もういいよ」


「ありがとう」


エドワードは。


少し寂しそうに笑った。


「……そう言ってもらえると思ってなかった」


「でも」


私は。


空を見る。


「私、もう昔の私じゃないから」


その言葉に。


エドワードは。


頷いた。


「うん」


「知ってる」


そして。


彼は。


静かに離れていった。


私は。


その背中を見送った。


もう。


過去に戻る必要はない。


私には。


新しい未来がある。


その夜。


私は。


王宮の屋上に立っていた。


隣には。


レオンがいる。


「静かだな」


「うん」


魔法の光がない夜空。


星が。


とても綺麗だった。


私は。


ふと気づく。


空に。


一つだけ。


小さな銀色の星がある。


「……お母さんかな」


レオンが。


空を見る。


「きっとそうだ」


私は。


笑った。


「じゃあ」


「おやすみ、お母さん」


銀色の星が。


一度だけ。


強く輝いた。


そして。


私の胸の中の光も。


同じように。


輝いた。


その光の中から。


一つの言葉が浮かび上がる。


――世界には、まだ選ばれていない未来がある。


私は。


その言葉を見つめた。


そして。


まだ誰も知らない。


新しい旅が。


始まろうとしていた。

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