第4話:秘密基地と魔導錬成(ビルド)――六畳一間の超科学
2人で協力し、手に入れた結晶を使って「最強の拠点」と「チートデバイス」を作る開発編
「まさか、私たちの最初の拠点が、駆君の部屋になるなんてね」
クスクスと笑いながら、織絵が僕のベッドに腰掛ける。
ここは都内にあるごく普通のマンションの一室。広さはわずか六畳一間。世界を救う最高司令官の司令部としては、あまりにも世俗的で、あまりにも狭い。
「文句を言うな。今の僕たちはただの高校生だ。親の目を盗んで動くには、ここが一番都合がいい」
僕は勉強机の上に、昼間手に入れた『魔導結晶』を置いた。
夕日に照らされて青く輝く結晶は、この退屈な日常の中で、そこだけ異質な存在感を放っている。
「さて、織絵。未来の記憶が戻っているなら、お前の『結界魔導』の術式コードも覚えているな?」
「もちろん。出力は全然足りないけど、術式の組み方なら完璧だよ」
「よし。まずはこの部屋を、現代のあらゆるレーダーや、これから現れる異形の探知から完全に隠蔽する」
僕たちはすぐに作業に取り掛かった。
織絵が人差し指で空中に光の文字を描き、部屋の四隅に聖女の結界術式を埋め込んでいく。
「――『遮断せよ(クローズド・ベール)』」
織絵が小さく呟くと、部屋の空気が一瞬だけキィンと張り詰め、すぐに元に戻った。
これでこの六畳一間は、国家レベルの盗聴器から未来の魔導探知まで、あらゆる干渉をシャットアウトする最強の隠れ家へと変貌した。
「次は、僕たちの武器だ」
僕は私物のノートパソコンを開き、ジャンク屋で集めたスマートフォンやICチップの基盤をバラバラに分解して並べた。
そこに、あの青い魔導結晶をハンダゴテで慎重に組み込んでいく。
現代の電子回路と、未来の魔導技術の融合――『魔導工学』。
未来で技術開発の総責任者でもあった僕にとって、この程度のデバイス作成は赤子の手をひねるより簡単だ。
カタカタカタ、と深夜の部屋にキーボードを叩く音だけが響く。
結晶からあふれ出るエネルギーを、現代のシリコンチップが焼き切れないよう、絶妙なプログラミングで制御していく。
作業開始から3時間。
ついに、それは完成した。
見た目は黒いスマートウォッチ。しかし、その内部で駆動しているのは、2120年の世界を支配していた超汎用OSだ。
「できた……。僕たちの初期型チートデバイス、『レプリカント・ギア』だ」
僕がそれを腕に装着し、画面をタップすると、空中にホログラムのブルーウィンドウが浮かび上がった。
『起動完了。所有者:小鳥遊駆。魔導出力:安定。周辺の歪み(アノマリー)検知システム、スタンバイ』
織絵が目を輝かせてホログラムを覗き込む。
「すごい……! 現代のパーツだけで、本当に簡易型の戦術端末を作っちゃうなんて。これで何ができるの?」
「これ一つで、地球上のあらゆるネットワークへ合法・非合法問わずアクセスできる。さらに、僕の魂の同調率を強制的に底上げして、数秒間だけ『未来の技』を100%の威力で引き出すことも可能だ」
まだ試作段階とはいえ、これがあれば現代の軍隊を一つ壊滅させることすら難しくない。
ピピッ――。
その時、完成したばかりの画面に、不気味な赤い警告灯が点滅した。
『警告。渋谷区上空に、空間歪み(アノマリー)の予兆を感知。発生まで、あと12時間』
僕と織絵は顔を見合わせた。
歴史が、破滅に向けて確実に動き出している。
「予定通りだな。明日、最初の大型ボスが来る。……行くぞ、織絵。僕たちの二周目の本番だ」
「了解、司令官。私たちの未来を取り戻しに行こう」
心強いヒロインが現れた。2人の本格的な反撃が始まります。




