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第18話:各個撃破(電撃戦)――一気呵成の東京湾奪取


「――戦力を分けるなんてのは三流のすることだ」

 『アーク・ノア』の作戦司令室。僕の言葉に、刹那、織絵、麗華、綱臣の4人が一斉に視線を引締める。


「敵の狙いは、二箇所同時の揺さぶりによる戦力の分散(各個撃破)だ。そんな見え透いた罠には乗らない。僕たちは全戦力を集中させ、まずは人道被害が最も懸念される『東京湾』へ超高速の速攻(電撃戦)を仕掛ける。人命を完全に守りつつ、敵を秒で殲滅するぞ」


 僕はホログラムスクリーンに映る、もう一つの標的『富士山』を指差した。

「富士山は周囲に人が少なく、被害が出にくい。東京湾を即座に奪取(クリーン)した後、富士山に潜む奴らをじっくりと包囲・捕縛する。


……そして、捕らえた人体改造兵を僕の手でリバースエンジニアリング(逆構造解析)し、奴らの神経網へ『魔導回路破壊ウイルス(ウイルス・リアクター)』を流し込んで、未来の敵本隊ごとシステムを内側から崩壊させてやる」


「ハッ……! 最高の戦術じゃねえか、ボス! 搦め手ナシの全面戦争、全開でぶっ潰してやるよ!」

 刹那が極大双刃『雷霆神威(ライテイカムイ)』を激しくスパークさせ、獰猛に吠える。


「了解です、閣下。東京湾の一般市民には、波一つ触れさせませんわ」

「わたくしの『八咫烏』が、逃げる鼠を一匹残らず撃ち抜きます」


「駆君、船体の超伝導ドライブを最大出力にするよ。――東京湾まで、あと5分!」

 織絵が操舵輪を握り、アーク・ノアのエンジンが咆哮を上げる。


 オノゴロ島から東京湾まで、日本の龍脈を逆走するマッハの超高速巡航。現代のレーダーは、僕たちの接近を1ミリも感知できていない。


 ◇


 ――同、深夜。東京湾・レインボーブリッジ上空。


 空間がメキメキと音を立てて引き裂かれ、海水が巨大な渦を巻いて逆流を始めていた。


「ギ、ガ、ガガガガガッ!!!」


 歪みの中心から現れたのは、3ヶ月後の歴史で東京の東側を壊滅させたはずの要塞型魔導兵器『リヴァイアサン』――の、さらに上位種である『リヴァイアサン・レイダー(侵略特化型)』。


 その背中には、非道な人体改造を施され、肉体と機械を無理やり融合させられた未来の敵兵(サイボーグ・ソーサラー)たちが数十体、殺戮の命令を待って並んでいた。


 臨海副都心の高層ビル群から悲鳴が上がる。前の世界なら、ここから数日間に及ぶ地獄の籠城戦が始まるはずだった。


 空を引き裂くような重低音とともに、光学迷彩を解除した黒き巨船『アーク・ノア』が、リヴァイアサンの目の前に突如として空間転移の如く出現した。

 

「――お前たちの『予定(タイムライン)』は、ここで終わりだ」

 甲板の最前線。僕は右腕の神殺しの魔導義手『零式・逆行天叢雲(ぎゃくこうあめのむらくも)』を起動し、黄金の原始魔導の輝きを爆発させた。


「御堂、結界展開! 刹那、麗華、一歩も動かすな!」


「おぉっ!! ――コード・アーティファクト、発動! 『神岩城塞(しんがんじょうさい)』!!」

 綱臣が巨大な盾を甲板に突き立てた瞬間、東京湾全体を包み込むような、全高数百メートルの巨大な土色のドーム状防壁が出現した。リヴァイアサンが放った街破壊級の拡散熱線がドームの内壁に激突するが、火花すら散らさずに無効化(シャットアウト)される。


「湾岸の住民は指一本触れさせねえ! テメェら、一瞬で消し炭になりなッ!」

 刹那が『雷霆神威』を天へと掲げる。特訓を経て、さらにオノゴロ島の結晶と同調した彼の雷は、もはや「垂れ流しの電力」ではない。完璧に指向性を制御された、神の裁きだ。


「――『神威・一閃雷霆(カムイ・イッセン)』!!」

 ドガァァァァァァンッッッ!!!

 太さ数十メートルに及ぶ超高圧の青雷が、リヴァイアサンの頭部へピンポイントで直撃した。複合装甲が一瞬でドロドロに融解し、巨大な要塞が断末魔の叫びを上げて大傾斜する。


「逃がしませんわ」

 麗華が『八咫烏』の引き金を冷徹に引く。放たれた因果律必中の群青の魔弾は、背中に乗っていた人体改造兵たちの武器、および脱出用の魔導スラスターだけを正確に狙い撃ち、その四肢の自由を完璧に奪(無力化)していった。


 わずか、60秒。


 歴史に刻まれた『第一次・東京大侵攻』の絶望は、僕たちの圧倒的な全戦力集中(フルパワー)によって、人道被害ゼロのまま、文字通り「秒」で制圧された。


「よくやった。――織絵、捕縛用の光鎖を展開。戦闘不能になった人体改造兵たちを、一匹残らず船内の生体プラントへ回収しろ」


「了解、駆君! 捕縛完了!」

 動けなくなった未来の敵兵たちが、次々とアーク・ノアの檻へと引きずり込まれていく。

 僕は横たわる彼らを見下ろし、右腕の天叢雲をパチパチと鳴らした。


「さて……次は富士山だな。そこで待つ神代と敵本隊に、僕たちの『特製ウイルス』をプレゼントしに行ってやろう」


 反撃の電撃戦は、まだ始まったばかりだ。


――(第19話へ続く)


司令官 駆の完璧な戦術指揮により、東京湾の危機をノーダメージかつ超高速で完全クリアしました!

果たして吉と出るのか、凶と出るのか??

次回19話をお楽しみに!

皆様のご意見もお待ちしております。好評価、ご意見、お叱りのお言葉、何でもお願いいたします。

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