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大天才だった幼馴染に久しぶりに会ったら、見る影もないくらい心身ボロボロになっていた件  作者: 平元桜央
第一章 太陽と月

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恐怖症の治療

 僕は実に3日ぶりに、ユノの部屋を訪れた。


「ユノ」


「……! サイ!」


 僕が部屋に顔を出した瞬間、ユノの顔がパァッと輝いた。


 ユノは僕のそばへ駆け寄り、躊躇なく僕に抱きつく。


「おっと……!」


 看病をしたあの日から、スキンシップに躊躇がなくなった。

 というか、何かしらのネジが外れたとしか思えないくらい距離が近くなった。

 僕の存在を確かめるように、顔を胸に埋めて擦り寄ってくる。

 正直可愛いけれど、なんか犬みたいだと思っているのは秘密だ。


「3日も会えなくてごめんね、寂しくなかった?」


「寂しかったけど……でも、我慢した」


「偉いよ。よく我慢できたね」


 僕はユノの体を抱きしめ返して、頭を撫でた。 

 ユノは気持ちよさそうに目を細めた。


 ユノは僕が数日部屋を訪れなくても、不安にならなくなった。

 もちろん事前に連絡はするけれど、これも看病をした日から。


 ユノにダイ先生から聞いたことを伝えた。

 ユノが『人間恐怖症』であるかもしれないということ。

 適切な手順を踏んでいけば、治るかもしれないということ。

 そして、僕がユノの恐怖症を治すということ。


「人間に、恐怖する病気……」


 ユノは僕の言ったことを信じられない様子で聞いていた。


「もちろんユノが人間恐怖症だというのはあくまで可能性で、絶対じゃない。けど……」


「でも……一応全ての辻褄は合うね」


 ユノは自分の腕を抱き抱えるようにギュッと握った。

 そんな病気聞いた事ないし、治るかどうかもわからない。

 不安なのだろう。


「大丈夫。僕が、絶対に治してみせるから」


「サイ……」


「今日から、少しずつ治療を始めていきたいんだけど、大丈夫? 素人な僕が治療するなんて、ユノからしたら不安なのかもしれないけど……」


「……ううん。サイが、いい」


 ユノは首を横に振って、僕の言葉をキッパリと否定した。


「サイなら、信頼できるから……」


「……わかった。ありがとう」


 そう言って僕が頭を撫でると、ユノの不安は少しずつ消えていったようだ。


「まずは、少しずつ僕以外の人間に慣れていくことが大切なんだ。だから、今日はこれを持ってきたよ」


 僕は封筒を取り出し、その中のものを机の上にばら撒いた。

 ユノはそのうちの1つを手に持った。


「これは、写真……?」


 僕が持ってきたものは写真だった。

 人間が写っている写真。


「知り合いに協力してもらって、いろんな人の写真を撮ってきたんだ。これで少しでも人間に慣れていこう」


「なるほど……写真を見るのも久しぶり……」


 ユノはマジマジと写真を見る。

 最初は本当に軽いものから慣れていくしかない。

 ダイ先生もそう言っていた。


『人間には、少しずつ慣らしていくしかないだろう。ユノ君の場合、まずは君という人間に慣れるところから始まったのだ。今まで君が彼女の家に通っていたのは無駄ではない。君以外の人間への恐怖心は、低い段階から順番に慣らしていくんだ』


 そのアドバイスで僕が選んだものが写真だった。


 僕は1人1人、写真に写っている人について説明をしながらユノに見せていった。


 ユノは多少の不快感はあるものの、それでも僕の隣で僕の紹介をよく聞いていた。


「この人はシュウ先輩っていうんだ。この町を守っている僕の先輩」


 シュウ先輩の写真になって、ユノに見せる。


「僕が騎士学校に通っていた時からお世話になっていてね。ユノのことも知ってるよ。人間恐怖症を治すのに協力してくれるって」


「そうなんだ……爽やかそうな人だね。サイの友達なら、私も仲良くなりたいな……」


「……でも女たらしだから、あんまり近づかないように」


 一応釘は刺しとこう。

 別に嘘は言ってないし。


「そ、そうなの……? 一般的にはこういう人が人気なんだね」


 ユノはシュウ先輩の写真をマジマジと見る。


 なんだ、そんなに見て。

 気になるのか。


 僕がユノのことを見ていると、ユノは顔を赤くして僕の方を見てきた。


「サイは、モテるの?」


「へ?」


 てっきりシュウ先輩のことを聞かれるのかと思ったら、僕の方だった。

 予想外の質問に少し呆けてしまった。


「い、今まで彼女とか、いたこと、あったり……」


 ユノはどこか強い衝撃に耐えようとしているかのように目をギュッと瞑っている。

 何をそんなに身構えているのだろうか……?


「いたことないよ。残念ながらね」


「ふ、ふーん……」


 ──……なんで興味ないふりをしてるんだ。ユノから聞いてきたんだよね?


「で、でも意外だね。騎士なんてモテそうなのに……が、学校の時とか、可愛い子とかいたんじゃないの?」


「そんなことないよ。騎士学校なんて男が7、8割なんだから。まず女性が全然いな……」


『諦めろメイナ。サイは学生時代も女にまるで興味なかったんだから。スッゲー可愛い人から告白されてたのに振ったんだぜ?』


「あ」


 ──そういえば学生の時は何回か告白されたこともあったっけ……


「……? どうしたの?」


「ううん、なんでもない。とりあえず、この人がシュウ先輩ね。で、次の人が……」


 別に言う必要はないだろう。

 結局振って彼女はいなかったのは事実だし。

 次の写真をユノに見せた。


「じ、じゃあ今交流がある女の子は私だ……け……」


「はい、この子はメイナっていう後輩」


 メイナの写真は本人が写真写りに納得しなくて10分くらいかけて撮った力作?だ。

 にこやかにウインクしながらダブルピースを決めている。


「お菓子とか、オシャレとか、そういう流行のものが大好きな……って、ユノ?」


 ユノが写真を見てビシッと固まっていた。

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