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スペースオペラって何だっけ?【仮】  作者: 吉高 都司


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 -9’8

 枢軸帝国の正規軍と思われます。


 そう知らせに駆けてきた生徒会長が、ふわりと浮いた。

 主砲が着弾した振動。

 俺はストレッチャーから飛び降り、彼女を抱きとめた。

 ありがとうございます、と腕の中で呟いていた彼女の言葉はほとんど聞こえなかった。

 が、彼女にすぐにコクピットを案内してくれ、野盗や、バツ包帯野郎の攻撃力と比べ物にならない位の攻撃力だ、今までと同じ様にいかない。

 と、促した。


 重力振は立て続けに起きた。

 見積もっても倍はある。

 食いしばった歯ぎしりで奥歯が痛い。

 相変わらず電探は不安定だ、エーテルがこの戦いと、重力振、それと次空間転送リングの次空干渉で不安定になっている。


 後方に陣取っている空母と軽空母には迂回して、艦載機を発進、挟撃をしている間にこの白鯨を先頭に大型戦艦、戦艦、重巡、駆逐艦を左右両翼に広げ敵を包み込むように攻撃するファルカータの陣を伝達した。

 多分、敵はこの白鯨を目標に来るはず。

 そう確信し各艦に伝達した、が、相変わらず電探の具合が良くない。

 彼女達が、白いセーラー服をたなびかせ、艦内を無駄なく行動しているのを見、コクピットで、他の艦と連絡を取るため必死にモニターとマイクを駆使しているのを見ていて。


 ハッと気が付いた。


 そうか、と直ぐ、生徒会長をここへ来るよう呼んだ。

 そして彼女と話し込み、やはりそうかと、ある命令を下し、もう一度陣形の訂正と確認、作戦を伝達した。


 直ぐ、彼女達は命令実行に取りかかり出した。

 側にいた侍女が、不思議そうに俺に聞いてきた。

 いったい何をおっしゃったんです。

 まあ見てろ。

 と、俺。

 不利は、あっちもこっちも同じだ。

 そう言って、全速前進させた。


 今度は白鯨を先頭にして縦隊になった。

 バツ包帯野郎の横を横切った。

 多分あいつも電探の調子が悪いはず、エーテル濃淡と重力振、次空干渉が合併してほとんど用をなさない。

 今はこいつの相手をしている暇はない。


 気が付くと周りの女学生の人数が、今まで走り回って所狭しと走り回っていた女学生が、少なくなっている事に気が付いた。

 だが、生徒会長だけは俺の隣にずっといる、否、そこにいるように言い付けていた。

 だが、侍女は納得してない様に見えた、実際、すごんだ目で俺達を見ている。

 近寄って来て、フン、どうせ、そんな若い子、というか、こんな娘達に手を出したら犯罪ですよ!犯罪!

 と、鼻息も荒く言って来るものだから、傍にいる生徒会長もさらに真っ赤になっていた。

 違う、勘違いだ、と俺が言い切る内に。


 生徒会長が、目標地点まであと少しです。

 と俺の袖を引っ張った。


 すぐさま、モニターの回線の端末を彼女に持たせた。

 メインのモニターにまるで肉眼で見るような映像が、敵艦を俯瞰して見ているように映り出した。

 実際見ている映像だった。

 侍女が、そのモニターを見て。

 これは一体、と。


 電探の信号モニターではない、まさに肉眼で見る映像のそれ、そのものだった。

 彼女達の特異能力のおかげだ。

 と俺は言った。

 彼女達の瞬間移動能力で各艦に千里眼の特異能力者を送り込み、そして同様に雷撃機にも同乗させて千里眼の映像を精神感応で生徒会長に受信してもらい、そして念動力で映像に落とし込んでもらっている。


 彼女達が言うには、本来一人に一つの特異能力が基本らしいのだが、生徒会長は千里眼、精神感応、念動力のほかにも特異能力が操れるらしい。

 それゆえに生徒会長を任されているのだと言う。


 そう聞いて、今度は侍女が顔を真っ赤にして。

 勘繰ってごめんなさい、と、生徒会長に頭を下げて、私としたことが、はしたない。

 と続けて言った。

 大人に頭を下げられ彼女は逆に恐縮していた。



 敵艦の右翼の端が丁度こちらの艦隊とクロスする座標に入った。

 右翼の端の艦から順次、各個撃破の指令を下した。

 一斉に敵艦隊の端から一隻づつ確実に沈めていった。


 この戦いは、野盗討伐の戦いだ。

 いくら正規軍が途中で参戦しても、大戦の作法は不要。

 そもそも、この事で、野盗の後ろで操っていた黒幕がはっきりした。


 この星の主力を言葉巧みに、援軍要請と言う名のもとに主力を剥ぎ取り、戦力が無くなった頃合い見計らって、野盗共を焚きつけて、しかも隠れて正規軍の援軍もよこしていた。

 枢軸帝国の誤算は俺の助太刀と、ここで活躍している彼女達の特異能力を計算に入れてなかった事だ。

 この戦いでこの星から手を引かすだけの打撃を加えて、諦めさせてやる。

 そう思い、握った操縦桿と主砲トリガーに力が入った。


 その時。


 同時に、無数の主砲の光跡の弾幕が、白鯨に向かって来た。

 全てシールドで弾かれたが、その衝撃波は艦内を叩きつけるような衝撃で、俺も侍女も生徒会長も叩きつけられた。

 何事と、生徒会長は端末を握り直させモニターに映像を投射した。

 いつの間にか反対側に同じだけの艦隊が現れていた。


 しまったいつの間に。


 そう思っている間にも、今まで主砲を打ち込んでいた敵艦隊からも主砲が放たれた。

 図らずも挟み撃ち状態になってしまった。

 なぜ、と思った瞬間。

 そうか、デスドライブオフで発生する、重力振だけの注意を偏ってしまっていた。

 通常航行だったら重力振は関係ない。

 近くに敵艦隊が待機していたんだ、こいつらは後詰か。

 今まで後詰めで運用していた、白鯨が後詰めにやられるとは。


 二転三転する状況に、一層自分の不甲斐なさが、胸を押しつぶした。


 振動ごとに、この艦の被害状況の放送が艦内に響き、やがて電源が非常灯になった。

 侍女が、側に寄って来て、艦長、私はいつでもお供の覚悟はできております。

 先程の様に殿方を置いて私だけを逃がすなどと、乙女の恥をかかすようなことは御免被りたいと存じます。

 逝くときは一緒でございます、と。

 薙刀を傍に引き寄せた。


 俺は慌てて、待て、早まるな。

 とにかくまだ、電探も回復していないし、向こうもこちらのエーテルもまだ歪んでいる、とにかくここから脱出して体制を立て直しすれば。

 と、侍女に向かって言った。


 が、しかし追い打ちをかけるように

 生徒会長が青ざめておれに告げた。

 正面にも新たな敵が。


 その声は、遠く近くにこの艦に着弾する衝撃と共に現実ではない響きが、耳朶に残って続いていた。


目を通していただき、誠にありがとうございます。これからも紡いで参りますので、お時間がございましたら是非。

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