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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
29/33

01-22

ユーナ視点です。

◇以降三人称視点に変わります。

 次の日。

 散々だった初日の傷が言えぬまま、私はログインしていた。

 一瞬、辞めてしまう事を考えなかったといえば嘘になる。

 どうせ初日なのだからと。

 しかし、それは逃げだと思った。

 たかだかゲーム、されどゲーム。

 私は既にこの世界をもうひとつの現実だと認識していたし、これからもそうだという実感があった。

 だからこそ逃げる訳には行かなかった。


「おはよ、ユーナ」

「マイ」

「リアルでちょっと聞いたけど、昨日あの後大変だったんだって?」

「――うん」


 昨日に続き遊んでくれる事になったマイには、昨日のことは全て話した。

 ケインズさんの事も。

 それを聞いたマイは、憤り、協力を快諾してくれる。

 とても心強かった。


「なるほど、喋る鳥……ね」

「うん。ぎこちなくだけど、確かに喋ってた」

「……早速探すの?」

「ギルドマスターに、ギルドに来いって言われてるんだけど、その前に1回探したい」

「わかった。付き合うよ」

「ありがとう」


 マイと話しつつ装備を整える。

 昨日無くて困った周辺のマップも買っておく。

 程なくして、準備が整った。


「準備OK?」

「うん。道案内よろしく!」


 気合十分に森へと入る。

 昨日ぶりの森は、相変わらずな程静まり返っていた。


               ◆


 その数十分後。

 突然現れた竜によって死に戻りさせられた私達は、ギルドマスター部屋に来ていた。


「それでは昨日の話を聞かせて貰おうか」


 ギルドマスターは部屋の奥にどっかりと座り、作業机越しに此方を睨んでいる。

 マイはその表情にビビっていて先程から固まっているが、私は平静を装い、昨日の出来事を話していく。

 ギルドマスターの後ろで控えている美人秘書さんだけが唯一の癒しだ。

 途中、先輩冒険者達の素行の悪さに少し触れた所で表情が険しくなったが、それ以外は一言も口を挟まず黙って聞いていた。


「――以上が、事の顛末です」


 最後まで説明してそう締めくくる。

 ギルドマスターの、そうか、という一言が酷く重く感じられた。


「それで、今日の話なんですけど」


 だが、ここが臆してはいけない。

 先程見た事を伝えねば、最悪この街が滅びるかも知れないのだ。


「私と、こちらのマイで、森に入り、昨日の鳥を見つけたのですが、」

「森に入った?」

「はい、その……昨日のリベンジを、と思い」

「そこで、竜をみたんです」


 語尾が尻窄みになっていく私に変わり、マイが引き継いでくれる。

 竜、というワードを聞いた途端、更にギルドマスターのプレッシャーが大きくなる。


「お前達は、確か余所者(よそもの)だったな」

「はい。昨日、ここで冒険者登録をしました」

「という事は、新人という事だ」

「そう、なります」


 突然脈絡のない話を始めたギルドマスターに、私達は思考が追いつかない。

 当たり障りのない返答をする。


「その新人が、緊急クエストの唯一の生き残りで、今日は竜を見ただと?」

「……」

「詳しくはまだ何もわからんが、竜が出たとなれば国に協力を要請せねばならん。日程が、決まったら知らせるから、それまではもう森に入るな」

「……」

「お前達はまだ半人前だ。元々、森はまだ早い。決戦日までにせいぜい力を蓄えておくんだな」

「……わかり、ました」


 ギルドマスターはそれっきり黙ってしまい、秘書さんに促されるまま、私達は部屋を後にするのだった。


              ◇


「昨日から、()()()()()が増えたな」


 ユーナ達が去ってしばらく。

 何事かを考えていたギルドマスターは、ふと顔を上げてそう呟く。

 彼にとっては竜問題と同じくらい、プレイヤー問題が悩みの種となっていた。


「久しぶりに、講習を開きますか」


 後ろで控えていた秘書がそう提案する。

 ギルドマスターはそれを受け入れた後、今後の展開について頭を巡らせていく。

 彼等この世界の住民が普段の日常を取り戻すのは、もう少し先の事になるのだった。



Tips:冒険者ギルド-02

冒険者ギルドは特定の国に属する組織ではなく、完全中立の立場として独立している。しかし、時には国と協調して物事の解決を図ることもある。


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― 新着の感想 ―
[一言] 国連のような国から人材出し合って運営維持してる組織じゃなくて、独自武力を持った超法規的超国家的組織って怖いよね〜。国に属してないってことは税金も払ってないんだろうし世界一お金持ち?こわこわ
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