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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
26/33

01-20

「……なんでしょう」

「その前に。すまんの、ローバ。もう一度クォンタムと2人きりにしてくれないか」

「……また?」

「何、今度はすぐ終わる」

「……わかった」

「いい子じゃ」


 ローバが未練タラタラに出ていくのを見届け、再度バーバラさんと2人になる。

 さて、今の所唯一話が通じる相手の頼みだ。

 内容にもよるが、断るつもりはなかった。

 それでなくとも、一度助けて貰っているのだ。

 恩返しがしたかった。


「明日、ローバと一緒に葬儀に出てくれぬか?」

「!それは……」


 だが、その頼みは想像よりも重いものだった。


「私が出席しても良いんですか?亡くなった方々とは関係はおろか、面識すらないのですが」

「関係なくは無いじゃろうと、アタシはそう思うのじゃ」

「……」


 それは、どういう意味でだろうか。

 私はこのゲームを始めてから、人どころか動物すらまだ殺していないのだが。

 バーバラさんから見えるオーラは、悔しさ、だった。


「勿論タダでとは言わん。そもそもその姿じゃぁ、街には入れんしの」


 そう言ってバーバラさんは懐から、腕輪を取り出して見せた。

 それは無骨な腕輪だった。

 華美な装飾の類は一切なく、頂点に1つ、正五角形の形にカットされた赤い宝石が取り付けられている。

 バーバラさんが片手で持っていることから、重厚な見た目の割に軽いのだろうと当たりをつける。


「これは?」

「“人化の腕輪”じゃ」

「人化の?」

「実際は少し違うがな。先程言いかけておった、スキルを使わずに異形度を下げる方法の1つじゃよ」

「これが……」


 なんという事だ。

 つまり、着けている間のみだが、【人化】スキルと同様の効果を得られる、という素敵装備らしい。

 次なる目標に【人化】スキルを得る、という事を考えていたが、早くも達成出来そうだ。


「これを付ければ、お主でも街に入れるじゃろ」


 だが、上手い話には必ず裏がある。

 恐らく貴重な物であろうこの腕輪を渡してまで、私を葬儀に出させたい理由は何なのだろうか。

 考えても分からないので直接聞く。

 答えは明快だった。


「アタシが用があって、同伴が出来んからの。ローバのお守りを頼みたいんじゃ」

「ですが、私は強くありません」

「強さの問題じゃない。大事なのは心だよ」

「心……?」


 であるならば、より適任では無いと言える。

 私は善人では無い。

 人を思いやるような心など持ち合わせていないのだ。


「ふふ。何故、という顔をしておるな」

「ええ、まぁ……」

「お節介じゃよ、年寄りの、な」


 それに、あの子も懐いておるしの、と愉快そうに笑うバーバラさん。

 理由に納得は行かないが、しかし内容は単純だ。

 葬儀は街中で行われるのだ、危険も少ないだろう。そう判断した。


「……分かりました」

「受けてくれるかの?」

「はい」


 となれば、覚悟は決まった。

 ここまで良くしてくれて、断るという選択肢は有り得ない。

 その旨を伝えると、バーバラさんはより一層笑みを深め、


「言った通りじゃろ」


 と言う。


「では、これをあげよう。大事に使うが良い」


 そしてそのまま、腕輪を渡してくれる。

 それが右翼に触れた途端。


「え?」


 人化した。


Tips:装備品

大抵のゲームにある装備可能数という概念はこの世界には存在しない。しかし当然だが、装備すればする程重量が増し、取り回しも悪くなる。


Now Loading ……




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