↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~【書籍化】  作者: 川崎悠
三章 民なき領地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/86

77 名誉回復

 ルーナ様とエルトを連れて邪神狩り電撃大作戦を実行。

 そうしたら出るわ出るわ。よく今まで放置していたわね!


 大地の傷は、どうも〝卵〟みたいなものみたい。

 あっちの世界と、こっちの世界の間にある空間で栄養……力を溜め込んで潜んでいる感じ?


 アマネの世界から吸い上げているのは生き霊みたいな、魂だか、生命力だか、そういうものであるとして。

 でも、私やルーナ様みたいな、邪神にとっての極上の〝餌〟が近付くと思わず出てくるみたいね。

 あいつらは飢えている。

 どういう生態なのかまでわかっているわけじゃないけど……。


 邪神狩りをしつつ、地上からアルフィナへ向かったレヴァンたちとも何度か合流する。

 ルーナ様たちにも休んでもらわないといけないからね!



「アルフィナに着いたわねー!」


 レヴァンたち本隊がようやくアルフィナに着いたあたりで私たちも戻る。

 王太子による視察も兼ねて、ね。

 現在のアルフィナの状況は資料に残してあるから。


「こんな感じで、周辺三家門の協力を得て、アルフィナ領は復興中! 私は臨時監督官として認めてもらっているわ! フフン!」


 邪神狩りで飛び回り、地上ルートの本隊と何度か合流しておいてなんだけど、改めてアルフィナ領の臨時監督官として王太子一行を歓迎する体裁を整える。

 フィオナはエーヴェル領から派遣されている体でいるから、第三者としての証人扱いね!


 歓迎には、食用薔薇だけじゃなく買い付けた食べ物類も用意したの。

 この辺りはカイルたちが主導で準備してくれていたわ!


「ちなみにこれが、今日までの記録で、こっちがアルフィナ領の復興計画書よ!」

「あ、ああ。ありがとう。受け取るよ、クリスティナ……臨時監督官」

「ええ!」


 王太子レヴァンが認めたので、これでさらに認められたようなものね!

 事実上、アルフィナ領主……みたいなもの!

 爵位もらおうかしら! マリウス家の真実を知った以上、あの家には戻れないからね!

 そうだったわ!


「邪神狩りをしながら気付いたのだけどね。たぶん、マリウス家か、マリウス領にアマネがいると思うの」

「え、この話の流れでそうなるのかい?」

「フフン!」


 私は胸を張ったわ!

 ちなみに、流石にレヴァン、つまり王太子との会話中だからリンディスやセシリアのお小言が飛んでこないみたいね!


「報告書や計画書は、きちんと書けているんだよね……。クリスティナの字だし……」

「ええ、当たり前よ?」

「教育が行き届いていないわけじゃないんだよね……」

「そうね?」


 何を言っているのかしら、レヴァンは。

 誰が王妃教育を受けてきたと思っているのかしらね!


「理屈が通じないわけじゃないのに、あまりにも直感的すぎるね。前までそんなに……だったかな」

「私の話?」

「……うん」


 何が言いたいのか、わからなくはないけど。


「王都を出てから、【天与】の影響もあるけど、勘に従って行動するようにはなったわね。でも前までもそういうのはあったわよ、私」

「……そうか」

「フィオナと会ったのも勘に従ったからよね!」

「そうだね、クリスが勘付いて来てくれたわ」

「フフン!」


 レヴァンは何か考え込んでいるみたいね?

 ところで周りの視線が困惑や緊張を含んでいるの。これってあれかしら。

 一応、私とレヴァンが元婚約者だったからとか、そういう系?


