↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~【書籍化】  作者: 川崎悠
三章 民なき領地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/86

60 エルトの支援部隊

 領民ゼロで魔獣災害発生中のアルフィナ領へとやって来たのはエルトからの救援隊。

 騎士三人が、それぞれ馬を連れている。

 二台の馬車と二人の御者、そのうち片方の馬車から降りてきたのは。


「クリスティナお姉様!」

「ん?」


 私をお姉様と呼ぶのはミリシャ……じゃなかった。

 五人の女性たちが並び、私の顔を見て喜ぶ。


「あら、貴方たち」


 見たことがある顔ぶれね?

 彼女たちは確か、邪教徒に誘拐され、連中のアジトにヨナと一緒に捕まっていた子たちよ。


「元気だった? 何しているの?」


 ヘルゼン子爵に預かってもらって、その進退について任せたはずなのだけど。


「はい、私たちはヘルゼン子爵の下で働かせていただいていたのですが、この度、ベルグシュタット卿に雇われ、アルフィナ領へ参りました」

「あら」


 ここでもエルトなのね。


「じゃあ、この一団全員が、エルトが寄越したってこと?」

「その通りです、クリスティナ様」

「また、支援物資をお運びしておりますので、クリスティナ様の裁量でご自由にお使いください」


 騎士三人と御者二人の男性、佇まいからして貴族出身っぽい女性が五人。

 加えて支援物資。今あると嬉しいものばかり。でも。


「……このアルフィナは危険よ。魔獣が断続的に発生していて、食い止めておかないと際限がない」

「承知の上です。我々、騎士三人はクリスティナ様のお力になれ、と(こと)づかっております」

「私たちも承知の上です! クリスティナお姉様のお力になれるなら!」


 彼ら全員の顔を見渡しても、なんだかやる気に満ちているわね!

 私が助けた子たちはともかく、騎士たちまでやる気なのは何かしら?



 ひとまず、彼らを領主屋敷へと招き入れる。

 物資の確認はあとね。彼らにも現状を確認してもらう。

 玄関の扉を開けるとホールがあって正面には階段があるわ。

 とりあえず、この玄関ホールに野営用の設備を持ち込んで、みんなで生活しているのよ!

 玄関ホールに野営用の天幕! ここなら雨だけは防げるからね!

 しかも野営気分も味わえるから楽しいわ!

 リンディスを始め、大切な仲間たちだけだから余計に楽しいのよね!


「ま、また斬新な屋敷の使い方ですね」

「フフン!」

「お嬢、おそらく感想に困っているだけです。褒められていません」


 なんでよ!


「野戦病院のようなものですかね?」

「そうですね……。魔獣も領地の端に出てきますし、何より人手が足りません。家具を買い揃えようにも資金がありませんし、流通もありませんし、買いに行く暇もなく、といった具合です」

「アルフィナで暮らしていくのは大変よ!」


 セシリアがささっと用意してきた椅子に座ると、エルトの騎士たちが私の前に片膝を突く。

 騎士が主君によくやるやつね!


「改めて名乗ります。私たちはベルグシュタット卿直属部隊、ベルグリッターの騎士です。私の名はイーヴ・レストレイン」

「エヴァ・セントでございます」

「アルヴァ・ライトです」


 騎士三人がそれぞれ名乗る。

 イーヴ、エヴァ、アルヴァね。


「我らは、これより主君をクリスティナ様と、お仕えします」

「……今の私じゃ、給金を払えないんだけど?」

「お嬢、空気をお読みください。今そういう場面ではないです」

「だって重要じゃない!」


 騎士って大変な仕事なのよ、ただ働きはさせられないわ!


「そこはベルグシュタット卿が手配してくださるので」

「そうなの。それは主君っていうのかしら? エルトが主君でいいんじゃない?」


 私は首を傾げる。

 主君と言うからには、きちんと騎士が得るべき物を用意できないとね!


「……所属はベルグリッターのまま、任務をクリスティナ様の配下とします」

「ふぅん? それならまぁ」


 いいのかしら? あくまで私は遠征部隊の隊長! みたいなところね。

 所属はエルトのところで、彼らの大元の主もエルトのままよ。

 ベルグシュタット家は王国一の武家といってもいい家。

 第三騎士団という大所帯を任されていて、今回の魔獣災害では、レヴァンやルーナ様とともに王国各地に派遣されている。

 たぶん、リュミエール王国で今、一番人気のある騎士団でしょうね。

 実際の声は私に届いていないけど想像できるわ!

