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毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
第9章 HOPE ―変わり始める日常―
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第74話 小さな選択

朝の空気が、少しだけ軽い。


理由は分からない。


でも、昨日よりも息がしやすい気がした。



支度をして、家を出る。


いつも通りの時間。

いつも通りの道。



交差点に差し掛かる。


信号は、まだ赤だった。



立ち止まる。


周りにも、同じように人がいる。



ふと、思う。



このまま、いつも通り進めば、

いつも通りの一日になる。



それでいい。


それでもいい。



けれど。



ほんの少しだけ、違うことをしてみたいと思った。



信号が青に変わる。


人が動き出す。



綾は、一歩踏み出して――



少しだけ、足を止めた。



そして。



右ではなく、左へ曲がる。



ほんの数分、遠回りになるだけの道。



それでも。



今まで、一度も通ったことのない道だった。



歩きながら、周りを見る。


知らない店。

知らない建物。

知らない匂い。



何も特別なものはない。



それでも。



ほんの少しだけ、景色が違って見える。



それだけで、十分だった。



店に着く。


少しだけ早い時間。



自動ドアの前で、立ち止まる。



深く、息を吸う。



そして。



ドアが開く。



いつもと同じ音。



でも。



今日は、少しだけ、違って聞こえた。



「おはようございます」


同僚に声をかける。



「おはよう。早いね」



「少しだけ」



それだけの会話。



エプロンをつけて、レジに立つ。



同じ場所。


同じ動作。



それでも。



“選んでここに立っている”気がした。


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