恋愛主義
「夏が始まったよ,ユナ.何が始まると思う?」
ユリがなんか言ってる.いや〜,もう夏ですかあ.
「蝉の大合唱が始まる.」
「おもろ.まあそうだけど.れ・ん・あ・い♡が始まるの!」
「なんで?」
「恋とか愛とかに理由求めちゃだめだよ.ロマンないなー.」
そういうことを聞きたいわけじゃない.
「だってアロマンティックだし.レズがよお.お前も性的マイノリティだろうがよお!」
「ぐぬぬ!今回も好きになった子は女の子だから何も言えない!」
「今度は誰だよ....どうせ大抵相手は異性愛者だから結ばれないのに,懲りないな....」
「ユメちゃん!」
「こ,後輩!?遂に後輩に手を出すのかっ!?なんで?」
「こっちこそ聞きたい.なんで全てに理由を求めるのか.」
見えないものは不確かだから,見えるものだけ大切にすればいいのに.
「かわいい.頑張ってラケットを振ってるカンジまじかわいい.背が小さいのもいい.かわいい.」
「ふーん.でも,何気に卓球部内の人で恋に落ちたのは初じゃない?あと卓球部の中でユメは一番難易度高いと思うよ.」
「え?ユウタくんがいるから?」
「あいつら付き合ってないだろ.ユウタは下心が無い訳ではなさそうだが.しかし,ユメはアジェンダーで,女子とか言うと,機嫌が悪いときはキレるから気をつけな.あと運が悪ければユウタも一緒キレる.」
「部長さん,冷静な分析を毎度毎度ありがとうございます.あとユウタくんキモっ.」
「まあせいぜい頑張れ,キャプテンよ.」
「アジェンダー?どうすれば...?でも恋愛感情はある?なんだ?難しい.タスケテー!!」
「大体恋なんてできるだけ贅沢なものだ.私からすれば.いや,本来は無いと困るか.ヒトの生殖本能.そうやって子孫を残していくのだから.我々はとんだ失敗作だ.」
「はいそこまで.変なこと急に喋りだすんだから....」
確かに.それだから私は....
「あとさ、フツー雨の中走ったりしないって.体力をつけたほうがいいのはまだわかるよ.でもさ....従わなかったユメちゃんとユウタくんにどんな説教をしたかは知らんけど,とにかく可哀想の一言に尽きるわ.」
「私はヒトが少ないところがいいから.あと走ると生活にも良い影響が出るのだ.まずは生活から水
準を上げなくてはならない.」
「でもユナ強いからな〜.なんか本当な気がしてくるよ.顧問もあんまり口出ししないし.でもヒトが少ないところが良いはただの個人の望みでは?」
「まあ君でいう片思いといったところだ.」
「全然違う.」
「まあ,いろいろあるさ.仕方ない.」
「出た!思考停止!ギブアップ!」
「だから,これは諦めじゃない!妥協だ!」
恋愛も現実も,きっと少しは妥協が必要だろう.




