01-25
葬儀はつつがなく執り行われた。
数人ほどの大人と、シムを含めた十数人ほどの子供。
参加者はそれで全部だ。
皆、無言だった。
子供たちの何人かは泣いている。
「死者が現世に留まらないよう、火で焼くんだよ」
ローバは終始私の隣にいて、何かあると小声で教えてくれる。
この世界の葬儀のマナー等は勿論何も知らないので、とても助かった。
火で焼くのはアンデット対策でもあるのかな、とそう思った。
本来は。
今回亡くなった二人の遺体は見つかっていないようだ。
葬儀中、1度も見ていない。
煙が立ちのぼる。
厳かな雰囲気につられ、会ったことも無い故人のことを思う。
冷静に考えれば、何故ゲームの中でまで葬儀に参加しているのかよく分からなくなる。
だが、嫌な気持ちではなかった。
「マルク……スタッド……」
ローバが小さく言葉を漏らす。
故人の名前だろう。
葬儀は続く。
火を焚いた後は納棺だった。
丁度火が消えたあたりで、ポツポツと降り始める雨。
だが、少量の為気にせず続行するようだ。
棺には遺骨の代わりに遺留品を入れるらしい。
シスターらしき老婆が合図を送ると、やけに見覚えのある杖と、恐らく剣の柄であろう持ち手が入れられる。
「……」
話が急に怪しくなってきた。
初日に襲われた剣持ちと杖持ちとは無関係だと思いたい。
我がことながら最低だと思うが、遺留品を見た時から葬儀の事はどうでも良くなってしまった。
……まさか、私が殺した?
いやいや、そんなまさか。
「以上で終わりになります。教会にてささやかながら食事を用意しております。宜しければ参加してください」
取り仕切っていた老シスターの言葉で葬儀が締められる。
この後は軽い食事会らしいが、参加する気はなかった。
一刻も早くこの場から去りたい。
だが、状況がそれを許してくれ無さそうだった。
「ローバ。来るよな?」
「……シム」
「今日くらい、ババアも許すだろ」
ローバがシムにそう声をかけられている。
ローバは迷っているようだった。
雨足が強くなってきている。
体温が下がっているのは、雨のせいか、それともこの現状のせいか。
ふと、近くを通り越す二人組の会話が耳に入った。
「――で、結局軍を呼び寄せたんだろ?」
「ああ」
「全く、良くやるよな。たかが竜相手に」
「既に死者が出ている。それに――」
軽薄そうな男と、禿頭の大男。
なんともアンバランスな二人組だったが、急いでいたのか足早に居なくなる。
……軍、という単語が聞き取れた。
……。
「――ねぇ、聞いてる?ウォー!」
声で現実に引き戻される。
見れば、シムの隣で頬を膨らますローバがの姿が。
「……だから、食事会に行っていい?って聞いてるの!」
彼女の心は参加の方に傾いたらしい。
しかし、私は早く帰りたかった。
首を横に振る。
「……なあローバ。そいつ誰だよ?」
シムが疑問を口にする。
興味を持たれてしまったらしい。
不審者装備でただでさえ目立っていたのに、長居しすぎた。
最悪の展開だった。
「え?ウォー?」
そして、ローバの口から決定的な言葉が飛び出す。
「ウォーは、鳥さんだよ?」
Tips:葬儀
この世界では火葬が一般的だ。火によって魂が浄化され、天に還るという考えがある為だが、アンデット化を防ぐ、という意図もある。
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