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Mercenaries Garden   作者: ゆーやミント
ガーデン生活 初年度生編
55/87

〜嵐の前日〜

〜Side of Koyomi〜


昨日の約束通りウィリアムとアイシャは正午過ぎに学生区中央大広場の噴水前にやって来た。


「お待たせコヨミとサキ!」

「やあ、待ったかな?」


小走りしながら手を振って二人はこちらに来た。


「俺たちも今来たところだ。ここで話してるのもなんだし早速買い出しに行くか」

「そうだね」

「レッツゴー!」


元気良く腕を振り上げたアイシャは上着の裾を翻して小走りに商店街の方へと向かい、ウィリアムもそれに続く。

一方で紗季は俺の上着の袖を握りしめて一人難しい顔をしていた。

俺が歩き出すと平行して移動するのだが足取りも重たい。


「ねえお兄ちゃん」

「何だ?」

「明日...戦いに行くんでしょう?なのに...あんな風に気楽にさせて.....良いの?」


紗季は俺の袖を引っ張って見上げると、途切れ途切れな声でそう言った。


「ああ、勿論だ。前日だからといって気を張り詰め過ぎたらかえって明日が危険だ。下手に緊張させて夜に寝付けなくて、散漫になった注意力で戦地に送り出すのだけは絶対に避けたい...まあ、一応それとなく気を引き締めるように注意を促すつもりではいるんだけどね」


俺は紗季の頭に手を乗せてゆっくりと撫でながら説明していく。

それでも納得のいかない様子の紗季は何か言いた気に俯いている。


「それに、万が一に危険な状況に追い込まれたら俺が何とかするさ」

「・・・それが余計に心配なの」


紗季の口から出てきた言葉はもう長いこと聞いていなかった冷たい声。

心配しないで元気を出すようにと言ったつもりの言葉のつもりだったが、逆に不安を煽り立ててしまった様であった。


「私はね、お兄ちゃん一人だったら問題無く返ってこれるって信じてる。でも、お兄ちゃんは優しいから班の人が危なくなれば自分の身を顧みないで助けに行くでしょ?...それが何よりの心配なの」


遠くで俺たちを笑顔で呼んでいるアイシャとウィリアムの顔を思わず見てしまう。

確かに彼女たちが危険に晒されれば俺は全力でその救助に向かうだろう。

一時の不安故に要らぬ信頼関係を築こうと自ら歩み寄ってしまった所為で、最早104班の班員を切り捨てるのは難しい。

それ以前に、俺は安住できるこのガーデンという場所に対してあまりに情を移し過ぎた。

とは言え...


