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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
32/33

01-25

 葬儀はつつがなく執り行われた。

 数人ほどの大人と、シムを含めた十数人ほどの子供。

 参加者はそれで全部だ。

 皆、無言だった。

 子供たちの何人かは泣いている。


「死者が現世に留まらないよう、火で焼くんだよ」


 ローバは終始私の隣にいて、何かあると小声で教えてくれる。

 この世界の葬儀のマナー等は勿論何も知らないので、とても助かった。

 火で焼くのはアンデット対策でもあるのかな、とそう思った。

 ()()()

 今回亡くなった二人の遺体は見つかっていないようだ。

 葬儀中、1度も見ていない。


 煙が立ちのぼる。

 厳かな雰囲気につられ、会ったことも無い故人のことを思う。

 冷静に考えれば、何故ゲームの中でまで葬儀に参加しているのかよく分からなくなる。

 だが、嫌な気持ちではなかった。


「マルク……スタッド……」


 ローバが小さく言葉を漏らす。

 故人の名前だろう。


 葬儀は続く。

 火を焚いた後は納棺だった。

 丁度火が消えたあたりで、ポツポツと降り始める雨。

 だが、少量の為気にせず続行するようだ。

 棺には遺骨の代わりに遺留品を入れるらしい。

 シスターらしき老婆が合図を送ると、()()()()()()()()()杖と、恐らく剣の柄であろう持ち手が入れられる。


「……」


 話が急に怪しくなってきた。

 初日に襲われた剣持ちと杖持ちとは無関係だと思いたい。

 我がことながら最低だと思うが、遺留品を見た時から葬儀の事はどうでも良くなってしまった。

 ……まさか、私が殺した?

 いやいや、そんなまさか。


「以上で終わりになります。教会にてささやかながら食事を用意しております。宜しければ参加してください」


 取り仕切っていた老シスターの言葉で葬儀が締められる。

 この後は軽い食事会らしいが、参加する気はなかった。

 一刻も早くこの場から去りたい。

 だが、状況がそれを許してくれ無さそうだった。


「ローバ。来るよな?」

「……シム」

「今日くらい、ババアも許すだろ」


 ローバがシムにそう声をかけられている。

 ローバは迷っているようだった。

 雨足が強くなってきている。

 体温が下がっているのは、雨のせいか、それともこの現状のせいか。

 ふと、近くを通り越す二人組の会話が耳に入った。


「――で、結局軍を呼び寄せたんだろ?」

「ああ」

「全く、良くやるよな。()()()()()()()

「既に死者が出ている。それに――」


 軽薄そうな男と、禿頭の大男。

 なんともアンバランスな二人組だったが、急いでいたのか足早に居なくなる。

 ……軍、という単語が聞き取れた。

 ……。


「――ねぇ、聞いてる?ウォー!」


 声で現実に引き戻される。

 見れば、シムの隣で頬を膨らますローバがの姿が。


「……だから、食事会に行っていい?って聞いてるの!」


 彼女の心は参加の方に傾いたらしい。

 しかし、私は早く帰りたかった。

 首を横に振る。


「……なあローバ。そいつ誰だよ?」


 シムが疑問を口にする。

 興味を持たれてしまったらしい。

 不審者装備でただでさえ目立っていたのに、長居しすぎた。

 最悪の展開だった。


「え?ウォー?」


 そして、ローバの口から決定的な言葉が飛び出す。


「ウォーは、鳥さんだよ?」


Tips:葬儀

この世界では火葬が一般的だ。火によって魂が浄化され、天に還るという考えがある為だが、アンデット化を防ぐ、という意図もある。


Now Loading ……



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