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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
25/33

01-19

「異形度を下げる方法は、スキルしか無いんですか?」


 ローバを待つ間、バーバラさんに聞いてみる。

 答えは否だった。


「いんや、そんなことは無いの。それが一般的だ、と言うだけじゃ」

「なるほど。因みに、他の方法とは、……」

「ただいまー!」


 疑問を質問する前に、ローバが帰ってくる。

 その手には液体の入った、試験管の様な細長いガラス瓶を持っていた。


「ローバ。人が話している間は黙って聞く!いいね?」

「……はーい」


 今日だけでどれだけ注意されるのだろうか。

 これが日常的に繰り返されていると考えると、バーバラさんの心労が心配だ。


「で、それはなんじゃ?」

「新作の薬!!」

「なんじゃと!?」


 屈託なく笑う少女と、驚きに目を見張る老婆。

 文脈から察するに、恐らくそれを私に使うという事なのだろう。

 まさかの実験台だった。


「それは危険な奴じゃないだろうな。どんな効果じゃ!」

「危険なんてないよ!むしろ逆。これは治す為のなの!」

「それが信じられんと言っておるんじゃ!だいたいいつもいつも……」


 そして目の前で始まる言い争い。

 どうやら、長くなりそうだった。


             ◆


 話は、私が竜に打ち飛ばされ、意識を飛ばした後にまで遡る(さかのぼる)

 いつものように薬草の採取から帰ってきたローバは、家の間に血みどろで倒れている鳥と()を発見する。

 人の方は助ける間もなく、()()()()()()()()()()()()が、幸いにも鳥の方はまだ息があったため助けることにしたという。

 だが、助けるにあたって1つ問題があった。

 それは、倒れている鳥が()()()()()()()()()をしていた事。

 ――もし助けたあと、暴れだしたら大変だ。

 そう考えたローバは、先日自作した新薬、通称“脱力剤(だつりょくざい)”を投与した――。


 というのが、私が意識を取り戻すまでに行われていた事らしい。

 2人の言い争いが一段落した後、バーバラさんが新薬の効果を問い質したところ、ローバは嬉しそうにそう語った。

 その脱力剤の効果で、私は今も体を動かすことが出来ないらしい。

 先程ローバが持ってきた液体は、その効果を打ち消す為の物のようだ。


 というか、今の今まで忘れていたが、あの時私を追いかけてきた女子二人組の弓使いの方は、あの打ち上げで死んだらしい。

 下手するとMPK扱いだが、あれは事故だろう。

 こちらも被害者だ。むしろ被害者だ。


「また……お主はちょっと見ない内に馬鹿げたもんを作りおって……」

「へへーん」

「しかも今回は地味に有能じゃ……少し改良すれば狩り事情が一気に変わるぞ……」

「もしかして私褒められてる?」

「褒めとらん!全く……」


 ローバに製造法を聞いていたバーバラさんは頭を抱えていた。

 どうやらかなり凄いらしい。

 当の本人は全く気にしてないところも含め、ローバが天才なのは本当なのかな、と思った。


「じゃ、ウォー。この薬を飲んでね?」


 更にしばらくして、ようやく薬を貰う。

 ローバの私の扱いが、完全にペットのそれだったが気にしないことにする。

 しかし、1歩間違えれば化物と言われてもおかしくない大きさの鳥に対し、よくこれだけ近付けるものだ。

 すぐ目の前で瓶を傾けるローバを見て、他人事のようにそう考える。

 薬の効果は無事に効き、ようやっと体を自由に動かすことができるようになった。

 後は、左翼が無いのだけが問題だ。

 ローバに礼を言おうとして、言葉が通じない事を思い出し、頭を下げる。


「!どういたしまして、ウォー」


 何とか通じたらしく、そう返してくれるローバ。

 クォーがウォーになっている事には気にしない。

 だが、やはり言葉が通じないのは不便だ。


「クォンタム。改めて、お主に話がある」


 そうして動ける自由をかみ締めていると、バーバラさんがそう持ちかけてくる。

 どうやら大事な話のようだった。


Tips:脱力剤

とある若き天才錬金術師が作り出した薬。飲むと魔力回路が阻害され、魔力の通りが止まる。


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