「紗季、確かに班員は邪魔になるかもしれない。でも一人で戦うよりもずっと楽だ」

「どうして?」


キリキリと歯を喰いしばる紗季の背中に腕を回すと優しく抱き寄せた。


「一人で戦う時に襲ってくるのは何も魔物だけじゃない。不安や孤独を囁く己自身だ」

「自分が襲ってくるってどう...」

「コヨミ?サキ?2人共暗い顔して一体なーに話てるの?」


紗季が神妙な顔で訪ねかけた瞬間に突然アイシャが顔を出してそれを遮った。


「ッ!」


二人で話し込みすぎてすっかり周りが見えなくなっていた俺たちはムスッとした顔で詰め寄っていたアイシャに文字通り飛び退くほど驚いてしまった。


「えっと...何でそんなに驚くの?」

「ほら、やっぱり何か大切な事を話してるみたいだったじゃないか。ごめんねコヨミ、サキ。一応は止めたんだけど彼女聞かなくって」


大袈裟な反応をした俺に面食らった様子のアイシャを困った顔をしたウィリアムが頭を抱えて溜息を吐いている。


「いや、こっちこそごめんな。行こうって言ておきながら長話をしていて」

「ううん、何か真剣な顔で話をしているみたいだったから僕は口出ししないようにと思ってたんだけど...」


ウィリアムは苦笑い混じりにアイシャへと視線を向ける。


「あの...邪魔しちゃったならごめんね。暗い顔してたから元気出して欲しくって...」


その視線に気がついたアイシャは申し訳なさそうな表情でそう呟くので、俺は何だか悪い気がしてきてしまったので、ぎこちないであっただろうが笑顔で彼女の頭に手を置いた。


「気遣ってくれてたのに驚いて悪かったな。今度こそ出発するか」


後ろから感じる紗季の視線はこの際無視して軽くアイシャの頭を撫でてあげると、彼女は目を細めて喜んでくれる。


「あっ...」


一通り撫で終わって手を離すとアイシャは若干名残惜しそうな顔をしたが直ぐにいつもの元気な表情に戻った。


「じゃあ気合い入れて行こうか!」


この後、一通りの装備調達と防具品の修理が終わるまで紗季が俺の腕を離してくれないという事件が発生したのだが、それはまた別の話。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いやー、すっかり日暮れだね〜。私って鎧とか初めてなんだけど上手く動けるかな?」

「軽装鎧だからアイシャでも動き難くないと思うけど、今夜あたりに着て少し動いてみるといいよ。それで動きが鈍るようなら明日は着て来ない方がいい、実戦では些細な不安要素も命取りになりかねないからな」


初めアイシャは金属鎧の購入を渋っていたので無理に強要はでしなかったのだが最後から二番目に入った店に置いてあった要所要所に薄い金属の板を貼ってある淡い緑を基調とした身軽な鎧を見て一目惚れしたらしく、俺とウィリアムで鎧を見ている一瞬の間に買っていたのだ。

相当なお気に入りらしく鎧の入った鞄を両手で持って鼻歌まじりに歩いている。


「ねえ、ガーデンの中で鎧を着てるのはやっぱり目立つ...のかな」

「そりゃそうでしょう」

「アイシャさんに同じく」

「うっ、だよねぇ...」


四人の中で一番後ろを歩いているウィリアムはガシャガシャと脚甲を響かせて周囲の注目を集めていた。

アイシャと紗季に言われて肩を落としている様子ではあるが、幾ら上に羽織っているとは言え歩く時の風で上着がめくれれば夕焼けを反射してきらめく胸当てが姿を覗かせている上に手足に堂々と装着された防具は隠せない存在感を醸し出している。


「まあ、店に収納用の鞄が無かったんだから仕方ないよな。でも部屋に送ってもらうって手もあったんじゃないか?」

「あ...」


ウィリアムもアイシャと同じ店で鎧を選んだのだが、先に彼女が購入してしまった所為で不幸にも鞄の在庫が切れてしまったのだ。

仕方なく身に纏って帰るより他にないという結論に至ったらしい彼は現在に至る訳だが、鎧を部屋に送ってもらうという発想は無かったらしく間の抜けた声を漏らした。


「着てた制服を入れる袋は貰ってきたのにね〜」

「ごめんアイシャ、今これ以上何か言われたら挫けそうだよ」


すっかり肩を落としたウィリアムは遠い目で夕焼け空を見上げてしまう。


「世の中辛くても元気出せよ。自分じゃなくて周りが異常だと思えば切り抜けられる」

「コヨミ、君の言葉が一番心に突き刺さったよ」


慰めたつもりが余計に彼を沈めてしまったようである。俺は何か間違った事を言ったのだろうか?


