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4.元婚約者との再会

今日は、第三部隊隊長であり養父となったウォーター様に呼び出されていた。


お気に入りの深い紺色のローブの袖をふわりと揺らしながら、隊長室へ向かい、扉をノックして中に入る。すると、そこには一人の見慣れない男性が、こちらに背を向けて立っていた。


ウォーター隊長は、私の入室に気が付くと、にこやかに声をかけてきた。


「エレノアさん、来てくれてありがとうございます。今日から入隊する新人を紹介します」


男性がゆっくりと振り返る。

ダークブラウンの髪、感情を表に出さない深く青い瞳に、整った横顔。すらりと伸びた長身に、宮廷魔導士の深い紺色のローブを纏う姿は、どこか近寄りがたいほど凛としていた。

彼と目が合った瞬間、心臓がどきりと大きく音を立てた。


そこにいたのは、元婚約者のグレンだった。


「今日から、第三部隊所属になったグレンさんです」

「よろしく」


私は、驚きのあまり言葉を失った。


——なぜ、彼がここにいるのか。


頭の中は混乱していた。すると、私の戸惑いを見透かしたようにグレンが答えた。


「三年前に子爵家を出て、隣国で研究を続けていた。その研究にめどが立ったから、帰国した」


クールなグレンらしい、必要最低限な説明だ。しかし、それだけでは私の疑問は何ひとつ解消されなかった。それでも最初に絞り出した言葉は、彼の身を案じる言葉だった。


「え…。子爵家を出た…?」

「ああ…」


それ以上何も語ろうとしないグレンとしばらく見つめあっていると、ウォーター様が軽く咳払いをした。


「早速ですが、辺境で魔獣が大量発生しているようでして。お二人には討伐をお願いしたいのです」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ここが第三部隊の訓練場だよ」


衝撃の再会を果たした直後、ウォーター様からグレンの案内役を任され、私は複雑な気持ちのまま宮廷魔導局の施設を案内していた。

最後に、第三部隊の訓練場に到着すると、ちょうど訓練中だった。


「あ、エレノア先輩~!どこ行ってたんですか~?」


人懐っこい笑みを浮かべながら、新人のキャメルくんが駆け寄ってきた。

先日の実地訓練以来、すっかり私に懐いてくれたようだ。


「隊長命令で、新人の案内役をしているところよ。これから辺境に一緒に行って、魔獣討伐してくるの。グレン、こちらはキャメルくん」

「キャメルです。よろしくお願いします!」

「…グレンだ。よろしく」


元気に挨拶するキャメルくんに対し、いつも以上に無愛想に挨拶をするグレン。私は慌ててキャメルくんにフォローを入れた。


「キャメルくん、愛想がなくてごめんね。根はすごくいい人だから、仲良くしてあげてね。ほら、グレンも。これから同じ志を持って働く仲間なんだから、もっとにこやかに挨拶して」


そう言って、グレンの横腹を肘で軽くつつく。すると、それを見ていたキャメルくんが、不思議そうに首を傾けた。


「エレノア先輩のお知り合いなんですか?」

「え、ええ…まあ」


——元婚約者です。


なんて言えるはずもなく、どう誤魔化そうかと悩んでいると、グレンが爆弾を投下した。


「婚約者だ」

「…え?」


キャメルくんの目が丸くなった。どうやら周囲にも聞こえていたようで、訓練場が一斉に静まり返る。


「ちょっと、グレン…!」


「元でしょ!」とツッコミたい気持ちは山々だった。

だが、隊員たちの視線が一斉にこちらに集まっている。ここで話すのは得策ではないと判断し、グレンを引きずって訓練場を後にした。


"ここまでお読みいただきありがとうございました!


『続きが気になる!』『主人公頑張れ!』と思ってくださった方は、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!"


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