第22話 地下駐車場
「ほら、真緒菜。次はもっと腰をひねって、網タイツのラインを見せつけろ。少しでもサボったら、また弾くからな」
「うぅ……っ、はい……ご主人……さま……」
真緒菜はもはや抵抗する気力も失い、ただ周囲のフラッシュの波に晒されながら、俺の命令通りに身体をくねらせていく。
周囲に大勢の人間がいる中で、誰にも気づかれずに彼女をいたぶり、屈服させる。
俺の胸の奥で、支配欲と興奮が最高潮に達し、甘美な全能感が脳髄を痺れさせていた。
この絶対的な権力。この圧倒的な優越感。
俺は、自分がこの世界の王にでもなったかのような錯覚に陥りながら、狂乱のイベント会場で悦楽の底へと沈んでいった。
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熱狂に包まれた『アキバ・電脳ナイトフェスタ』午後の部が閉幕の時間を迎えた。
祭りの後の気怠い空気が漂う中、俺たちはそそくさと撤収作業を済ませ、会場の地下駐車場に停めておいたワンボックスカーへと逃げ込んだ。
バタン、と重いスライドドアが閉まると、先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返る。
後部座席にへたり込んだ真緒菜は、蛍光色のミス・マーベラの衣装の上から大きめのパーカーを羽織り、膝を抱えるようにして小さく震えていた。
大勢のファンから向けられた欲望の視線と、俺からの容赦ないいたぶりに一日中晒され続け、精神的にも肉体的にも限界が来ているのだろう。
「お疲れ様、真緒菜。今日の君のファンサービスは、本当に最高だったよ」
俺は運転席から振り返り、甘い毒を含んだ声で労いの言葉をかけた。
「特に、大勢のカメラの前で俺の命令通りに指をくわえて媚びを売っていた時の顔。会社でいつも見せているあの偉そうな鉄面皮からは想像もつかないくらい、淫らで、哀れで……傑作だった」
「あ……ぁ……っ、ありがとうございます」
真緒菜の口から、掠れた嗚咽が漏れた。
彼女はパーカーのフードを深く被り、両手で顔を覆ってブルブルと震えている。
公衆の面前で、自分の誇りも尊厳もすべて打ち砕かれたのだ。エリート社員としてのプライドも、カリスマレイヤーとしての威厳も、俺という絶対的な支配者の前では何の役にも立たないことを、骨の髄まで思い知らされたはずだ。
「なんだ、泣いているのか?ファンのみんなはあんなに喜んでくれたのに。それとも、まだ足りなかったか?」
俺は後部座席へと移動し、丸まっている彼女の隣に腰を下ろした。
そして、顔を覆っている彼女の細い手首を強引に掴み、その涙で濡れた顔を覗き込んだ。
派手なサイバーパンク風のメイクが涙で崩れ、目尻の二つのなきぼくろが艶めかしく濡れている。
「ひぐっ……うぅ……っ」
「返事はどうした。俺のオモチャなら、最後までしっかりご主人様を楽しませろ」
俺が冷酷に言い放つと、真緒菜は抵抗する力を完全に失ったように、俺の腕の中で力なく首を振った。
そして、恐怖と羞恥、絶望に満ちた涙目を浮かべながら、ついに決定的な言葉を口にした。
「もう……もう、亜久嶋さんの言うことなら、何でも聞きます……っ」
静まり返った車内に、彼女の完全な屈服の宣言が響き渡る。
「だから……これ以上、皆の前で恥ずかしいこと、させないで……おねがいします……っ」
俺の胸の奥で、カチリと何かがはまる音がした。
チェックメイトだ。
あの高慢で隙のなかった網代真緒菜が、さらに完全に俺に屈服したのだ。
「……ふっ、ははははっ!」
俺はこみ上げる歓喜を抑えきれず、暗い車内で声を上げて笑った。
「いい子だ、真緒菜。最初からそうやって素直に服従していればよかったんだ」
俺は彼女の顎を指先で持ち上げ、その震える唇を親指で乱暴に撫でた。
そのまま強引に事を進めることもできたが、俺はあえてここで焦らすことを選んだ。完全に心をへし折ったこの極上のオモチャは、俺の支配下にある安全な密室で、もっとじっくりと、芯までしゃぶり尽くしてやるべきだ。
「これからは、俺が君のすべてを管理してやる。仕事も、プライベートも、君の身体の隅々までもな」
「はい……っ、亜久嶋さん……」
真緒菜は力なく頷き、俺の胸にすがりつくように額を押し当てた。
俺は彼女の金髪のウィッグを優しく撫でながら、暗い地下駐車場の中で、この上ない全能感と支配の悦楽にどっぷりと酔いしれていた。
この瞬間、俺と彼女の主従関係は、誰の目から見ても疑いようのない絶対的なものとして完成したのだった。