「む...やな気配が」


妙なことを呟いてキョロキョロしだした紗季を不思議に思っていると後ろからポンと肩を叩かれた。


「人を慰めるのがとことん下手だな、ミズカミ」

「シラギ先輩!き、聞いてたんですか?」


何処から現れたのか、シラギ先輩が銀の髪を風になびかせて立っていた。


「当たり前だ。でなければ今のタイミングで切り返しはできんだろう」


俺が素知らぬ顔をして盗み聞き宣言をした先輩に呆れていると、アイシャとウィリアムが身を硬くして敬礼をする。

俺の背後に隠れて警戒した猫のように毛を逆立てている紗季とは真逆の反応だ。


「き、勤務お疲れ様です!シラギ討伐部隊長」

「楽にしろ。貴様らこそ明日は大切な日だ。新しい物こそ入念に装備をチェックして来るべき時に備えろ」

「「はい!」」

「最後の最後に己を守るのは自分の装備だけだからな。日頃から手入れを怠るな」

「「了解しました!」」


先輩は二人の強張った肩に手を置いてそれを直すと軽く叩く。


「力を抜けと言っているだろう。要らぬ時に要らぬ力を使うんじゃない。必要な時に必要な力を出すことが長生きの秘訣だ」

「はい!」

「あ、ありがとうございます!」


先輩が優しい笑みを浮かべると二人はすっかり顔を真っ赤にして敬礼をする。

そんな二人をみて先輩は小さく笑うと、今度は俺の方を向いてジッと目を見つめてきた。


「ふむ...ミズカミ、後で部屋に行く。二人で話したいことがあるからな」

「わかりました。部屋番号ですが...」

「それなら知っている。俺は気に入った奴のことは調べ上げる性格(たち)でな」


俺が部屋番号を言おうとすると先輩はそう言って言葉を遮った。

しかし、よく考えてみると恐ろしい発言である。


「それじゃあな、お前たち」

「はい、また後ほど」

「「討伐部隊長、ありがとうございました!」」


後手に手を振る先輩がかどを曲がって姿を消してもアイシャとウィリアムは直立不動で敬礼を続けたままである。


「おーい、二人とも起きろ」

「わっ!」

「ふえ?」


何度か二人の肩を揺さぶると漸く我に返ったらしくそれぞれ情けない声を出す。


「さ、帰るぞ。今の時間帯で食堂に入ればそれなりに空いて...」

「ちょっと待ったコヨミ!」

「いたたた!!」


後ろからアイシャに掴まれた腕がミシッと嫌な軋みを立てて固定される。

さながら万力で挟まれた木材の様な心境だ。


「ど、どうしてコヨミはあんなにシラギ隊長と仲がいいの?」

「それよりもアイシャさん、早くお兄ちゃんの腕を離してもらえませんか?」


激しく興奮したアイシャも、冷たい目で睨みながら手刀を脇腹に突きつけられては冷静さを取り戻したようであったが、それ以上に冷たい何かも感じたようである。


「は、はい...ごめんなさい」

「謝る相手は私じゃないですよ?」

「すみませんでしたぁ!!」


アイシャは涙目になりながら頭を下げて謝る。

久しぶりに見た紗季の怒りだった。


「って、紗季もあの程度のことで怒らなくっていいから。早く行くぞ」

「うっ、お兄ちゃんごめんなさい...」

「二人も、ちゃんと話すから来てくれ」


触る程度の力で紗季の頭に手刀を入れると手を引っ張って歩き始める。

このままでは埒があかないので歩きながら会話をすることにしたのだ。


「まず聞きたい事は?」

「はい」


俺がそう聞くと真っ先にアイシャが手を挙げた。


「どうぞ」

「コヨミとシラギ隊長の関係は!」

「関係って...」

「てゆうかあんな綺麗な女の子の上官と仲がいいなんて羨ましい!」


目をキラキラさせながら尋ねてくる彼女に何と説明すればよいのやら。


「いや、そもそもシラギ先輩は...」


ここまで言って一つ引っかかる事が浮上してきた。


先輩は自称男だが厳密に言うと男でも女でも無い。

従ってどう説明したらよいものだろうか。


「シラギさんは人間じゃないから男女どっちでもないよ」


