第4話「心で通じ合いましょう」
かぽーん。
少年入浴中。
サービスシーンでは全くない。
風呂場に張ってあったお湯がざばざばと流れ出した。
僕の肥満体はそんなにも大きいというのか。
妖精さんは隣で水浴びをしている。
服を着たまま。
水は素通りである。
入浴の必要があるとはまったく思えないのだが、僕と離れたくないとのこと。
『湯加減はどうですかー?』
風呂につかってぼんやりしていると、美咲が話しかけてきた。
心の中に直接。
プライベートピクシーはそういうこともできるらしい。
『まあまあだ。この巨体にはぬるめの水温がちょうどいい』
『すごい容姿だね』
『まあな』
『魅力30とかにしたの?』
『70だ』
『えー、それはへんだよ。天運スキル持ちじゃん。あれはステータスを最適化してくれるはず。前世のルックスはそこそこ良かったわけだし、70なら普通より美男子でも全然おかしくないのに』
『そうなのか?』
『うん。種族をランダムにしたのに人間に生まれてるのは、天運スキルと権力補正によるところが大きいんだよ』
ふむ。
僕が人に生まれたのはラッキーだったのか。
まあそうだな。
この世界の支配者は人だ。
魔族やモンスターに生まれていれば、行動に制限がかかるのは避けられない。
魅力については、まあ、あれだ。
遺伝的な美しさと現状の掛け算ということだからな。
素材のよさのほうに数値を振りすぎたのだろう。
現状が醜いのはしかたがない。
むしろダイエットで痩せれるなら、そっちのほうがありがたいぐらいである。
『お前、僕のステータスが見えるのか?』
魅力の値はわからないのに天運を持っていることはわかる。
権力が高いのもわかる。
意味がわからない。
妖精さんならご主人様のステータスぐらいは把握していそうなものだが。
『一部だけね。天運スキルは設定にかかわることだから。その他項目は全部見える。権力の値が大きいってのは、単なる予想だよ。上級貴族の跡継ぎに生まれてるわけだから低いはずがない』
『ステータスとスキルは?』
『見えない。ちょっと見せてもらっていいかな?』
『やりかたがわからん』
『許可する、って念じればいいんだよ』
『ふうん』
なんだか気が進まないな。
僕は秘密主義なのだ。
一部だけの公開はできるだろうか。
僕はスキル情報を表示させ、適当にいくつか伏せてから美咲への公開を念じた。
名前 ウォーレン・エニウェア
パラメーター
年齢15歳
体力130
魔力150
魅力70
権力180
知力100
財力173
スキル
日本語、公用語、算術 一般常識、死への忌避、怒る、恥じる、怖がる、鑑定、天運、地聖の体捌き、血管強化、内功、話術、人心掌握50
その他
転生場所 エニウェア侯爵領
仲間 エニウェア侯爵家家臣団、プライベートピクシー(香山美咲)
ペット 番犬、精霊獣、飼い馬
奴隷 エニウェア侯爵家召使い
種族 紅眼族純血
人格固定 50%
家族構成 エニウェア侯爵家一族
容姿固定 なし
汎用世界言語 会話のみ
汎用竜言語 なし
『うわ、めっちゃいいね!』
『そうか』
『たぶん才能のほうに割り振りすぎたんだね。だから少ない魅力との整合性を取るために、贅肉だらけの体に生まれたってことか。スキルの選択はいいし、このラインナップだと、まず率先して取るべきは……』
妖精がぶつぶつと言っている。
僕のスキルを検証しているらしい。
しばらくは放っておこう。
しかしステータス、変わってないな。
やはり不変のようだ。
あれだけ戦ったのだから、変わるなら1ぐらい変動があってもおかしくない。
基礎体力をさっさと発動させたのは正解だったということか。
そういえば、初期ポイントはどうなった?
初期ポイント
ウォーレン・エニウェア(香山美咲)
95ポイント
30/40 351/416
残り30人です。
残り351人です。
0人殺害。
おお!?
なんかポイントがすげー増えてるぞ。
意味がわからん。
いや、意味はわかるか。
香山美咲のそれと合算されたのだろう。
入手も2倍。
消費も2倍。
1年で4ポイントが減るということか。
ならば、現状の寿命は24年弱というところ。
今後増えることも考えれば、当面気にすることはない。
それより、注目するべきは死者数だ。
10人が死んでいる。
クラスメートのうち、僕の知り合いの4人に1人が死んでいる計算になる。
すごい数字だ。
異世界転生は過酷だな。




