↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~【書籍化】  作者: 川崎悠
三章 民なき領地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/88

79 聖女の行方

『貴方の出自を明かしてしまってごめんなさい。でも、これも意味があるの』

「意味?」


 あ、天然で暴露したとか、いやがらせじゃないのね!


『クリスティナ様があくまで被害者の立場であることを証明したかったの。貴方は、女神の【天与】を授かった人間であり、リュミエール王国の人々にとって英雄に等しい存在なのだと示したかった。とくにルーナ様やベルグシュタット卿と同じ立場であることをね』

「それはありがとう? でもどうしてそこまで?」


 薔薇の虫取り網から解放されて、私のそばを舞う光翼蝶。

 なんだか相手の顔が見えていないと変な感じよね。


『私たちの親、公爵夫人と王弟殿下であった彼らを殺した教団。その彼らの本拠地は……マリウス領にあるから。貴方とマリウス家の人々の立場は大きく違うものだと示し、貴方の功績を盾に彼らが罪から逃れるような事態を避けたかった。……これはクリスティナ様のためじゃないの』

「あらまぁ」


 なんだか薄々とそんな気はしていたけど! そうなのね!

 なんでそんな気がしたのかはあれよ、消去法よ!

 エルトたちが続けていた遠征計画と、潰した邪神たちがいた地域。

 それらを地図上に書き込んでいくと、どうしても見えてくる空白地帯。

 だいたい絞られていたのよ。


『マリウス侯爵家において貴方は冷遇されていた。家族として認められてもいなかった。……彼らがどこまで知っているのか、心の中までは知らないけれど。あの家の罪を、貴方が背負うことはない。そんなことを民も望まない。そうでしょう?』


 民の心まではどうかはわからないけど。

 私の立場を庇ってくれようとしていたのは伝わってきたわ。

 やっぱりルーナ様と一緒ね。

 まだ会ったことがないのに、フェリシア様のこと嫌いじゃないのよね!

 女神つながりで姉妹みたいなものかしら? 実際、血縁ありよね?


「なるほどね! ところで今さらなことを聞くけど」

『ええ』

「そもそも私って、まだマリウス侯爵家に籍はあるの? 王太子をぶん殴って不敬罪で婚約破棄されて、挙句に王都を追放されていたんだけど。あの人、マリウス侯爵がそんなの許さないと思っていたわ。すぐに除籍されるだろうってね。だから王家から〝貴族の証明〟を渡されて、最低限の身分を保証してくれたんだと思っていたの」

『……あれから数ヶ月経っているのに、マリウス家から貴方への連絡はないということね?』

「ええ、それはないわね! あ、でも」

『何かあったかしら?』


 話の流れでカイルとセシリアが一歩前に出てきて、二人して無言で訴えてきたの。

 たぶん、これは彼らのことを話していい、むしろ話せってことだと思うわ!


「ミリシャが差し向けた暗殺者は来たわね!」

『暗殺者……マリウス家のミリシャ様が? その、失礼だけれど証拠はあるの?』

「証拠ねー」


 私はカイルたちを見る。

 カイルとセシリアが頷き合い、セシリアがシュタッと音を立てて姿を消す。


「ありそう? あるかも。あるわね、これ」

『あるのね……』

「まぁ、いろいろあってねー。ちょっとだけ待っていてくれたら、」

「お嬢様、証拠をお持ちしました」

「ひゃあ!」


 なぜか私の後ろに落ちてくるセシリア! 早いわね!

 どこに行って、どこから来たのよ! しかも音が静か!

 あと気配がないまま背後から声をかけないで!


「びっくりしたわ! ありがとう、セシリア!」


 セシリアが持ってきたのは、なんらかの証書ね。

 それを光翼蝶に向かってセシリアがかざす。


「こちらをご覧いただけますか、ルフィス公爵令嬢」

『……少し待ってね。視えているわ』


 私も回り込んで証書を見てみる。

 そこに書かれていたのは暗殺依頼の内容。

 標的と依頼者の名前まで? こんなの形に残しておくものなの!?