俺が必死にそう考えていると横で紗季が無表情にそう告げてしまい、どっと冷や汗が噴き出した。


「紗季!なんでバラすんだ」

「この間無意味に言いふらさなければ言ってもいいって言われたよ?」

「だからってな...」


俺は思わず頭を抱えてしまうが、二人は衝撃のあまりに硬直してしまっている。


「えっと、シラギ隊長とコヨミは...その、同じ...なの?」


先に硬直が解けたアイシャが恐る恐るといった様子でそう尋ねてきた。


「俺もよくわからない。自分の事をあまり話さない人だからな」

「それはコヨミも同じじゃないか」


ウィリアムの指摘と自分の失言がチクリと胸の奥に突き刺さる。


「でもさ、私たちも無理に聞き質したりしないから気が向いたら追い追い話してよ」

「・・・その追い追いが来ればいいけどな」


その一言で先程までの巫山戯合っていた和やかな雰囲気が一瞬にして消え去り、吹き抜ける風が妙に冷たく感じられた。


「そう...だね。ごめん、考えが甘かったよ...」

「あ、いや...こっちこそ悪かったな。折角楽しんでたのに水を差して...」


落ち込んだ様子でそう言うアイシャだが、ここに居る全員が明日のこの時間まで生き残っている保証はどこにも無い。そんな単純で重い事実がズシンと俺たちの心にのしかかる。


「それにさ、コヨミが...その、頑張ってくれれば怪我をしても大丈夫そうだし」

「・・・」

「大丈夫...だよね?」


俺が言葉に詰まっているとアイシャは不安げな表情をして尋ね返す。


「確証は無いがな」


再び嫌な沈黙が充満して会話の無いまま食堂についてしまい、気まずい夕食をとる羽目になってしまった。

明日は出撃だと言うのに何とも縁起が悪い。


「紗季、この後シラギ先輩の所へ行ってくる。先に部屋に戻っていてくれ」

「・・・ん、わかった」


何か言いたげな表情の紗季であったがなんとか引き下がっくれた。


どうしてだろうか、ガーデンに来て以来は悩み事を抱えると何故か無性にシラギ先輩に会いたくなる。

俺は素早く先輩に向けて今どこに居るか端末で尋ねると、直ぐに俺の部屋の前に居ると返信が来る。

直ちに寮棟へ向かい、昇降機を待つ時間ももどかしく階段を駆け上がりながらある懐かしい感覚を思い出した。


シラギに頼る気持ちは父に頼る気持ちと同じであったということを...


気がつくと部屋のある階を通り過ぎようとしており、慌てて戻ると部屋の前に立つシラギ先輩の姿が見えた。

先に戻らせた紗季は既に部屋に入ったか、若しくはまだ着いていないのか姿は見え無い。


「シラギ先輩、遅くなってしまい申し訳ありませんでした」

「気にしていない。しかし立ち話もなんだ、部屋に上げてくれ。手土産も用意して来た」

「すみませんでした、今開けます」


葡萄酒であろうか、紫色の液体で満ちた瓶を先輩は掲げている。

俺は部屋の鍵を開けると先輩を招き入れた。


「ほう、随分と片付いた部屋じゃないか。感心だ」

「元々が根無し草の旅人でしたから持ち寄りの荷物も少ないんですよ。加えて医療品類は紗季が管理してくれていますからこの部屋には自分用の着替えと武具が少しか私物は置いていないので嫌でも清々するんですよ」

「まあ、あのミズカミ妹との相思相愛っぷりを見れば欲求不満とは縁が無さそうだしな」

「精神の慢性疲労はお得意様ですけどね」

「はっはっは、言うな」


先輩は何気ない会話に笑いながら杯を出してきて葡萄酒を注いだ。


「飲め。イーストエンドで採れる葡萄を使用した逸品でな、暇があれば買ってくる物だから口に合わんと言うことはそうないと思う」

「いただきます」


断りを入れてから杯を口元に運ぶと仄かな甘みと深みのある香りが鼻をくすぐり、口に含んでみても少しの渋みも無い豊かな甘味が沁み通ってきた。


「・・・シラギ先輩、これは...」

「葡萄の果汁を絞り、少しも薄めずに瓶詰めした物だ。長期保存が利かない所為でイーストエンドから遠路遥々持ってくるにはウイングで全速航行するようでな。....まさかワインとでも思ったのか?」