「……眩しいな」

「ん?」

「……クリスティナ。君はきっと王妃の座になんて興味がないんだろうね」

「まぁ、そうね?」

「だから未練だってない」

「ええ」

「……はは」


 何? 何が言いたいのかしら。


「クリスティナ、改めて言わせてほしい」

「ええ」

「君に与えられた境遇は王家が反省すべきことだ。とくに君の婚約者であった僕が。聖女の予言を信じ、君の立場を貶めた。……そのことについて正式に謝罪する」


 ここにはフィオナだけじゃなく、エイガスト伯爵家の人員もいる。

 複数の貴族家の人間が証人になるの。

 王太子がアルフィナ領に来てまで頭を下げてみせたのだから公式な謝罪になるわ。


「貴方の謝罪を受け入れます、レヴァン・ラム・リュミエット王太子殿下」

「……ありがとう。加えて、皆が注目している、この場で正式に言葉にする。これは陛下から託された、王命の一部撤回である」


 王命の言葉が聞こえて、流石にピリリとした緊張感に包まれた。

 いえ、レヴァンが頭を下げた時点で動揺は広がっていたけれどね。


「一つ、王都からの追放。二つ、マリウス家、およびマリウス領への帰還の禁止」

「……はい」

「三つ、アルフィナ領への派遣」


 それが私に課された三つの王命ね。


「この三つの王命の内、一つ目と二つ目、王都からの追放とマリウス家、およびマリウス領への帰還の禁止を王家からの謝罪とともに撤回する」

「……承りましたわ」

「ならびに、三つ目の王命は果たされたものであると王太子の名において認める。これにより、王命によってこの地、アルフィナを救った功績が、クリスティナ・マリウス・リュミエット侯爵令嬢にあるものとし、王家は貴殿を讃える」


 ……まぁ。


「クリスティナ・マリウス・リュミエットには国王陛下からドゥメニム勲章が与えられる。魔獣災害を鎮めるために王国各地を巡っていた第三騎士団とともに、貴殿に王都への凱旋を願う」


 凱旋願い!


「……改めて、貴殿の名誉を(いたずら)に貶めた過去を謝罪し、貴殿の名誉を回復させるために尽力すると、王太子として誓う。……クリスティナ、すまなかった」


 レヴァンはきっちりとした姿勢で頭を深く下げた。

 これは修道院前でつい言葉にしてしまったレヴァン個人としての謝罪じゃなく、王太子としての、王家の代表としての謝罪ね。


「国王陛下、並びに王太子殿下からの謝罪の意を受け取ります。また、この件について今後、私から王家を糾弾することは致しません。また凱旋願いについてですが、御心はありがたく受け止めさせていただきます。王都への帰還は、様々な問題について改めて向き合ってからのものとなるかと思いますが」

「……ああ」


 これで公式的な和解が成立ね!

 王都にまでそのことがいつ伝わるのかわからないけど。

 きちんと伝わったあとなら、私を悪く言うやつは減るでしょう。


「……マリウス侯爵令嬢、クリスティナへの今の謝罪だが」

「ええ」

「おそらく王都の皆に伝わっているだろう」

「ん?」


 どういうこと?


「クリスティナ様、あれ」

「うん?」


 ルーナ様が声をかけてから空を指差す。

 そこには光を放つ蝶々……光翼蝶が舞っていた。


「ルフィス公爵令嬢の【天与】ね。あれって……」

「遠くの景色や音を見たり、聞いたりできる。また音での交信も可能な力だそうだ」

「ははぁ……」


 面白そうな【天与】だと思っていたのよね!

 以前の発言も王都で広まったらしいし。ははぁん、そういう感じ。


「今もつながっているのかしら?」

「……正直、僕にはわからない。ただヒラヒラと舞っている時と、つながっている時があるそうだ。今は少し離れているが、それは僕たちをまとめて映し出すための距離を保っているからだろう」

「なるほど」


 じゃあ。


「『毒薔薇』の……虫取り網(・・・・)!」


 私は腕回りから薔薇の蔓を伸ばして、ヒラヒラ舞う光翼蝶を捕獲する。

 捕獲して、手元に引き寄せたわ。もちろん潰さないようにね!


「なっ……」

「クリスティナ様!?」


 三女神の一柱、シュレイジア神を象徴するせいか、皆が光翼蝶を丁重に扱う。

 そこで、ただの虫扱いして捕獲した私にビックリしているみたいね。


「ルフィス公爵令嬢……フェリシア様、聞こえてるー?」

「ちょっ……クリスティナ、乱暴に扱うのは」

『ふふ、聞こえていますよ、クリスティナ様』


 すると光翼蝶から女性の声が聴こえてきたの。以前も聴いた声ね!

 振るとつながるのかしら、この光翼蝶。


「これって誰が見えているのかしら?」

『陛下のご命令もあり、王都中の人が確認しているわね』

「まぁ、大規模ね……」

『ふふ、これも貴方たちのおかげだと思うわ』


 そうなの? ああ、フェリシア様もたぶん、協力して力が強まっているのね。


「じゃあ、私。王都に帰っても〝傾国の悪女〟扱いはされなそう?」

『……ええ。少なくとも陛下や神殿は、貴方をそのようには扱わないでしょう』


 それなら本当に名誉回復しているわね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。