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毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
第7章「同じ音、違う意味」
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第44話 線の外にいる

県内有数の進学校。優秀な生徒ばかりが集まる場所だった。


弁護士を目指す者。医者を目指す者。デザイナー、エンジニア、広告代理店経営。明るくて、頭がよくて、将来に向かってまっすぐな連中。清水は、そんな高校の仲間たちが好きだった。今だけじゃなく、この先も付き合っていくと、自然に思える相手たちだった。


その中に、一人だけ異物がいた。


世古公士。


真面目なのに優等生っぽくない。頭は切れるのに、それを誇らない。妙なところで立ち止まり、妙なところに首を突っ込む。近寄ってくる癖に、媚びない。探らない。けれど、ちゃんと見ている。


最初、清水は距離を取った。


面倒そうだな、と本気で思っていた。


だが気づけば、隣にいる。グループ課題で自然に同じ班になる。昼休み、いつの間にか近くの席にいる。清水が本を読んでいると、横から覗いてくる。


「それ、面白い?」

「人による」

「清水は?」

「面白い」

「じゃあ面白いんだろうね」


意味が分からない。


ある日、清水は少しだけ苛立って言った。


「お前、なんなんだよ」

「なにが?」

「なんでそんな自然に入ってくるんだ」

「嫌だった?」


その問いに、清水は詰まった。


嫌ではない。ただ、説明できない。この男は、人との距離の詰め方が変だった。気持ち悪くて、少しだけ楽だった。


その感覚に、まだ名前はなかった。

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