 初めての暗殺依頼だから記念に署名したのかしら……。

 ミリシャも大概だと思うわ!


「さる伝手を使い、お嬢様を狙った暗殺依頼の証拠として確保しております」

「これ、筆跡とか調べたらわかるのかしら……?」

「王宮にならば、マリウス家の次女が残した筆跡などがあるのではありませんか。この書式ごと王家で確認していただければと思います。ここにいらっしゃる王太子殿下たちに証拠をお預けし、王宮の調査でお役立ていただければ」


 私はそこでレヴァンを見る。驚いているけれど、目が合うと強く頷いてくれたわ!

 まぁ、でも暗殺依頼といっても、その暗殺者がカイルたちだから、きちんと口裏合わせしておかないといけないわよね!


「暗殺依頼については、とくに訴える気はないけどね! 暗殺するところまでいかなかったから! それにミリシャも本気じゃなかったと思うわよ?」

『本気ではなかった、とは』

「たぶん、アマネの予言情報でそういうのを聞いたから、確かめがてら、ついでに依頼したんじゃないかしら。その辺り、レヴァン……殿下(・・)に伝えておくわね! つまり、流行りの占い感覚で私の暗殺依頼を出してみたんじゃない? ミリシャってそういうところあるし!」

『……流行りの占い感覚で暗殺依頼……とは……。ええと……。クリスティナ様はご無事だったのですよね?』

「ええ! みんな元気よ!」


 暗殺者側のカイルとセシリアもね!

 見せていた証拠の証書はセシリアが丁寧に畳んでレヴァンに手渡している。

 ふふ、変な光景ね!


『とにかくマリウス侯爵家から貴方への連絡は今までなかった。如何なる処分も、支援の手配も』

「まぁね! でも、フェリシア様。その点でマリウス家を責めようとしても〝王都を追放され、帰還も封じられた娘に関わらないのは王家の意向に従ったからにすぎない〟って返されちゃうと思うわよ。なんだかんだ筆頭侯爵家だもの、あの人たち。そうしたら泥沼の言い争いになるわ」

『……そうですわね。ええ、一筋縄ではいかないでしょう。けれど、貴方の立場はこれではっきりしたと思う。証拠だって出てくるでしょう。証言を集めれば、もっと確実になる』


 うんうん。


『クリスティナ様。貴方はまだマリウス家から除籍などされていません。それに、貴方の本当の母親は現マリウス侯爵の姉、セレスティア・マリウス・リュミエット様よ。……今回の件が片付いた場合に、貴方の立場と境遇は考慮されるでしょう』


 お母様の名前も出すのねー。

 これってあれかしら。最悪、今のマリウス家が潰されたあと、私に押しつけられる可能性?

 え、面倒くさい……。

 アルフィナ領くらいの広さで、仲間たちとワイワイやるのは楽しいけど。

 フィオナの領地も隣だし。

 でも、ほぼ愛着のないマリウス領が私に回ってきたら持て余すわよ!


「フェリシア様。教団がマリウス領に勝手に陣取っているだけの可能性も高いから、きちんと調査してね? つながりの証拠が出てきたら別だけど! 他の領地だって別にその地の領主と教団が結託していたわけじゃなかったもの。少なくとも、いくつか教団の連中を潰してきた私はそういうつながりを今まで見たことがないわ。各地の領主たちは、あくまで被害者側だったのよ」

『……わかりました。ここからは王家と神殿、並びに各地の領主たちの協力のもと、動くことにしますわ』


 うん。フェリシア様も母親の敵討ちで目が曇っているわけじゃなさそうね。

 善良な領主たちが、とばっちりを受けないように注意してほしいわね!


『でも』


 フェリシア様は続けたの。


『予言の聖女アマネ・キミツカが、マリウス領に逃げたのは確実よ』

「あらまぁ」


 それはいろいろと……だめそうねぇ。

 王都では、まだまだ騒ぎが続きそう。

 フェリシア様との交流……交信? を終えて、私たちは今後について話し合うことになったのよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。