第二十二話
金曜日
1週間かけて無事に全てのテストを終えた。
最終科目「家庭科」のテスト終了を告げるチャイムが鳴った瞬間に、教室中は安堵の声で騒がしくなる。
「おわったー!」
「それどっちの意味で終わったんだよ!」
周りのみんなは解放感に浸って楽しそうにしているが、私にとってはどうってことないことだ。だって勉強してないし。
「みなさん。定期テストお疲れさまでした。今日の5時間目のホームルームでは修学旅行の注意事項や日程を確認していきます。テストが終わったからって、早退しないこと!」
先生はテスト用紙を回収すると、教室を出て行った。
修学旅行は来週の金曜日から三泊四日の予定だ。土日に必要な持ち物を買い足せるように、本日中に修学旅行のオリエンテーションを行うようだ。
「しーずは!お弁当食べるよ!」
優花たちに声を掛けられ、テストの反省を聞き流しつつお昼休みをすごすのであった。
5時間目
修学旅行の班でまとまって席に着き、それぞれ修学旅行のしおりを受け取った。
1ページ目を開いて、全日程にさっと目を通す。
「班での行動って結構多いんだね。」
ちょうど私も、まいまいと同じことを思っていた。
班での行動は二日目の自由行動日がメインだと聞いていたが、しおりを見るといくつかの欄に「班行動」と記されている。
「新幹線の座席」
「夕食のテーブル割り」
「体験学習活動のグループ」
「二日目の自由行動」
これらは全て班行動らしい。多いというか、ほとんど班行動じゃないか。
つまり修学旅行の三日間は、あまり駿に会えない…!
その間ずっと優花と駿が一緒に過ごしているのかと考えると憂鬱だ。
「これは、優花嬉しいだろうね。」
まいまいはそう言ってしおりのページをめくった。
優花は嬉しいだろうが、私は嬉しくない…!
私もしおりのページをめくって、だらだらと続く先生の説明を聞きつつ注意事項を眺めるのであった。
「それでは、次に部屋割りを決めます。男女別で一部屋4人です。自分達で自由に組んでください。」
先生の言葉でみんなは席を立ち、それぞれ仲が良い人と集まり始めた。
私もいつもの6人で集まって部屋割りを考える。
「どうしようか?」
優花が口を開いた。
「いろいろ考えるのは面倒だし、班割りと同じでいいんじゃない?」
私はそう提案してみた。
なんとなく、私と優花と同じ部屋になるのは嫌な予感がする。別に嫉妬とかではないが、駿と1日中一緒にいる女の自慢話なんて聞いていられないだろう。
「そうだね。みんながそれで良ければ。」
優花の言葉にまいまいや他の三人も頷いた。
「ねえ、そっちで二人余らない?」
ちょうどその時、同じ班になる予定の二人に声を掛けられた。
「うん。私とまいまいの二人だよ。もしかして二人も?」
「そう!じゃあ私たち、班も部屋も同じだね。」
二人はそう言って笑う。
同じ班になる予定の二人は沙弥と実波の陸上部コンビだ。沙弥は短距離エース、実波は長距離エースであっさりとした性格で付き合いやすい。
こっちの静羽は、性格的にも学力的にも今の一軍女子的位置付けが最適だ。だが、本来の静羽は沙弥や実波のような竹を割ったような性格の子の方が馬が合う。
その点では、まいまいも分かりやすい性格であるし過ごしやすいメンバーになりそうだ。
「それでは部屋割りは決定でよろしいですかね…。なお、9時から消灯の10時半までの間は自由に部屋を移動して構いません。トラブルを起こさない程度に楽しんでください。」
先生の言葉にみんなは盛り上がる。
「じゃあ、静羽とまいまいも部屋に遊びにおいで!」
優花の言葉に私は満面の笑みで頷いておいた。
その瞬間、駿が私の横をサッと通り過ぎて耳元で囁いた。
「じゃ、待ってるからな。」
一言だけ残して行ってしまったので私は思わず振り返る。
待ってるって…。つまり…?




