01-06
意識が朦朧としている。
「あな珍しや。りあるの落し子かえ」
遠くで声が聞こえる。
「それも亜人種じゃき、なかなかよの」
1人とも、複数人とも取れる混ざった声。
「可哀想に、相当痛めつけられているようじゃ」
どうやら私は、誰かに運ばれているようだ。
「しょうがない。特別さあびすじゃ、どうやら数奇な運命に愛されておるようじゃからの」
不意に暖かい何かが全身を包む。
同時に、覚醒しかかっていた意識が再度沈んでゆく――。
◆
「……ん」
目を覚ますと、先程までいた広場とは違う場所にいた。
ここら一帯で一際大きな木の根元。
そこに寄りかかるようにして座っているというのが、今の私の状況らしい。
周囲はいつの間にか薄暗くなっている。
「……」
意識が覚醒してきたことにより、さっきまでのことを思い出してくる。
確か、襲われて、叩きのめされて、最後には――
殺された?
前方には小さな焚き火があり、パチパチと火が燃える音が森に響く。
……もしかして、リスポーン待ちなのか?
そう考え体を動かそうとするが、動かない。
「……起きた」
突然焚き火が喋った。
違う、いつの間にか焚き火の奥に少女が座っていた。
どうやら少女が話しかけたらしい。
「お陰様で」
「違う」
「え?」
「助けたの、私じゃない」
火を挟んでの会話。
表情が見えないが、何故か悲しそうな声だった。
というか、悲しさの青のオーラが見えている。
だが心当たりはなかった。
「そう、なのか。てっきり、キミが助けてくれたのかと」
「キミ、違う。スタフィー」
「スタフィー?」
「そ。名前」
なんか調子狂うな、と思った。
声にほとんど抑揚がない。その癖、青のオーラは出っぱなしだった。
会話に慣れてないのだろうか?
「私は見てただけ。倒れてたから」
「……?結局助けてくれたってことでいいのか?」
「それは違う」
「……参ったな」
このままでは堂々巡りだ。
何故だかは分からないが、スタフィーは自分が助けたのではいと思い込んでいる。そう考える事にした。
「……む」
そう考えていたのが伝わったのだろうか。
スタフィーはわかりやすくムッとして、黙り込み、白銀の鴉になった。
「ん!?」
いやおかしい。まだ寝ぼけているのだろうか、さっきまでいたはずの少女は跡形もなく消え、焚き火よりも大きい鳥が目の前に現れた。
思考が追いつかない。追いつかないが、前後関係を鑑みるに――
「……スタフィー?」
「そうだけど」
「えっ、いやおかしくないか?」
えっいやおかしくないか?
私の知っているスタフィーは少女だったはずなんだが……。
だがよく見るとなんだか見覚えがあるような……?
「これ。貴方」
「えっ」
ここに来て当面の目標だった自身の姿を確認することが出来たが、それはきっと訳の分からない少女が自分の姿になる、というものでなくても良かったはずだ。
いや、現実逃避は良くない。
どうやらこれが今の私の姿のようだ……。
無駄にキラキラしていて、自分事じゃなければ素直に綺麗だと思えたのだろう、と思ってしまった。
Tips:亜人種-02
亜人種は人類種唯一体内に“魔石”を保有しており、魔力の自己生成が可能。しかし、そのことから“魔獣”扱いされる事も多く、差別の大きな要因にもなっている。彼らの魔石は、魔力だけでなく悪意も生成しているようだ。
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