 そんな騎士団の騎士が協力してくれるなら、これほど頼もしいことはないのだけど。


「ベルグシュタット卿の思惑は? 支援物資はありがたいが、クリスティナ側から返せるものは皆無に等しい」

「見返りは不要です。我らを含めて、すべてベルグシュタット卿からクリスティナ様への無償の贈答品と考えてください。そのため、仕える侍女として、クリスティナ様を個人的に慕う者たちを集められました」


 まぁ! それで私が助けた子たちをわざわざ?


「嬉しいけど、なんでそこまで? これは陛下のご命令かしら」

「いいえ。まだ王宮からの正式なアルフィナへの支援は決定しておりません」


 そして騎士は微笑んだわ。


「誰よりも先に、ベルグシュタット卿がクリスティナ様に支援を送りたかった。それだけでしょう」


 うん。うん?


「なんで?」


 私は首を傾げたわ。


「それは、その。……卿はクリスティナ様を信じておられるからです」

「私を信じる?」

「はい。今、金獅子卿(・・・・)がこの地を訪れてしまうと、魔獣の脅威を退け、国難を救うクリスティナ様の武功を彼の名が奪ってしまうからと。涙を飲んで、この地へ来るのをとどまり、我らを派遣されたのです。本当ならば、ご本人が駆けつけたかったものかと」


 うん??


「なんでエルトが私にそんなに気を遣うのかしら」


 エルトからはすでに魔法銀の剣と、エメラルドのネックレスを貰っているわ。


「え、そこですか?」

「そこ??」


 何がそこ? 私は首を傾げたままだわ。


「えっと、クリスティナ様はすでに卿から宝石を贈られたとか……」

「ええ! 直接貰ったわ! 私の宝物よ!」


 そう言って、私は首にかけてあるネックレスを取り出す。

 フフン!


「それはよかった。……のですが」


 騎士イーヴが、なぜかリンディスに助けを求めるように目を向けたわ?


「……家庭環境と婚約関係のせいで、少し情操教育が遅れていまして。なにせ以前までは王太子の婚約者であったものですから他の男性から贈り物など受け取った例がなく……」


 なんでリンディスが悔しそうな顔をしているのかしら?


「なるほど……。では、必ず我らがお守り致します、クリスティナ様」

「そう?」

「はい!」

「じゃあ、よろしくね!」


 気を遣ってもらって悪い気持ちはあるけど、でも助かるわね!

 これで今後の行動に移れそうだわ!



 それからアルフィナ領の新体制が始まったの。

 新たに侍女兼メイドとして仕えてくれるのはフィリン、エマ、サラ、メアリー、エレノアよ!


「なお、クリスティナお嬢様の専属侍女は私、セシリア・バートンが務めさせていただきます」

「そうなのね!」


 いつ専属侍女になったのかしら? セシリアはメイドの服装だけどね!


「人手も足りませんので、皆様にはメイド業務も担当していただきます」

「「「「「はい!」」」」」


 侍女フィリンたち五人は、とくに異論はないみたい。

 本来、侍女とメイドでは役割が違うんだけどね。

 このアルフィナでは細かいことは言いっ子なし。

 というわけで、用意のいいことにみんな、メイド服を着る。


「馬車の御者、及び商取引を担当させていただいております。騎士団所属、会計担当ドルク、およびハインでございます」

「まぁ! 会計担当? わりと重要な役割でしょうに、アルフィナに来て大丈夫なの? 騎士たちもだけれど」

「はい、他にも担当は本隊におりますので」


 騎士団だからって全員が戦闘担当ではないのよね。

 もちろん、みんな心構えはあるかもしれないけど。意外に裏方ポジションの人員は重要なのよ。

 頭でっかちの騎士ばかりだと、食料や武器が足りなくなるとか発生するらしいもの。


「……では、これまで収集した魔獣素材や食用薔薇などを隣領で売り、必要な物の買い出しなどを任せてもよろしいですか?」

「もちろんです! お任せください!」


 リンディスが確認をとると気持ちのいい返事!

 これは本当にありがたいわね!

 新しく来てくれた騎士たちが護衛として彼らに同行してくれれば、前線の戦力を維持したまま状況を整えられるわ!


 こうして人員が補充され、支援物資を受け取ったことでアルフィナ領の運営は回り始めたの。

 リンディスやカイルたちも休息をとることができて、とてもありがたいわ!


 私はエルトから貰ったエメラルドのネックレスを手に取り、見つめる。

 彼の瞳の色の宝石。人生で初めて贈られた大切な物。


「ふふ」


 それを見ながら私は、自然と笑っていたわ。


エルトと、イーヴ、エヴァ、アルヴァです!

でも妹の名前はラーライラ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
せ、聖戦の系譜、、、 エルトにいさまあぁあ!! 、、、そ、そういや挿絵のエルトって、エルトシャンに似てる、、、、、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。