少しも酒精の風味を感じないのでまさかと思ったのだが、予感は見事的中した。


「先輩はお酒って飲まないんですか?」

「・・・あまり好かん。大体どうしてあんな苦い物を好んで飲まなければならない。それに泥酔したところを敵に狙われたら大変だ」

「そ、そうですね」

「さて、雑談はここまでにしよう」


何かを誤魔化すかのように呷り、空になった杯を机に置くと足を組み直して真剣な表情になる。


「実を言えば今日は使いっ走りでな。まずエルメスの調べていたお前の体についての結果だ」

「どうなんですか」


自然に身が引き締まるのが感じられて握りしめた手からギリッと音がした。


「例の狐に化ける時の観察結果を話すが、あれの主なトリガーは敵愾心だ」

「敵愾心?」


俺が聞き返すと先輩は頷いてから話を続けた。


「そうだ。何も戦闘に限ったことではないが、相手に対して強い殺気やら闘志やらを抱くと化けるらしい」

「ですが、実戦試験の時やそ以降解放された地下訓練場のモンスターと戦ってる時に変化(へんげ)する事はありませんでしたが」

「だが精神面では近づいたんじゃないか?」


先輩の指摘にグッと息を呑まされる。

確かにエレンが致命傷を負わされて木の魔物に強い敵意を向けた時の精神状態は狐化した時のそれとよく似ていた気はした。


「ただし」


成る程と言おうとした瞬間、先輩はそれを遮った。


「お前の狐の尾は見るたびに本数が違った。中でも最も本数が多かったのがガーデン正面海域での水上戦闘時の7本だが、どうも尾の数が増えれば増える程に人間離れしていくらしい。お前の知ってる限りでは何本が最多だ?できればその時の状況も教えろ」

「九本です。ミーラスブリザへ向かう列車の中で襲撃を受けて紗季を殺されかけた拍子の事でした」


そう即答すると先輩はふむと唸ってから顎に手を当てた。


「9本の時がミズカミ妹、1本から7本が挑発と戦闘か。単純だが整理すれば善悪を問わずに対象への想いの強さが化けた時の強さに比例して、それでもってお前がシスコンだから妹の危機だと本気になる。そう言うことでいいか?」

「真顔でシスコンって言われると流石に傷つくんですけど」

「だが否定はしないだろう」


巫山戯た雰囲気の中でならば先輩の言葉に項垂れてもよかったが、今はそうはいかないので軽く目をそらす程度にしたと言うのに追撃は思いの外辛いものだった。


「それでだ。要するにお前の力の真価を引き出すのにはミズカミ妹を目の届くところにおいておき、尚且つ少し危険な目に合わせないとならないという事になるな」

「はい」

「チッ奴の感がまた当たったか...」


先輩は徐に一枚の紙を取り出すと俺に見せた。


「これがもう一つの用だ。違っていれば無効だと言われていたんだがな」


読んでみると、そこには常識外れな内容が書いてあった。


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【異動命令】


訓練兵団第130班所属のミズカミ・サキは只今をもって第104班に異動を命じる。

尚、この異動による130班の人員不足は人員に欠けのある第124班と合併により補う。


発、マーセナリーズ ガーデン学園長

カーディナル・スクエア


宛、該当班班員


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「お前にもそろそろ届くだろうが、たった今からミズカミ妹はお前の班員だ」

「明日は一大事だと言うのに人事異動で班内の規律を乱すのは無謀です!」

「確かにそうだ。だが俺もお前もガーデンに籍を置く者である以上はこうして一度命令が下ったからには従わなければならない。俺も学園長命令は跳ね返せないからな...」


講義する俺を先輩は手で静すと真剣な表情でそう答えた。


「あの男、カーディナルの予知は決して外れない。奴が今試験においてこれが最も正しい編成だと言うのだからそうなのだろう」

「・・・わかりました」

「頼むぞ」


あまりにも無謀に思える内容の命令書のあまり握りつぶしたい衝動に駆られたが、震える手で何とか受け取った。


これが明日明後日の試験において、まさに神の一手となる事など今の俺は知る由も無かった。


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