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スペースオペラって何だっけ?【仮】  作者: 吉高 都司


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-9’5

 漸減要撃作戦が功を奏したようだった。


 丁度、挟撃状態となって、野盗共の艦隊はその数を減らし、今はこちらの輪形陣の中で残り少なくなっている。


 それと、正規空母の艦載機を指揮して、銀髪の雷撃機乗りが、縦横無尽に敵艦を沈めてくれている。

 大怪我をしていたと思えないほどだった。

 次空間転送リングの情報を集めにいってもらった後にすぐさま、こんな大混戦の中を、だ。

 さすが、大将軍の娘、どんな状態でも戦果を挙げてくれる。


 一方、敵正規軍と思しき、艦艇は巧みにこちらの攻撃をかいくぐって、未だ健在であることは、この混戦状況の戦場で、その状況を把握するのは俺以外、困難だろう。

 しかも、少しづつ離れていくのが見て取れた。


 不気味な動きをする。


 だが、眼の前のバツ包帯野郎と、正規軍と、野盗の残党が目の前にいる事は事実だ。


 バツ包帯野郎の周りには、寄生されたであろうコクーンが貼り付いている艦艇が数隻周りを囲んでいた。

 どこかの戦で鹵獲した代物だろう。

 幾度も、その乗っ取られた艦からこちらへ、主砲の光跡が延びてきている。

 今のところ、シールドで跳ね返しているが、エネルギーの残量も心もとない。


 こちらも応戦して、いくらそれらの艦に直撃を与えても、また友軍の長距離砲がその艦体に穴をあけて沈めても、

 そもそも誰も乗っていない、いや、乗っているのは無機質な殺戮機構と害獣だけだ、

 どうなろうと、元々は鹵獲した物、何ら惜しむところがない。

 それこそ捨て駒だ。

 だから大胆な攻撃に打って出ている。



 厭らしいモニターは、相変わらず垂れ流している。


 バツ包帯野郎は独り言なのか、こちらに向かって言っているのか。


 そういや、この星には白い最新鋭の弩級艦があるらしいな。

 そいつを乗っ取って、俺の傭兵の箔を付けようか。

 そいつもいいな。

 自分で言ったことに、勝手に納得しながら。

 御跡一挙両得だぁ。

 と歯をむき出しでその顔をモニター一杯にした。

 相変わらず、侍らしている女はモニターの外で嬌声を上げている。


 やっぱりこいつはいかれてやがる。

 俺はそう思いながら、白鯨にはこいつに手出しをさせてたまるか、と。

 操縦桿をへし折るのではないかと言う位、力が入っているのが自分でも分かった。


 バツ包帯野郎の艦からはコクーンが射出され続けている。


 そのコクーンを、

 行く手を阻むそいつの放つコクーンを撃ち落としながら、弾幕を張った。


 座標合わせをスパイラルにしながら、野盗の残党と共に主砲と副砲と通常弾を撃ち込みながら。

 咲く華の様だった。

 これが戦でなかったら、色とりどりの光跡が銀河を彩り、美しいものだろう。

 だが、これは戦の魂に、手向けられた華の様だった。


 再度、操られている戦艦は、鎌首を立てる蛇の様に艦首を一斉にこちらに向け、一斉射を放ってきた。

 その後方にはそいつの艦が禍々しく漂っている。

 その艦に人形ドール猛獣ビーストを詰めたコクーンの球体が鈴なりに貼りついている。


 一隻の駆逐艦が援護のつもりだろうか、前に出張って来た。

 おれは慌てて、その艦に向け、不用意に近づくなと、警告して、後ろに下がるように叫んだ。

 が、遅く、

 コクーンが取り付き乗っ取られてしまった。


 ただ、不幸中の幸いだろう、乗組員は全員無事に退艦したようだった。

 もと、味方の艦はこちらに艦首をむけ、そいつを守る盾の様におのれの陣形の一つにしてしまっていた。

 その間も乗っ取られている艦から、一斉射が、光跡を描きながら、この重巡に向かい放っている。

 脱出した、駆逐艦のポッドを守りながら、友軍の戦艦に収容されるのを見届け、艦首を再度そいつに向け突進した。


 繭が取り付いてからそんなに時間が経たなくても、あっという間にその艦を制してしまう。

 駆逐艦と言う比較的小さい戦闘艦だが、それを考慮に入れても、その素早さには、油断がならない。


 いつの間にか切れてしまっている、モニターを睨みながらそう思った。


 いま、対峙している状況を見てだろう、白鯨が電探の外から急にモニターにその姿を現した、

 しまった。


 俺は歯ぎしりをした。

 女学校で教えたことを忠実に守ったからだ、それがかえって獲物を与えることになってしまう。

 一生の不覚だった。


 死角からの攻撃、

 丁度、敵味方お互いの電探が混戦状態の中でハウリングを起こし、座標が殆ど狂ってしまう状態が起こる、

 そのため正常状態の時の敵味方の座標を、頭に叩き込んでおく。


 鉄則だ。

 逆にその虚を突いてこちらから、有利な攻撃位置も取ることが出来る。

 それを講義した。

 たぶん彼女達も、初めて打って出て、敵と対峙できる遊撃隊としての初出陣。

 必死に、我々の役に立ちたいと操艦、攻撃を繰り出している事だろう。

 普通の敵なら全面的に任すが。


 こいつだけは相手が悪い、

 白鯨に向かって叫んだ。

 下がれ!


 が、白鯨は主砲と副砲を放ちながら、進んで行った。


 その状態を最後に再び電探が沈黙した。


 通信が混線しているのか、返信が無い。


 目視でどうにかわかる距離だ、

 白鯨に向かい繭を切り離している、

 早く、あのコクーンを取り着かせるな、

 全速前進、全砲門をあの繭に

 撃て、放て。


 軌跡は繭を貫き光の屑となった。

 大丈夫か、

 血を吐く思いで、叫んでいた。

 一向に通信が回復しない、雑音だろうか、人の声なのだろうか判然としない。

 これほど長く、時間を感じたことは無かった。

 そして、その間奥歯が砕けるかと思うほど歯噛みした。

拙作にいつも目を通していただき、誠に感謝申し上げます。投稿を始めてから、一年と半年が過ぎました。読者の様の皆様のおかげと感謝に堪えません、誠にありがとうございます。貴重なお時間を頂きまして、目を通して下さり、誠にありがとうございます。

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