第9話:2026年の作戦会議――滅亡へのカウントダウン
駆の部屋に戻り、これから起こる「世界滅亡のトリガー」のタイムラインを共有する作戦会議編
「――ふぅ。これでもう、防衛局の衛星からも完全に追えないはずよ」
深夜の六畳一間。織絵が安堵の息を漏らしながら、再び僕のベッドに腰掛けた。
部屋の四隅には彼女の結界が張り巡らされ、外の世界とは完全に隔絶された『絶対安全圏』となっている。
「おいボス。さっきのハッキング、マジでエグかったな。防衛局の連中、鳩が豆鉄砲食ったような顔してたぜ」
刹那は床に直に座り込み、感心したように『レプリカント・ギア』を覗き込んでいる。
プライドの高い彼が、完全に僕の「戦術」を認めた証拠だ。
「あれはただの知識の差だ。驚くのはまだ早い」
僕は勉強机のノートパソコンを叩き、空中にホログラムのタイムラインを立体的に投影した。
青く光る直線の上に、いくつかの赤いプロットが不気味に浮かび上がる。
「さて、二人とも。ここからは、僕たちがこれから直面する『本番』の話だ。前の世界で、人類がどう滅んだか……その正確なタイムラインを共有する」
僕が画面をタップすると、最初の赤い点が大きく拡大された。
「まず、今日起きた渋谷の『歪み(アノマリー)』。これは歴史通りだ。そして――今から3ヶ月後、2027年1月。ここに最初の巨大な分岐点がある」
「……1月。何が起きるの、駆君?」
織絵が真剣な表情で身を乗り出す。
「『第一次・東京大侵攻』。今日戦ったタイタン級を遥かに超える、要塞型の魔導兵器『リヴァイアサン』が、東京湾から顕現する。前の歴史では、防衛局の戦力は半壊、東京の東側は完全に壊滅した」
「リヴァイアサン……」
刹那がその名を頭の中で反芻するように呟く。
記憶はなくても、その言葉の持つ圧倒的な質量に、彼の本能が警鐘を鳴らしているようだった。
「そして、その侵攻を皮切りに世界中でアノマリーの発生頻度が跳ね上がる。政府は魔導の存在を隠しきれなくなり、世界は急速に戦時体制へとシフトしていく。……そして、2120年、地球外から『災厄』の本隊が襲来し、人類は終わる」
静まり返る六畳一間。
100年近く先の話だと思うかもしれない。だが、その最初のドミノは、すでに今日、僕たちの目の前で倒されたのだ。
「猶予は3ヶ月。僕たちがそれまでにやるべきことは3つだ」
僕はホログラムに3つのタスクを書き出した。
• 『魔導回路の完全覚醒』:僕たちの魂と肉体のシンクロ率を、最低でも50%以上まで引き上げる。
• 『リソースの確保』:今日手に入れた魔導結晶を元手に、さらなる上位デバイスを密造する。
• 『他の「適格者(仲間)」の回収』:この時代にいる、未来の英雄たちを局に囲い込まれる前に確保する。
「おもしろくなってきたじゃねえか」
刹那が獰猛な笑みを浮かべて立ち上がった。
「その『リヴァイアサン』ってデカブツ、今度は俺の雷で消し炭にしてやるよ。そのために、テメェのしごき(コーチング)ってやつを受けてやる」
「私も全力で駆君を支える。今度は、誰も死なせない」
織絵も強く深く、頷いた。
絶望の未来を知る、わずか3人の高校生。
彼らの小さな秘密基地から、人類の歴史を書き換える本当の反逆が、今ここに始まった。
世界滅亡までの正確なタイムラインが明かされ、物語の明確な目標(3ヶ月後の決戦)が決まりました!
次の第10話では、いよいよ3人の本格的な特訓や準備が始まります




