全体主義
「別に構わないさ.この卓球部に入っているだけで,強いと思われるのだから.部長の独裁の下に
あっても.」
「ふーん,そうか.残念だ.」
革命を起こしたいとかなんとか,そんなふざけたことを真剣な表情で語るユメはだいぶ滑稽だ.
まあそれは面白いからまだいい.
ただ,このように,巻き込んでくるのはなかなか厄介ではある.
あと,革命とか凄そうな言葉使ってるけど,そんな大層なことじゃないだろう.
しかし,小動物みたいでかわいいし,他人を巻き込む悪いところはあるものの,あいつのおかげで
部活が喜劇と化しているところもあるので,男女問わず「ユメ!」と親しみを込めて呼んでいる.
まあ,キャプテンから可愛がられているから,それに合わせている,という理由がないこともない.
「ユウー!なんかさ,今日の練習いつもよりもキツくなかった?」
ユメ系革命軍に組み込まれつつある,ユウキ.ヒソヒソと批判をするようになってきた.きっと,革命の時は一緒になってくっついていくのだろう.
「まあ.なんか新しいことしてたもんな.なに?それが気に食わないのか?」
ユメに絡まれた怒りを思い出し,少し強めな言葉になる.
「うん.早く改革をしたいけど....ユメもユウタも俺もさ,目指しているのは楽しい部活だよ.でも,それを実現する方法の案がみんな違ってさ.ユメは極左冒険主義,ユウタは自由主義,俺は修正主義.だから,ユメみたいに「革命」という言葉は使わない.」
確かに,彼は改革と表現したな.
てか、それ自分で言うことか?どう考えても貼られるレッテルに使われる言葉である。
「でもさ,この部全体としてはいいんだから良くね?自由には責任が伴うとは言うじゃないか.部長にくっついて行けば勝手に強くなれるんだから俺はこのままでいいと思うんだが.」
「全体がよければいい?つまり,君は全体主義者か?」
「全体主義?なんか社会の授業で習ったな.まあ,そうだな.最近,秩序が崩壊しつつあるから,秘密警察でも導入したほうがいいんじゃないか?」
そして,部内で密告が横行していったとさ.




