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スペースオペラって何だっけ?【仮】  作者: 吉高 都司


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 -9’6

 電探が回復した。

 見ると、白鯨にコクーンが取り付いている様に見えた。


 てめえ。


 そう叫びながらエンジンノズルが焼き切れるほどの出力を上げ。

 取り付きかかっているコクーンを撃ち落としながら突進した。

 が、衝撃と共にこの艦にいつの間にか纏わりついている繭が、ねじ込みその中身が、この艦に侵入してきた。

 けたたましく、警報が艦内に響き渡った。


 クソったれ。


 右舷後方に、それは取り付いているようだった。

 中に乗っている者だけを攻撃目標にしている、ここで、そんないかれた奴の相手をする必要はない。


 俺だけで十分だ。


 その判断と共に、総員退艦の指示を出し、ポッドに乗組員全員を乗せ、早々に退避させた。コクピットにロックをかけ、侵入者を入ってこさせないようにして、操縦と、攻撃システムの全オペレーションをここ手元に集中させた。

 モニターと、電探は回復したが、それを見て愕然となった。

 白鯨に、繭がしっかりと食い込んでいた。

 絶望、

 頭の中に、あの時の、あの場面が繰り返し、流れた。

 そこから、どういう操縦をしたのか、ただ自分の体ではない、遊離した自分が全ての行動をしているのではないか。

 と、言う位周りはゆっくり進んでいるようだった。


 気が付けば、俺の艦はあのバツ包帯野郎の艦の目の前に立ちはだかり、艦首をそいつの艦に衝突させていた、衝角戦法。

 艦首の半分ほどめりこませた。


 と同時に、エアロックが外れ、汎用機構ドールが飛び込んできた。


 艦の中は、酸素で、充満している。

 当然、火器などは使えない。使えばあっという間に炎に包まれてしまうし、それでなくても空気が汚染され、船内活動は酸素不足で出来なくなる。

 敵味方限らず専ら、原始的でも、槍や、剣、矢などが船内での武器となる。


 無数の汎用機構ドールから無数の矢が、空気を裂いて飛んできた。


 それを、薙刀で、打ち払った。

 侍女だ。

 二射。

 三射、と撃ち込んで来る。

 おれは飛び込み、飛んできた矢を両手で払い除けつつ、数本を握り締め、その手にした矢を機構ドールの中枢に叩き込んだ。

 そして、側にあった機構ドールの一台を蹴り飛ばし他の機構ドールに打ち付けた。

 超重力星で育った俺にはこいつらの動きが、まるで止まっているかのようにしか見えなかった。

 急所らしい頭を潰し、投げ飛ばし機体を叩きつけ、侍女に向かうそれらを引き剥がし、片手に機構ドールを握りしめ、それを振り回し機構同士を叩き打ち付けた。


 最後の機構ドールを粉々にした時、自分の肩と、脇に鈍痛が走っている事に気が付いた、知らない間に喰らっていたようだった。

 侍女が、同じ様に、最後の機構を一刀両断にして、すぐさまその薙刀を放り投げて、顔色を変え走って来た。


 大丈夫ですか艦長。


 駆け寄り、刺さった、痛矢串を覆うように自分の着物を切り裂き俺の体に巻き付けた。

 この艦は、バツ包帯野郎の艦に突き刺さったままだ。

 このまま主砲を全弾こいつに打ち込んでやる。

 照準を回せ。

 侍女に言った。

 侍女は、

 そんなことすれば、この艦も巻き添えになります。

 俺は、

 君は、残ったポッドで脱出するんだ。

 侍女、

 出来ません、例え成り行きで、夫婦になったとしても、まだ、祝言をあげていなくても、私は・・・。


 振動が艦内に響いた。

 多分二陣、三陣のコクーンが取り付いたのだろう、痛みに耐えながらもう一度言った。

 早く。

 乗れ。

 彼女の肩を掴みそう言うと。


 その彼女の肩越しにある物が見えた。

 俺達の向こうがわ、死屍累々となっている汎用機構ドールの隙間を白いものが、いつの間にか立っていた。

 目を疑った。

