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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
11/33

01-06

 意識が朦朧としている。


「あな珍しや。()()()の落し子かえ」


 遠くで声が聞こえる。


「それも亜人種じゃき、なかなかよの」


 1人とも、複数人とも取れる混ざった声。


「可哀想に、相当痛めつけられているようじゃ」


 どうやら私は、誰かに運ばれているようだ。


「しょうがない。特別()()()()じゃ、どうやら数奇な運命に愛されておるようじゃからの」


 不意に暖かい何かが全身を包む。

 同時に、覚醒しかかっていた意識が再度沈んでゆく――。


             ◆


「……ん」


 目を覚ますと、先程までいた広場とは違う場所にいた。

 ここら一帯で一際大きな木の根元。

 そこに寄りかかるようにして座っているというのが、今の私の状況らしい。

 周囲はいつの間にか薄暗くなっている。


「……」


 意識が覚醒してきたことにより、さっきまでのことを思い出してくる。

 確か、襲われて、叩きのめされて、最後には――

 殺された?


 前方には小さな焚き火があり、パチパチと火が燃える音が森に響く。

 ……もしかして、リスポーン待ちなのか?

 そう考え体を動かそうとするが、動かない。


「……起きた」


 突然焚き火が喋った。

 違う、いつの間にか焚き火の奥に少女が座っていた。

 どうやら少女が話しかけたらしい。


「お陰様で」

「違う」

「え?」

「助けたの、私じゃない」


 火を挟んでの会話。

 表情が見えないが、何故か悲しそうな声だった。

 というか、悲しさの青のオーラが見えている。

 だが心当たりはなかった。


「そう、なのか。てっきり、キミが助けてくれたのかと」

「キミ、違う。スタフィー」

「スタフィー?」

「そ。名前」


 なんか調子狂うな、と思った。

 声にほとんど抑揚がない。その癖、青のオーラは出っぱなしだった。

 会話に慣れてないのだろうか?


「私は見てただけ。倒れてたから」

「……?結局助けてくれたってことでいいのか?」

「それは違う」

「……参ったな」


 このままでは堂々巡りだ。

 何故だかは分からないが、スタフィーは自分が助けたのではいと思い込んでいる。そう考える事にした。


「……む」


 そう考えていたのが伝わったのだろうか。

 スタフィーはわかりやすくムッとして、黙り込み、白銀の鴉になった。


「ん!?」


 いやおかしい。まだ寝ぼけているのだろうか、さっきまでいたはずの少女は跡形もなく消え、焚き火よりも大きい鳥が目の前に現れた。

 思考が追いつかない。追いつかないが、前後関係を鑑みるに――


「……スタフィー?」

「そうだけど」

「えっ、いやおかしくないか?」


 えっいやおかしくないか?

 私の知っているスタフィーは少女だったはずなんだが……。

 だがよく見るとなんだか見覚えがあるような……?


「これ。貴方」

「えっ」


 ここに来て当面の目標だった自身の姿を確認することが出来たが、それはきっと訳の分からない少女が自分の姿になる、というものでなくても良かったはずだ。

 いや、現実逃避は良くない。

 どうやらこれが今の私の姿のようだ……。

 無駄にキラキラしていて、自分事じゃなければ素直に綺麗だと思えたのだろう、と思ってしまった。


Tips:亜人種-02

亜人種は人類種唯一体内に“魔石”を保有しており、魔力の自己生成が可能。しかし、そのことから“魔獣”扱いされる事も多く、差別の大きな要因にもなっている。彼らの魔石は、魔力だけでなく悪意も生成しているようだ。


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