83 幕間 二人の失恋
「……エルトらしいな」
「そうですね、レヴァン様……」
「君はいいのかい、ルーナ」
「え?」
「だって君、エルトのこと、好きだっただろう?」
「そ! それは!」
「近くにいて、君を見てきたからね。わかるよ」
「……そう、なのですね」
ルーナは顔を真っ赤にする。
「……はい、お慕いしていました」
「やっぱり」
「ですが」
ルーナは視線をクリスティナに向けて、ふにゃりと笑ってみせる。
「私のこの気持ちは、きっと〝憧れ〟です。力強く戦う彼の姿を見てきました。あの方が私ではない女性を慕う姿に傷つくとともに……笑ってきました。その姿が微笑ましいのだと。私は、ベルグシュタット卿を手に入れたかったわけではないのです」
「……そうか」
レヴァンはルーナのその表情に魅入る。
失恋を受け止めながら笑っている。ルーナという女性の強さを感じていた。
「レヴァン様もですよね」
「うん……?」
「クリスティナ様のこと、お好きだったのでしょう?」
「……うん」
レヴァンは眩しそうに二人の姿を見守る。
「でも、僕は間違ってしまった」
「……私もお止めできませんでした」
「後悔しなかった日はなかったよ」
「……はい」
「でも」
レヴァンはルーナに向き直る。
「もう、後悔するばかりの日々は終わりだ」
「……レヴァン様」
「前を向いて生きていくよ、あの二人みたいに」
「……はい」
「ルーナも一緒に」
「私も……?」
「ああ。失恋した同士で」
「……ふふ、そうですね」
ルーナとレヴァンは苦い失恋を噛み締めながら、二人の姿を眺めるのだった。
第三章 ここまでです!
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