01-20
「……なんでしょう」
「その前に。すまんの、ローバ。もう一度クォンタムと2人きりにしてくれないか」
「……また?」
「何、今度はすぐ終わる」
「……わかった」
「いい子じゃ」
ローバが未練タラタラに出ていくのを見届け、再度バーバラさんと2人になる。
さて、今の所唯一話が通じる相手の頼みだ。
内容にもよるが、断るつもりはなかった。
それでなくとも、一度助けて貰っているのだ。
恩返しがしたかった。
「明日、ローバと一緒に葬儀に出てくれぬか?」
「!それは……」
だが、その頼みは想像よりも重いものだった。
「私が出席しても良いんですか?亡くなった方々とは関係はおろか、面識すらないのですが」
「関係なくは無いじゃろうと、アタシはそう思うのじゃ」
「……」
それは、どういう意味でだろうか。
私はこのゲームを始めてから、人どころか動物すらまだ殺していないのだが。
バーバラさんから見えるオーラは、悔しさ、だった。
「勿論タダでとは言わん。そもそもその姿じゃぁ、街には入れんしの」
そう言ってバーバラさんは懐から、腕輪を取り出して見せた。
それは無骨な腕輪だった。
華美な装飾の類は一切なく、頂点に1つ、正五角形の形にカットされた赤い宝石が取り付けられている。
バーバラさんが片手で持っていることから、重厚な見た目の割に軽いのだろうと当たりをつける。
「これは?」
「“人化の腕輪”じゃ」
「人化の?」
「実際は少し違うがな。先程言いかけておった、スキルを使わずに異形度を下げる方法の1つじゃよ」
「これが……」
なんという事だ。
つまり、着けている間のみだが、【人化】スキルと同様の効果を得られる、という素敵装備らしい。
次なる目標に【人化】スキルを得る、という事を考えていたが、早くも達成出来そうだ。
「これを付ければ、お主でも街に入れるじゃろ」
だが、上手い話には必ず裏がある。
恐らく貴重な物であろうこの腕輪を渡してまで、私を葬儀に出させたい理由は何なのだろうか。
考えても分からないので直接聞く。
答えは明快だった。
「アタシが用があって、同伴が出来んからの。ローバのお守りを頼みたいんじゃ」
「ですが、私は強くありません」
「強さの問題じゃない。大事なのは心だよ」
「心……?」
であるならば、より適任では無いと言える。
私は善人では無い。
人を思いやるような心など持ち合わせていないのだ。
「ふふ。何故、という顔をしておるな」
「ええ、まぁ……」
「お節介じゃよ、年寄りの、な」
それに、あの子も懐いておるしの、と愉快そうに笑うバーバラさん。
理由に納得は行かないが、しかし内容は単純だ。
葬儀は街中で行われるのだ、危険も少ないだろう。そう判断した。
「……分かりました」
「受けてくれるかの?」
「はい」
となれば、覚悟は決まった。
ここまで良くしてくれて、断るという選択肢は有り得ない。
その旨を伝えると、バーバラさんはより一層笑みを深め、
「言った通りじゃろ」
と言う。
「では、これをあげよう。大事に使うが良い」
そしてそのまま、腕輪を渡してくれる。
それが右翼に触れた途端。
「え?」
人化した。
Tips:装備品
大抵のゲームにある装備可能数という概念はこの世界には存在しない。しかし当然だが、装備すればする程重量が増し、取り回しも悪くなる。
Now Loading ……
感想・☆評価・ブクマ等、是非是非よろしくお願いします。励みになります。




