表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毎日来る副校長が、なぜか“会計の瞬間だけ消える”話  作者: おみき
第7章「同じ音、違う意味」
43/177

第43話 届かない場所

理屈は綺麗だった。


原因があって、結果があって、その間に言葉がある。条文、判例、解釈。積み上げれば、結論に辿り着ける。少なくとも、本の中ではそうだった。


だが、現実はそこまで整っていなかった。


父の会社で起きた小さな労務トラブル。下請けの男は契約書にサインしていた。だが、その中身を理解していない。近所で起きた金銭問題。借用書もろくに確認せず、口約束で金を貸し、人生を壊している人がいた。学校でもいた。家が弱い。親が知らない。だから、やられても「仕方ない」で終わるやつがいた。


清水は、腹が立った。


なんでだ。

ルールはあるだろ。

守るためにあるんじゃないのか。


けれど現実は違った。


ルールがあるだけでは足りない。知っている人間がいなければ届かない。使う人間がいなければ意味がない。そして、使おうとしたときには、もう遅いことさえある。


その事実を知るたび、清水の理想は少しずつ削られていった。


法律は万能じゃない。

本だけでは人は救えない。


でも、だから捨てる、にはならなかった。


届かない場所がある。

だからこそ、届く場所では絶対に届かせる。


清水の信じたものは、夢のままでは終わらなかった。痛みを知ってもなお、手放さないものに変わっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