表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな島の天使達  作者: いとい・ひだまり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/5

情けないところも

「辛かった」

「ミアはよく頑張ったよ。本当に」


 優しい彼の声で、俯いていた顔を上げた。


「リトだってそうだよ。頑張った」


 まだ詳しく聞いてないけど、大体のことは新聞で知ってる。リト達はいくつもの遺跡を回って古代の調査、地質調査なんかもして、小さな生き物を見つけた。きらきらとした細長いその虫の琥珀が、でかでかと新聞に載っていたのを取ってある。

 リトは旅に出て『何か』を発見した。でも、わたしはここで村人を守れなかった。

 わたしが再び俯くと、彼は苦笑した。


「ミアは頑張り屋さんだからなぁ。でも、誰も死ななかったのは絶対にミアのお陰だ。みんなの怪我も治してさ。充分なしたじゃないか。……駄目なの?」

「だって……わたしの力は十分じゃなかった。リトと約束もしたのに」

「僕の方がずっと簡単な内容だったよ。だって外へ行けば知らないことだらけなんだから」


 わたしを元気づけようとか彼は笑ってみせる。けれどそれは真剣な表情になって


「ミア、合わせる顔がないなんて思ってるならそんなことはないよ。村人はみんな感謝してたし、ミアはちゃんと約束を果たしてくれたんだから。僕はさ……途中ホームシックになっちゃって『ミア会いたい……』とか言って泣いてたんだよ」


 照れくさそうな笑みに変わった。


「でも、話したいことも沢山増えて。頑張ろうって思える理由になってくれたんだ。何年もの間ね」

「リト……」

「村人である僕の挫けそうな気持ちを救ってくれたのはミアだ。だから僕は今日元気に君の前に立ってる。僕の心は守られた。ミアの十分すぎるくらいに大きな愛と力でね」


 彼は言ってウインクをする。わたしは思わずくすりと笑ってしまった。


「本当あなたって、偶にひどいこじつけをするんだから」

「え~そうかな……」


 彼は身に覚えがない、心配、といった様子で頬をかく。でも彼のこじつけはいつも可愛くて幼くて、純粋だ。


「いい意味だから安心して」

「あ、本当? ならいいや」


 安心顔のリトを見つめ、まだ上がったままの口角で、目線は窓の鍵に向く。わたしは手を掛けるとそれを外し、思い切って窓を開け放った。

 途端、驚いた顔から一瞬で満面の笑みに変わったリトに抱きしめられる。


「大好きだ、ミア」

「リ、リト、恥ずかし……」


 頬のすぐ横の、昔と変わらない柔らかい茶髪がくすぐったい。彼の匂いがする。わたしは宙に止まった手をリトの背中に回して、頬を寄せた。


「わたしも、大好き」

「嬉しい」


 甘酸っぱいより、ただただ安心する腕の中があまりに心地よくて、幸せで。目が合って、わたしはリトの唇を迎えにいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