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大天才だった幼馴染に久しぶりに会ったら、見る影もないくらい心身ボロボロになっていた件  作者: 平元桜央
第一章 太陽と月

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決意

「……ん……」


「ぁ……」


 誰かの残念そうな声が聞こえて、目を開けると、見知らぬ天井だった。

 ここがどこか、数秒時間を有したが、ユノの部屋に泊まったことを思い出して、思考が覚醒する。


 ユノのベッドに背中を預けて、座って寝たからか、体のあちこちが悲鳴を上げている。

 先ほど声がした方へと振り返ると、ユノは上半身だけ起き上がって、僕の手を握っていた。


「ぁ、おはよ……ユノ……元気? かな?」


「……うん」


 返事をしたユノの顔はまだ赤かった。


「大丈夫? 顔がまだ赤いけど、熱はまだ下がってない?」


「……ううん、下がった」

 

 ユノは少し僕の手を握る力を強めて、そっと離した。


「……ありがとう……」


「僕が看病してて良かったでしょ?」


「……うん」


 おどけて言ったつもりだったんだけど、そう真正面から肯定されるとちょっと照れる。


「ごめんね、寝る前に、急に怒鳴ったり、嫌なこと言ったりして……」


「気にしないでよ。それに、僕としては言ってもらってよかった」


「……ねぇ、サイ」


 ユノの瞳が、僕をしっかりと見つめた。





「私、外に出てみたい」


「……!」






 それは、勇気ある宣言だった。

 ずっと1人で閉じこもっていた、彼女の一歩だった。


「サイに、手伝ってほしい……でも、そのためにサイに、私がなぜこんな風になっちゃったのかを知って欲しいの」


 ウララさんにも聞かないでほしいと言われた、ユノの秘密。

 こうなってしまった、部屋から出られなくなってしまった、その理由。


「でもね、私の話を聞けば、サイは、もしかしたら危ない目に遭うかもしれない」


 ユノは顔を伏せて、僕から目を逸らす。


「……サイの事を巻き込みたくない……だから、もし、聞きたくないなら、それでも……」


「ユノ」


 僕の答えは、決まっていた。


「僕は、一度君から逃げた」


 それは、揺るぎない事実だった。


「ユノの才能を前にして、隣に並ぶのが怖くなって……僕なんかがそばにいちゃいけないって思って、それで、逃げた」


 だから、騎士になろうとした。

 ユノのそばに立つことに、誇りをもてる自分になりたくて。

 しかし、結果的には……


「君を、1人にしてしまった」


 僕の存在が、ユノにとっても大きいものだったなんて、想像もしていなかった。


「でも、ユノが故郷からいなくなったことを知って、なんていうか……胸に、ぽっかり穴が空いたような気がして……勝手にいなくなって何言ってるんだって思うかもしれないけど……」


 僕の胸に穴が空いた理由は明白だった。


「僕はもう、ユノのことを大切な人だって思ってる」


 それくらい、僕にとっても、ユノの存在は大きかった。


 僕の人生において、かけがえの無い、なくてはならない存在にまでなっていた。

 昔みたいに、太陽のように笑っていなくても。

 ユノの全てが愛おしいと、そう感じていた。


「だから、遠慮なんてしないで。僕はユノの全てを知りたい」


 僕の話を黙って聞いていたユノの瞳は、少しだけ、潤んでいた。


 そして、語り始めた。


 僕がいなくなった後、彼女に何が起こったのかを。


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