魔法が使えるようになる方法
事を説明すると、ウララさんは驚いて、腕によりをかけて作ると張り切っていた。
とは言っても、今はまだ16時過ぎ。
まだまだご飯の時間ではない。
食料の買い出しもしたいと言っていたし、夕飯までの時間の間、僕はユノに魔法について教わることにした。
「……どう?」
「……や、やっぱり、魔力が全然無い、んだね……」
僕の体を、ユノはじっと見つめて、そう呟いた。
「……だよねぇ……」
魔法を使うには、必ず魔力を身体に蓄えなければならない。
でも、どれだけ魔力を蓄えられるかの総量は、人によって違う。
人間の血管の太さや大きさが違うように、魔力を蓄え、身体中に運ぶ器官、『魔力回路』の太さは人によって違うからだ。
体の中に走る『魔力回路』が太ければ太いほど、体に魔力を多く蓄えられ、より多くの種類の魔法が使える。
でも、逆に『魔力回路』が細い、あるいは閉じている人間は、魔力を取り込めず、一切魔法が使えないというケースもある。
魔導士になれる人間は、この『魔力回路』が生まれつき太い人間。
つまり、魔導士の世界は、9割型才能で決まると言って良い。
そんな中で、『魔力回路』が圧倒的に太く、常人の何倍も魔力を蓄えられるユノは、天から与えられた才能を与えられた文字通り天才だった。
「まぁ、無い物ねだりしてもしょうがない。この少ない魔力でも実戦で使用できる魔法を覚えたいな」
僕の魔力でも、工夫次第できっと実戦に役立つ魔法があるはずだ。
「で、でもね? 一つだけ……サイの魔力を増やす方法があるよ」
「……へ?」
──僕の魔力を、増やす……?
「ちょ、ちょっと待ってね……! えっと、この辺に……!」
ユノは地面に積まれている大量のノートの束から一つの冊子を取り出した。
ページを開いて、僕に見せる。
「ほら、他人の魔力回路に魔力を注入して、魔力回路を太くする方法だよ!」
「……」
「ま、まだどこの学会にも発表してないけど……理論的には成功するはず……!」
「ちょ、ちょっと待ってユノ」
興奮している彼女を手で制する。
僕の頭があまりのことに追いついていなかった。
「それってつまり、ここに書かれていることって『魔法が使えない人でも魔法が使えるようになる方法』ってことであってる……?」
「……? う、うん……そうだけど……」
「……」
──なんだそれは? 本当に革新を起こせるレベルじゃないか。
生まれた瞬間に、魔法が使えるか使えないかが決まる。
世界人口の約5割は魔法が使えないと言われている。
それが誰でも魔法をいくらでも使えるようになるってことだ。
「そもそも他人の魔力回路に魔力を注入するなんて芸当が可能なの……? 魔力回路って神経くらい小さいものだけど、そこに魔力を注入して太くするなんて……それに、もし例えできたとしても、魔力回路がいきなり太くなって後遺症とかは……」
人間の血管や神経を太くすると言っているようなものだ。
普通は不可能だし、できたとしても何かしら身体に異常ができそうではある。
「た、確かにこの方法は繊細な魔力コントロールができなきゃいけないけど……でも、わ、私なら大丈夫……後遺症も残さず完璧にできるよ! じ、実験も、人間相手じゃないけど……何度もやったし……」
「……」
ユノは天才だということを、再び思い起こされた。
ずっと、魔力が少ないという理由で諦めていた魔法への道。
そんな夢のようなことが可能なのであれば……
「じゃあ……よろしく、お願いします」
「う、うん! 喜んで!」
僕が頼むと、ユノは嬉しそうに笑った。




