↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
第9章 HOPE ―変わり始める日常―
PR
82/177

第79話 少し先のこと

夜は、昨日と同じように静かだった。


テーブルの上には、まだ書類が残っている。


きれいに片付いてはいない。


けれど、散らかったままでもなかった。


⸻


綾は、その前に座る。


ペンを手に取る。


⸻


何を書くわけでもない。


⸻


ただ、考えている。


⸻


少し先のこと。


⸻


大きな未来じゃない。


遠くの話でもない。


⸻


明日。

来週。

来月。


⸻


そのくらいの距離。


⸻


「……どうするか」


小さく呟く。


⸻


答えは、まだない。


⸻


それでも。


⸻


考えることはできる。


⸻


書類に目を落とす。


⸻


数字。


言葉。


難しいことばかり。


⸻


それでも。


⸻


さっきより、少しだけ分かる気がする。


⸻


「……これ」


一つの数字に、丸をつける。


⸻


「ここから、減らしていく」


⸻


小さな目標。


⸻


大きな意味はない。


⸻


それでも。


⸻


何もしないよりは、ずっといい。


⸻


スマートフォンを手に取る。


⸻


メモを開く。


⸻


・毎月いくら払えるか

・無駄を減らす

・仕事を増やせるか


⸻


思いつくままに、書いていく。


⸻


完璧じゃない。


⸻


それでいい。


⸻


ふと、手を止める。


⸻


頭の中に、あの言葉が浮かぶ。


⸻


――必要なことを、選ぶ


⸻


難しい言葉じゃない。


⸻


でも。


⸻


今なら、少しだけ意味が分かる。


⸻


選ぶというのは、

何かを捨てることでもある。


⸻


全部はできない。


⸻


だから。


⸻


今できることを、一つだけ。


⸻


選ぶ。


⸻


「……明日、少し早く行こう」


⸻


ふと、そう思う。


⸻


理由ははっきりしない。


⸻


それでも。


⸻


少しだけ、余裕がある気がした。


⸻


その余裕で、何かが変わるかもしれない。


⸻


ペンを置く。


⸻


書類を重ねる。


⸻


完全には整っていない。


⸻


それでも。


⸻


昨日より、少しだけ前に進んでいる。


⸻


それで、十分だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。