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毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
第9章 HOPE ―変わり始める日常―
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第73話 選ぶということ

夜の道を歩く。


街灯の下、同じ道を辿る。


見慣れた景色。

変わらないはずの帰り道。


⸻


足は、迷わず進む。


考えなくても歩ける距離。


⸻


それなのに。


⸻


今日は、少しだけ足が遅い。


⸻


理由は分かっている。


⸻


考えているからだ。


⸻


何を、というほどはっきりしていない。


⸻


ただ。


⸻


このままでいいのか、という感覚。


⸻


ずっと前からあったもの。


でも、見ないようにしていたもの。


⸻


信号で立ち止まる。


赤い光が、静かに点っている。


⸻


周りには、同じように立ち止まる人たち。


誰もが、それぞれの場所へ向かっている。


⸻


綾は、その中に立っている。


⸻


同じように。


⸻


でも。


⸻


同じではない気がした。


⸻


信号が変わる。


人が動き出す。


⸻


綾も、一歩踏み出す。


⸻


その一歩が、少しだけ重い。


⸻


そして。


⸻


少しだけ、軽い。


⸻


矛盾している。


⸻


でも、それでいい気がした。


⸻


――選ぶ。


⸻


その言葉が、ふと浮かぶ。


⸻


選ぶなんて、大げさなことじゃない。


⸻


どこに行くか。

何をするか。

何をやめるか。


⸻


ほんの小さなこと。


⸻


それでも。


⸻


今までより、少しだけ意識している。


⸻


それが、変化なのかもしれない。


⸻


歩きながら、空を見上げる。


夜は、変わらない。


⸻


それでも。


⸻


同じ夜ではない気がした。


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