 白いそれは確かに、セーラー服。

 そう、幼年兵女学校のセーラー服だった。


 あの髪の毛が長く、その髪で顔が隠れる位の、どちらが前か後ろか分からない様な、そしてスカートが床を引きずる位長い、その彼女が立っていた。

 確か、四天王呼ばれていた一人。

 痛みに耐えながら、信じられない物を見ていた。


 そう思っている事を一顧だにもせず、スッと俺達の傍まで来て彼女は自分の前髪を掻き分け、その澄んだ瞳を、かすかな微笑みと共に。

 確か、四天王と呼ばれていたあの時の一人だ。


 お迎えに上がりました。


 と初めて聞く小さな声で言った。

 おもむろに、セーラー服の彼女は長いスカートをたくし上げたかと思うと、侍女をあっという間にスカートの中に押し込んだ。

 横にいた俺は何をしているのか訳が分からずにいると、遠くでバリケードを破る音がした。

 第二波の攻撃だろう。

 コクピットの離れた所から、多分三区画向こうぐらいだろう。


 セーラー服の彼女は、音のした方に向けていた視線を、俺に向け直し、侍女にしたそれと同じ様に、自分のスカートを捲り上げ、そのスカートを俺に被せた。

 一瞬の出来事だったのでほとんど何も見えなかったが、

 ただ、

 その、

 やっぱり助けてくれた、彼女の為に何が見えたかは、言わないでおこう。


 次の瞬間、穴に落ちた様な衝撃。


 全身の痛みに耐えながら、今の状況が飲み込めず、ぼんやりした意識の中で、視線を動かすと直ぐ隣には侍女がいた。

 首を捩じって見渡すと、白いセーラー服の、あの幼年兵女学校の面々が慌ただしく走り回っていた。

 気が付けば、幼年女学校の生徒の一人が、俺の傷の手当をしてくれている。


 ストレッチャーの上にいつの間にか乗せられている俺は、向こうに側で腰の左右に刀を差しているベリーショート、その奥に向かって駆けて行くオープンフィンガーグローブの三つ編み、下級生にだろうか、指示を叫んでいる触角の髪型の女学生、そして、今さっきまで俺が乗っていた重巡になぜかいた、長いスカートの長い髪の女学生が駆け回っていた。

 俺はその彼女達を見ていた。


 四天王と呼ばれている娘たちが艦内を縦横無尽に駆け回っていた。

 良かった、みんな無事の様だ。

 そう思い、元気な彼女達の無事な様子を見て、ジワジワ込み上げてくるものが有った。


 ついと。

 あの長い黒髪の生徒会長がいつの間にか傍に立っていた。


 大丈夫ですか。

 声を掛けてきたのは彼女の方だった。


 それは、俺のセリフだ、コクーンがこの艦に取り付いたのを見て、俺はもうだめかと思った。

 そこまで言うと、不覚にも涙がこぼれてしまっていた。


 流れる涙を両拳で隠すのが精一杯だった、溢れて来る嗚咽もせき止められなかった。

 もうあんな思いはしたくなかった、その思いが涙をあふれさせていた。


 ありがとうございます。

 そう彼女は言うと、

 続けて、

 私たちの星は、特に女性に限ってなんですが、特異能者の持ち主ばかりなんです。

 先程も、当校の四天王のひとりが、瞬間移動の特異能力をお見せしたと思います。

 私たちは、一人ひとり違った特異能力を持っています。

 ですので、あんな機構コクーンや、害獣ビーストなんてほとんど、意味がありません。

 武家の娘として、一人百殺を旨としている、我々一人を狙って来るのですから、逆にその方が我々は闘い易いと言うものです。

 それより私たちはこの力がある故に、集団で戦うことが致命的に苦手なのです。

 ですので、今回、無理を承知で、ほとんど、人質を取ったような形で助力をお願いしたと思います。

 其れはこのためだからと、元首から聞いてます。

 でもうれしいです、そうやって、涙を流してまで、思ってくれるなんて。


 彼女も少し目が潤み、そして一筋。

 瞳から涙がこぼれた。


いつも拙作に、貴重なお時間頂戴して、目を通して下さり大変感謝申し上げます。

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