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子供っぽさと先輩と印象

「みんながわたしのこと、子供っぽいって言うの! そんなことないよね?」

 休み時間、わたしたちはいつものように中庭のベンチでおしゃべりをしていた。

 話題は同級生の女の子に言われた『リリンって子供っぽいよね』という言葉についてだ。

「うーん……私には普通の女の子に見えるよ」

「本当に? わたしって魅力的だと思う?」

「うん! すごくかわいい」

(わたしが欲しいのは『綺麗』とか『大人っぽい』なのに!)

 姉様たちならきっとこういう言葉が似合うだろう。わたしだってサキュバスなんだから、少しくらい言われたっていいはずだ。


「ミアはわたしのことよく知ってるから『かわいい』って言うんだよ……そうだ! 他の人にも聞いてみる!」

「他の人?」

「うん! わたしのことを知らない人なら、ちゃんと答えてくれるよね!」

 そうと決まれば、あとは誰かを見つけるだけだ。わたしは校舎の中へと急ぐ。

 すると、廊下の向こうで一人の男子生徒がいることに気付いた。制服の袖に青いラインが入っている。確かあれは3年生の印だったはず。

(そうだ! あの人にしよう! 知らない人だし、わたしのこと公平に見てくれるよね?)


 わたしは彼を呼び止めた。

「先輩! ちょっといいですか?」

「うん? 僕に何か用かな?」

 優しそうな男の人だ。この人ならちゃんと答えてくれそう!

「先輩。わたしのことどう思いますか……?」

「えっ⁉」

 先輩の顔が急に赤くなった。それから目線がキョロキョロ動いている。どうしたんだろう。

「わたしのこと、かわいいと思いますか?」

「う……うん。すごくかわいらしいと思うけど」

 そんな! 先輩までわたしのこと『かわいい』って言った! そんなに子供っぽいのかな……

「それなら……先輩から見て、わたしって魅力的だと思いますか?」

「ちょ……ちょっと待って! 僕たち初対面だよね?」

 なぜ急にそんなこと言い出したんだろう。初めて会うからわたしについて聞いているのに。


「リリン! 待って!」

「あっ、ミア!」

 息を切らしたミアがわたしたちの間に割って入った。どうやらわたしのことを追いかけてきたみたい。

「先輩、ごめんなさい! リリンは自分が子供っぽく見えるか気にしていて……それで知らない人に聞いてみようって言いだしたんです。」

「ああ。そういうことか……」

 先輩はほっとしたように胸を撫で下ろした。

「なんだ……びっくりしたよ。勘違いしちゃった」

「勘違い……?どうして?」

「えっ」

「リリン……」

 なぜか二人とも呆れたような顔でこちらを見る。何かおかしかったかな?


 先輩にお礼を伝えて、わたしたちは中庭へ戻ることにした。

「もう! リリン。あんな聞き方したらダメだよ!」

「どうして?」

 ミアは軽く頬を膨らませて、わたしに言う。

「『わたしのことどう思いますか』なんて聞いたら、告白だと思われちゃうよ!」

「えっ⁉告白⁉好きとか言ってないのに?」

「言ってなくてもそう聞こえるの!」

「どうして⁉」

「どうしてでも! 今度同じ事やったら怒るからね?」

 もう怒ってるじゃん……とはとても言えず、わたしは「はーい……」と、大人しく返事をした。ミアを怒らせるのはよくないことだ。


「……やっぱり、さっきの私の言葉はなし。リリンはお子様だね」

「そんなぁ! ひどいよ、ミア!」

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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