01-07
さて、ようやく客観的に自分の姿を確認することが出来た。
やはりどこをどう見ても鴉のそれで、人間的要素は1つとしてない。
手(というか翼)は折り畳まれている状態がデフォルトのようで、だから咄嗟に手を出せなかったのかな、と納得してしまった。
口には立派な嘴が伸びており、これで体感普通に喋れているのだから不思議である。
そして全身白銀である。キャラクリで設定した髪色と同じだと思うので、あれが鴉になった事で体毛として全身に生えたのだろう。
パッと見はもうただのアルビノである。
というか、嘴で思い出したのだが。
「そういえば、スタフィーとは普通に喋れるんだな」
「?」
「や、ここに来る前に……多分人類種?とやらに会ったんだが。言葉が通じなかったんだ」
そういうと、何故か呆れのオーラが立ち上る。
「……それ。当然」
「えっ」
「亜人種の言語。人類種と獣人種の言語と違う」
「そうなのか……」
言われてみれば【亜人種知識】に言語の言及があった気もする。
これはもう一度総ざらいした方が良さそうだ。
他にも見落としがあったら困る。
「それより」
ステータスを確認しようとすると、スタフィーが近付いてくる。
焚き火に近付いた事で今まで見えなかった細部を見て、気付いた。
「これが証」
そう言って見せてきたのは、私が怪我をした左半身、その翼の付け根だった。
そこには、そこだけ異彩を放つ紅色があった。
傷跡の縫合痕の様に生えているその毛は、まるでそこだけ稲妻が走っているようだった。
証という事は、恐らく私の身体にあるという事なのだろう。
「わふ」
そして、私が気付いたことを理解したからだろうか。
そこでポンッと気の抜けた音が響く。
見れば、スタフィーが少女の姿に戻っていた。
……生体がファンタジーすぎる。
◆
〈ステータス〉
名前:クォンタム
人種:亜人種【鳥種-鴉カラス】
性別:男
年齢:19
存在値:Lv.1
異形度:9
称号:【亜人、始めました】【紅狐の呪い】
職業:――
〈スキル〉
【魔導文字】Lv.1【身体強化】Lv.1【狂化】Lv.2
〈称号スキル〉
【亜人種知識】【紅狐の呪い】
〈技能〉
【精神耐性】70【痛覚耐性】70【演技】50
Pt:300,選択してください
〈所持金〉
0 C
【紅狐の呪い】
特別価格5,000C,確かに頂いたからのう、亜人
効果:スキル【紅狐の呪い】を獲得
条件:紅狐■■に興味を持たれた
【紅狐の呪い】(スキル)
その体毛は、呪いの証か、呪いの証か
効果:
……うん。
やばくね?
「……紅狐?」
「様」
「…………紅狐、様?」
「そう」
ふと、なんの意味もなくスタフィーを見る。
彼女は、いつの間にか三本の尻尾揺らめかせ、特徴的な狐目でこちらをじぃっと見ていた。
「御館様が、貴方を助けた」
その後、元の姿に戻ったスタフィーの手解きを受け、なんとか一通りの動きが出来るようなになった。
どうやら彼女はチュートリアルのお助けキャラの様な役割があったらしい。
ゲームを開始して早数時間。
ようやくまともに行動出来るようになった。
ただ、飛ぶことだけはどうしても出来なかった。
彼女も手を替え品を替え飛ばそうと助力してくれたが、どうしてもあと一歩というところで踏みとどまってしまう。
最終的には諦められて、何処かへと帰っていってしまった。
……満足に飛べるようになるのは、どうやらまだ先の事のようだった。
彼女を見送ったあと、時間もいい時間なので今日は終わることにする。
前途多難な始まりになったとはいえ、総合的には楽しかったな、と思った。
◇
その数十分後、冒険者達の捜索の手がクォンタムのいた場所まで及んだが、そこには既に誰もいなかった。
Tips:呪い
この世界の呪いは二面性の対比が大きく、正負どちらに傾向けるかは割と自由が効く。
災い転じて福となす。受けた呪いを生かすも殺すも、その人次第だ。
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